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2020年10月12日 (月)

品川翔英の進化(08)国語科の突き抜けるPBL型授業。①

★品川翔英の国語科の先生方は、PBL型授業を全員が展開できます。しかも毎回自らハードルをあげていく研修を続けてきたために、世界標準の授業デザインを出来るところまでになりました。すごいですね。

★今では、先生方は、PBL型授業をベースにそれぞれテーマをもちより、その探究成果をシェアする研修となりました。いわゆる学習する組織になっています。今回、平岡先生のテーマは、ICTによるPBL授業のエンハンスメントです。エンハンスメントとは、「巨人の星」を知っている人はあの「大リーグ養成ギブス」を思いだすとよいかもしれません。いや、そんなメタファーがわかるのは団塊の世代だけかもしれませんが(汗)。

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★ともあれ、すでに健全なPBL型授業ができるのに、さらに今までの人智を超えたPBL型授業に挑戦するというわけです。平岡先生は、今回具体的なICTを活用したPBL型授業ケー2つを提案しました。1つは、ルーブリックの集計をグーグルフォームで効率的に行うことができるようにしたのです。2つめは、Googleサイトを活用し、生徒1人ひとりが自己表現ホームページを作成することができるというものです。いわゆる「個別最適化」の動きとは全く違う次元の「個別最適化」です。

★「効率化」などというと、首都圏の私立中高一貫校でも80%は、教育は効率化ではないという勢力が学内で番をはっているものです。こうして、若き才能ある教師は出る杭を打たれ、静かになってしまいます。そして改革なんて動かないものです。

★この頑迷固陋な風土やルサンチマンが渦巻く組織と闘ってきたのが、柴田校長自身ですから、国語科の先生方のようにいイノベーティブな教師は、創意工夫に没入できるわけです。しかしながら、一方で、そこをわかっている柴田校ですから、ハードルも高いのです。どういうことかというと、「効率化」が表面的な楽になる程度の意味しかなければ、はねのけられるし、知識や理解は生徒の学力に合わせてAIやアプリで個別最適化し、創造的才能を豊かにするのは授業でなどというような一見合理的ですが、脳を非人間的に分断する個別最適化もまた認めないでしょう。

★知識・理解も、論理的思考も創造的思考も、きちんとICTを浸透させる挑戦をせよと。

★「個別最適化」をするには、一つはその生徒の学びの状況や考える幅や深さを知る必要があります。今までは、知識・理解ベースの定期テストで見てきたために、生徒の状況を全体像を知るのは、それぞれの経験値に任されてきました。

★それを4月から、ルーブリックに基づきながら単元テストを小まめに行って、痒いところに手が届く学びの環境をつくることにしたわけです。

★しかし、このルーブリックは、言うは易く行うは難しなのです。すでに大学入試改革でeポ-トフォリオが挫折しているところからもわかります。平岡先生が言う「効率化」は、実はルーブリックを行っても、それをデータ化見える化が困難だということに先生方がぶち当たっているので、そこを突破しようという提案で、「効率化」ではなく、不可能を「可能」にしようという話だったのです。そこを謙虚にも「効率化」と表現していただけなのです。

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★多くの学校で、ルーブリックの重要性を語っていますが、そういう学校でフルセットのオンライン授業をやっていない場合、スローガンにすぎません。実行力はなにのにルーブリックだと語っているのです。現場は大混乱だし、徹夜してもデータ処理ができない状況が起こります。それゆえ、現場でルーブリックの持続可能性は挫折してしまうわけです。

★ところが、それを可能にする研究を平岡先生は行い、国語科は、改革の1つの要素である「ルーブリック」を実現可能にする取り組みを実行していきます。しかもグーグルフォームの選択肢型アンケート機能と自由記述アンケート機能の相関を見ることができるので、経験だけでは見逃してしまう生徒の心と身体と頭脳の状況に気づくことになります。

★今回も、生徒の自由記述を分析しながら、どのようなフィードバックが可能か分析し統合していきました。そのうえで、アンケートデータとの相関を考えていくことになりました。声掛けの重要性は教師は皆知っていますが、その声掛けが生徒の状況をきちんとみないで、つまり俯瞰しつついまここでを把握する両方を見ることは、よほどの達人でなければできません。でいない場合、抑圧的でパターナリズム(父権主義的)なコミュニケーションが学内に蔓延します。

★品川翔英学園は、実はもともと柔らかいコミュニケーションが土台になっていますから、そこをエンハンスメントできることは歓迎です。生徒が自律して、創造的に活動し、それが貢献につながることをより促進し豊かにできることであれば、一気呵成に広がるでしょう。

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