2021年変わる中学入試(12)新渡戸文化学園のハイブリッド説明会 キラキラ輝く光あふれる②
★新渡戸文化学園の決定的に新しい学校の理由は、にわかにはもちろんわかりませんが、そう感じてしまうのです。今までにない新しさなのです。それは、たぶん「デザイン」の意味の広がりと深さがちがうんですね。「デザイン思考」を取り入れている教師がいる革新的な学校はたくさんあります。ところが新渡戸文化学園は、その教師が1人や2人ではなく10人以上の単位でいるということです。そしてさらに決定的に「デザイン」の意味が本当の意味での「デザイン」なのです。
★その象徴的なのは、山本崇雄先生の2つの物語です。1つは、「できないことは可能性」と読み変えるという話です。目から鱗、ものの見方を変える、認識や意識のコペルニクス的転回をデザインする教育ということです。先生ご自身の「教えない教育」というこの絶対矛盾的自己同一という境地。これです。シリコンバレーがエンジニアリングではなくガーディニングだというのと別の文脈で山本先生はシンクロしているという話もそうです。
★今回のパンデミックで、マズローの五段階欲求説の話がいろいろなところで話されています。その際、5段階目の自己実現は、6段階目の「超自己実現」に進むことが必要だという話ですが、それはマズロー自身が予想していました。しかし、それは心理学の話ではなく、ZENという宗教的マインドフルネスなので、科学ではそこは寸止めですね。
★しかし、私たちは科学的考え方やもの見方を大切にするけれど、私たちは科学である前に人間です。精神的な要素に「超」というものがあるならば、科学的でないと斬り捨てるのではなく、いかなるものか一度寛容的な態度で耳を傾け、眼を開いて眺め、認めてみるのもよいでしょう。
★そういう深い話が、「できないことは可能性」「教えない教育」新しくて普遍的な「絶対矛盾的自己同一」という「アイデンティティ問題」です。このようなデザイン力は、Designではなく、De-signですね。前者はビジネスデザインの意味の時に使います。クライアントのニーズに対応すればそれでよいのです。
★でも、後者は生徒の絶対矛盾的自己同一の領域で求められる・探究される才能を生徒自身がDe-signできるように、慣習的・因習的蓄積物を脱デザインするわけですね。De-signはオリジナルです。ソフトパワーです。Designは既存の組み合わせで満足します。
★ですから、De-signは、なかなか真似はできません。もちろん、いずれ真似られるでしょうが、ハードルが高いのです。どうぞ私をどんどん真似してくださいという軽やかに語る方もいますが、さて、それは幸せの橋を創ることでしょうか。高いハードルを共有してこそハピネスブリッジでしょう。できないことは可能性というのは、一見誰も取り残さないと語っているように見えます。たしかにそうなのです。でも自立/自律に挑戦するから開かれるのです。その約束は必要なのです。その後は、徹底的にその勇気をサポートするのです。新渡戸文化学園はそういう学校になったのです。だからこそ、フラットな感じで語れるのでしょう。
★もう一つの山本先生の物語は寛容な社会、余白を大切にできる社会を創りたいという想いでしょう。もちろん、その種が学校です。
★この「寛容」と「余白」のダブルメッセージは、私の中で、「教えない教育」=「涵養教育」というイメージを結びました。「涵」という字は「水」と「函」から成り立ちます。命の水が心の余白という「函」にたまるからこそ、創造性は生まれ開花し世の中に役立つマインドの竜巻を生み出すのではないでしょうか。
★教育座談会が終了すると、体験授業が終わった生徒がキラキラした目をして会場に戻ってきました。そして迎え入れたのは在校生です。中学生が学校説明会をするのです。柔らかく、緊張することなく、満面の笑顔で語り掛けます。参加した生徒や保護者もグーグルフォームで質問をします。1つひとつに対応していきます。
★保護者は、新渡戸文化の教育、教師のすばらしさに共感し、そして在校生に感動し、その姿に自分の子どもの未来を描いたでしょう。偏差値でDesignするのではなく、わが子の未来の才能でDe-signする術を学んだことでしょう。
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