PBLで世界は変わる(01)学内シェアと世界シェアの相乗効果
★PBL(Project Based Learning)という学びの環境を創る学校が増え始めています。PBLとは何か定義がわからないと叫ばれる時代は去ったかもしれません。もちろん、定義にこだわる人もまだまだ多いですが、自然科学のような法則の定義みたいなものではないので、それぞれPBLを行う人の定義から出発するのがよいわけです。
★そして、学校の場合は、アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーがあるので、その3ポリシーに連動する形でPBLの定義とか方針とかできていきます。各学校の3ポリシーは独自のものですが、それでも一般的なPBLとして次の5つは共通しています。
①根源的問い:テーマやBig questionを自ら見出し追究する。
②システム思考:そのために「リーサーチや経験→仮説→対話あるいは議論→検証の編集→表現→公共的な発信→・・・」という思考の作業工程の循環の輪=システム思考を豊かにしていく。
③最近接発達領域:生徒は①にいきなり到達できない。そのため生徒の発達段階に合わせて、ファシリテートやコーチをしながらケアやサポートをする。
④リフレクション:思考コードやメタルーブリックに基づいたルーブルックによるリフレクションを随時行う。
➄存在の価値:最終的に、生徒は「私とは何か」「私のやりたいことは世界にどうかかわるのか」という自らの世界観のプロトタイプを生み出しては、リファインし続ける生涯学習PBLを生み出していく。アイデンティティは成長する。
★このような5つの共通点をベースに、各学校のミッションと3ポリシーなどに基づいた手法や価値を組み合わせていくことになります。教師の役割もファシリテーターやコーチ以外のものも学校によってはあるでしょう。
★そして、1人ひとりの教師が自分のPBL授業のデザインを磨いていくのですが、学校というのはチームワークが大切です。いや学校に限らず、人間は社会的動物ですから、チームワークを創ったり、互いに信頼関係を築いたりすることは大切です。
★そのために、互いのPBL授業の想いや方法をシェアしていきます。
★まずは、教科でシェア、そして同時に、各教科間で学内シェアをしていくわけです。
★そして、世界では、PBLの動きは初等中等教育ばかりではなく大学でも広がっています。したがって、世界とのシェアも必要です。とはいえ、いきなり海外の先生方と始めるのはハードルが高いので、図にあるように世界で活用されているPBLに関する学習理論や教育方法、教授法など多角的なレンスを通してリフレクションしながら行っていきます。
★そのうち、オンライン授業をすでに多くの学校で行っていますから、海外の先生方とシェアしていくことになるでしょう。
★いずれにしても、「PBLの自己マスタリー→学内シェア→世界シェア」の循環を豊かにしていくことになります。
★もともと、医療現場や看護の現場でチームワークは重要だし、命に係わる問題は、今回のパンデミックもそうですが、新しい問題や課題が現場で生まれます。未知との遭遇は生命の現場では常に生まれています。昨今のPBLはそういう医療現場から生まれてきたものです。
★そして、医療現場のように生命の危機に常にさらされているわけではないように見える私たちの日常生活も常に生命にかかわっています。生命は、たんなる物質システムでも機械システムでもありません。では何か?誰も正解を持っていませんね。
★定義や法則がなければダメだと叫ぶ方も、実は絶対的定義や法則の正解がまだできていない生命を生きているのです。しかし、それを解明しなくてはいられないのが私たちでもあるのです。PBLとは私たちの生命とは何かを追究するプロジェクトです。多角的なアプローチで、そして新しいアプローチを生み出しながら、人類は誕生したときからずっとPBLを生きてきたと考えることもできるのです。
★日本の大学だけではなく、海外の大学も、独自の入試制度と同時に共通した接続方法としてPBLに対応する入試制度をつくりつつあります。日本の学習指導要領に対応する入試制度の発想そのものが問われる時代でも実はあるのです。オンラインで世界はつながっているので、このウネリを止めることは難しいでしょう。
★そのような世界的視野からみて、慶応のようなAO入試が生まれたことを、今一度再認識したいものです。
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