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2020年9月19日 (土)

思考コードがつくる社会(15)総合力の栄光、英語の聖光、安定した進学校浅野

★晶文社の「2021年首都圏中学受験案内」の思考コードのデータを見ていると、様々なことがわかります。合格戦略、併願戦略、6年後、10年後の社会的活躍など受験勉強、進路選択、キャリアデザインまで予想することができます。神奈川男子校といえば、栄光、聖光、浅野とすぐに思い浮かぶので、開成を基準に比較してみました。いつものように、科目別ではなく、4教科の合算の平均です。

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★すると、栄光と開成はほぼ同傾向なのですが、栄光が難問というより、思考の基礎を徹底して出題し、開成はどうしても難問を出題しなければならない状況だということがわかります。

★もともと、栄光は今と違って、通学時間を考慮して、一定の範囲から受験をするように制限していた経緯もあり、難問で選抜をする競争原理を働かせる必要がなかったのです。それにどちらかというと、風土が学問の基礎を大切にするカトリックのイエズス会が経営バックですから、思考の基礎の基礎であるB2思考を重視しえいるのでしょう。

★開成は、全国から受験しにきます。それゆえ、差がつく問題を出題せざるを得ないでしょう。しかも、科目別にみると、国語も算数も重たい問題を出題します。

★これに比べ、聖光学院は、算数でややB3問題を出題しますが、これは合格の決め手になるほど出題しませんから、他教科がそれほど難しくないという傾向にありますから、同校に合格する生徒にとっての受験勉強戦略はそれほど厄介ではありません。そうはいっても、B3を出題しますから、受験勉強では、そこを捨てるわけにはいきません。

★ところが、浅野は、B3以上の問題はほぼ出題しないのです。その代わり知識・理解思考のA3レベルの問題を聖光学院同様10%以上出題します。東大の一般入試は、A3のような知識の関係性をショートカットする力は確かに必要だし、B1B2思考力があれば十分です。つまり、A3B1B2思考がポイントです。浅野はそこにピンポイントであてているわけです。

★聖光学院は、併願する生徒がB3の力を持っているので、出題する必要がありますが、実はB3はC1を含む力なので、海外大学を狙うには、ここも必要です。

★浅野は、いわゆる東大を頂点とした学歴階層構造の中で、、東大から早慶上智に相当する大学くらいまでに進学できることが最終目標ですから、その意味で、安定した進学校校です。進学を第一に希望する場合は、とてもすばらしい教育システムを持っています。

★聖光学院の場合、入試問題で求める力以上の生徒が入学するということもあり、入試問題から見ると、栄光や開成より、浅野よりですが、東大の数がたくさんでます。これはなぜでしょう。明らかに英語の力です。

★聖光学院の帰国生入試の応募は毎年たくさん集まっています。洗足の帰国生入試と同じくらい応募があります。しかも帰国生を大量に合格させるわけではないので、相当難関の帰国生入試になっていると推察できます。そうまでして受験したいということは、帰国生が期待する学校だということです。聖光学院の英語教育に魅力を感じるということでしょう。

★東大の一般入試で、英語が出来る生徒は、特に帰国生は満点に近い得点をとります。他の教科が難しいので、差がつきにくいのです。そのときに英語でガツンととれば、合格します。

★栄光学園で、学問の基礎にこだわり、深みのある学びをして東大に行くのと、聖光学院で軽やかにグローバル感覚を身につけて東大に行くのとでは、将来のキャリアデザインも自ずと違ってきます。学者になる道は狭き門です。官僚やビジネスの世界で成功するのも狭き門ですが、教授の道よりは広いですね。それに、収入も違います。同じカトリックの学校でも、伝統的か革新的かの違いはあるわけです。

★もちろん、どちらがよいかわるいかの問題ではありません。私事の自己決定で、価値自由であることを何度も確認させていただきます。

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