新しい教育社会(11)私立中高の価値志向に対応した革新教師の4タイプ。
★「新しい教育社会(09)首都圏私立中高一貫校の革新性のベクトルが3方向に拡張。その背景で、教師の新しい生き方が生まれている。」で、首都圏を中心とする私立中高一貫校の価値志向を4つに分類しました。同記事の【図1:首都圏私立中高一貫校の学校の価値志向性分類】をご覧ください。今回は、それぞれの領域で革新教師がどんな動きをするのかその特徴を座標に重ねてみました。
★革新教師は保守教師同様、いずれの領域にも存在します。しかし、その領域の組織の在り方や人間関係という環境の影響で動き方が変わります。コンサバ領域では、圧倒的に保守教師が多いので、相手にされませんから、我関せずで「わが道を行く学者型教師」として動きます。広報活動や部活の顧問など自分の探究時間をとられるようになると、他の領域の学校を探し始めます。
★もちろん、自分を変容できない場合は、他の領域は魅力がありません。だって、今まで以上に忙しくなりそうだからです。じっと我慢して居座ります。しかし、環境がそうさせてきただけの場合は、どうせ忙しくなるなら、自分の特徴を生かせる領域に移ろうという動きになります。
★ブランディングリバタリアンの領域では、経営陣がマーケティング分析をして新市場のニーズに合う道具立てや施設を用意しますから、それを有効活用するようにマネジメントされます。新しい道具や武器、特にテクノロジーをガッツリ操作できるので、ある意味モチベーションはあがります。しかし、これ以上内発的なモチベーションが生まれてこないと判断した時は、やはり他の領域に移ります。
★タレントリバタリアンの領域では、基本資金力がある学校なので、先生に変われということほど厄介でコストがかかることはないと算段し、外部の専門家に外注します。つまり、「最先端の専門家と生徒の学びを結びつけるコーディネーター型教師」としてのロールプレイが、この領域では中心になります。
★コーディネートだけではなく、自分もプログラムをデザインするソフトパワーを発揮したいという場合は、やはり他の領域に転職します。
★こうして、流れ着く領域がDAVOS型タレント主義です。進取の気性に富んだ起業家精神旺盛の教師がたくさん集まってきます。それでいて、倫理観やジャスティスを重んじる、つまりfor othersの精神を大切にしています。そう表現した方が市場のニーズに適合するというブランディングリバタリアンの領域とは全く異なる領域です。
★for othersのマインドが内燃しているのです。ですから、「最先端の技術と学習する組織を結び付けシナジー効果を外注ではなく内製的に生み出すクリエイティブ教師」の動きをします。
★だんだんこのようなクリエイティブ教師が多くなり保守教師は他の領域に逆シフトします。非常に幸せでマインドフルネスなメンタルモデルに自己変容していく組織になっていきます。ただし、問題は、このDAVOS型タレント主義領域は、慈善事業家の力が必要です。日本ではまだまだそれがうまくいきません。したがって、市場の覇者に成れるかどうかは常に問題です。にもかかわらず、踏ん張っています。
★そこにこそやりがいやかけがえのない(Only One for Othersということらしいです)境地があり、ブランディングリバタリアン領域からみたら、大丈夫かね?ということのようです。
★リバタリアンは、スピードを大事にします。DAVOS型タレント主義は、そのような人のこと時間泥棒と呼ぶモモに親和性を感じていますから、違いは明白です。
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