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2020年9月12日 (土)

思考コードがつくる社会(06)思考コードは裏切らない。三田国際・広尾・都市大等々力・武蔵野大・八雲

★何かと話題になっている共学校5校の国語と算数の入試問題の問いの思考コード領域の割合をいつものようにグラフにしてみました。

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★入試問題をみると、シンプルにその学校の本音がみえてきます。三田国際、広尾、都市大等々力は、合格者は、A2とB1がかなりできて、B2で差がつきます。

★武蔵野大と八雲は、A2とB1をしっかりやってきて欲しい。難問を解ける必要はないという姿勢です。

★いずれも革新的な教育を標榜していますが、最初の3校は、本音は偏差値が高くなりたいし、偏差値の高い大学に合格する生徒が欲しいというのが本音です。〇APIX出身の受験生が増えることを期待しているというのはそういうことで、思考コードはちゃんと本音を表現してくれます。

★一方、武蔵野大と八雲は、難問を頑張る必要はない。基本的なものの見方と考え方ができれば、あとは入学後ぐいぐい伸びますよと。もちろん、偏差値だけではなく、クリエイティブクラスになれる才能がです。

★ですから、適性検査以外に、両校とも独自の新タイプ入試問題を出題しています。基礎力は入学後で、創造的才能を豊かにしてからと。つまり、基礎から始まって、創造へという特性の生徒とその逆の生徒が学内で相乗効果を発揮します。

★このような創造的思考力が偏ってある生徒は、最初の3校では合格できません。

★それにしても、外から見ていると武蔵野大と八雲は全く違う学校のようにみえるのですが、多様な才能を大切にするという点と生徒のその才能を信頼しているので、学内が芸術的な豊かさでいっぱいにになるという点で共通しています。

★一方最初の3校は、芸術もICTなどの延長で、リベラルアーツ的な芸術の雰囲気はあまりありません。合格実績をあげるのに、芸術は不要だとはいはないでしょうが、三校の経営陣からバッハやモーツアルトの話は聞いたことがありません。

★ところが、武蔵野大と八雲の経営陣からはそのような教養はいつも話に出ます。実際、武蔵野大の講堂にはパイプオルガンがあり、毎日のように稼働しています。八雲は、近藤理事長校長がピアノの弾き語りをするほど芸術を大事にしています。

★日本ではアート市場は世界標準ではないので、ネオリベラリズム的マーケティング戦略が得意な学校は、当然日本ではアート市場の弱小を知っているため、教育でもそこは重視しないのです。極めて明快な戦略です。成功の秘訣はそこにあります。優先順位!比較優位!

★ところが、武蔵野大や八雲学園は、J.デューイ以降のプラグマティックなマーケティング理論ですから、芸術も大切にします。なぜなら、それが世界標準だからです。両校とも茶道も大切にしています。シリコンバレーが憧れるマインドフルネスな場ですね。

★バッハやモーツアルトを古い売れないと思っている私立学校と新しく再現できる学校とどちらを選択するか。選択の価値意識の違いがでてきます。どちらがいいかわるいかではないのです。思考コードはそんな価値意識まで映し出してしまうということを言いたいだけです。選択はあくまで、私事の自己決定です。

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