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2020年10月27日 (火)

2021年変わる中学入試(15)静岡聖光学院 2025年問題を見据えた男子校

★静岡聖光学院。今回のパンデミックで最も早くオンライン授業に動いたカトリック男子校。保守的と思われているカトリック学校のイメージを払拭した功績は大きいですね。もちろん、時代を切り拓くNew Power Schoolとして他の追随を許さないでしょう。今12歳の小6は、2025年問題を迎える時は、17歳です。ここから大学入試がまた大きく変わります。超高齢化社会になっています。ICTのサポートは加速しています。

★ですから、まだ誰も信じていないでしょうが、教育においてもCBTはあたり前の世の中になっています。もしなっていなかったら、日本の教育はたいへんなことになっているでしょう。そのようなクライシス(パンデミックで経験済みです)に備えるために、同校は海外大学への道も切り拓いています。オンラインの海外大学は増えているでしょう。海外インターンシップもオンラインでできる機会も増えています。国連やGAFAのような企業は日本にも拠点があります。リアルにはそこでインターンシップを行い、海外とは巨大VR空間でやりとりをします。やりとりにC1英語は重要です。同校の英語教育やグローバルな活動がそこを目標にしているのには、そういう理由があります。

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★体験ができなくてどうのこうのと、今は言う人が多いでしょう。しかし、体験の時代から経験の時代に移行するわけですから、そこに備えなくてはなりません。また本間はわけのわからないことを言うといわれるでしょうが、体験と経験という2つの言葉を持っている日本語は優れた言語ですが、最近では、その差異を考えることをしなくなりました。

★もちろん、ネット上ではたくさんでてきます。しかし、日常生活では、すっかり体験=経験でしょう。そして、体験の意味に回収され、差異が消失しているのが現状です。今回のパンデミックで、ダボス会議の座長クラウス・シュワブ博士なども哲学の必要性を説いたり、GAFAがリベラルアーツを重視するのは、こういう視点を大切にしているということなのです。彼らが日本のガーデニングに興味を持つのは、こういう繊細な差異を言葉で表現できるからです。それゆえ、繊細過ぎて、世界言語になりにくいのですが。

★いずれにしても、日本人は哲学が苦手だと言われますが、日本語自体がすでに哲学的に差異を重視(ハイデガーが尊敬し恐れた九鬼周造の哲学が象徴的です)しているので、誰もが哲学を日常してきたのです。しかしながら、それを忘れてしまったのだから回復することが必要です。どうやって、C1レベルの英語によってです。言語の差異が、鏡になるのは、リサーチスキルの基本です。英語の学びも、ある意味リサーチ(研究)ですよね。

★ともあれ、そういう未だ多くの人が気づいていない未来を見据えて動いているのが静岡聖光学院です。どうしてそんなことができるのか?それは星野校長をはじめ同校の先生方は、世界を経めぐって情報を収集し分析しているからです。リサーチプロジェクトは同校の十八番です。

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★そんなわけで、オンライン授業を真っ先に行えたわけです。そして、この環境はますます発展し、テレワークとリアルな授業を同時にできてしまうパラレル・ハイブリッドオンラインPBL授業の環境を今準備しています。クラウド・ファンディングと寄付の両方で資金調達をしています。各教室がミニ放送局になるということでしょうか。

★そして、入試でもオンライン入試を行ってしまいます。首都圏ではオンライン入試は自粛ということらしいですが、学校法規上そのような規定はないので、未来を見据えて早速やってしまうわけです。もちろん、首都圏では、私立中高一貫校が多いので社会的混乱を引き起こす可能性があったり、文科省との関係でいろいろたいへんなのですが。

★ミネルバ大学のように日本の大学が動けないのも、大学の意志の問題というよりは、他の問題の方が多いですね。

★その点、静岡聖光学院は立地的に有利です。不思議なものです。明治維新の政府の智慧は、この静岡の地から生まれたものが多いですよね。新技術の軍事、北海道の酪農、横須賀ドックという海上貿易をサポートする拠点づくり、起業家精神、私学の系譜のルーツの1つをつくった江原素六という人材輩出などなど。

★21世紀のNew Power Schoolのモデルも、静岡は生み出そうとしているかのようです。いや、生み出してしまっています。

★2018年12月 8日 (土)、このホンマノオト21で次のような記事を書きました。「New Powerの学校×教師(04)静岡聖光学院 最先端のNew Power School」がそれですが、そこで次のような表を示しました。

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★同校にとっては、迷惑な話かもしれませんが、私の預言はあたったといえるかもしれません。すべての項目が実現しているからです。同校は寮があります。中高時代から海外大学への予備練習として大いに推奨します。プログラミングのオンライン入試まで実施すようになっているのは、その象徴ですね。

★よく業界関係者から、本間さんはなぜ静岡聖光学院をそんなに評価するのといわれます。同校が21世紀型教育機構に加盟したからですかと言われます。たしかに、それもあるでしょう。三田国際の預言もあたっているのは、改革当初から立ち会っているので、ディープな情報を共有できるからというのもあります。

★しかし、静岡聖光学院は、私自身が大学時代に同校のたくさんのOBに影響を受けたからというのもあります。彼らは経営者になっていたり、大学教授になっていたり、幼稚園を経営していたり、教師をやっていたり多才です。

★同校が21世紀型教育機構に加盟する前夜、私がかかわるかもしれないということを最初に相談しにいったのも、大学時代の同校OBの友人Mでした。Mには、本間がかかわるのは歓迎だが、やるからにはちゃんとやれよと念を押されました。大学時代、Mの自宅に遊びに行ったとき、真っ先に車で連れて行かれたのが、静岡聖光学院でした。母校を心の底から誇りに思っているのです。そこから眺める景色の柔らかいグリーンな光の世界は今も目に焼き付いています。

★ほかに4人のOGもいっしょにいましたから、それはもうワイワイガヤガヤでした。その明るく希望に満ちた雰囲気は、もちろん今も同校の特色です。ちがっているのは、当時彼らの口からでてくるのはサッカー部の話でしたが、今はラグビーが注目を浴びていますね。

★いずれにしても、静岡聖光学院は、首都圏に近い私立中高一貫校で、12月から入試が始まるため、学内はハイテンションで動いています。ワイワイガヤガヤは、同校の伝統です。そして、このワイワイガヤガヤが、パラレル・ハイブリッドオンラインPBLの中核でもあります。

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