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2020年9月 5日 (土)

工学院インパクト(09)家庭科×保健体育科 人間にとって大切なコトにかかわる自己存在をみつめる 英検や総合型選抜にもつながる

★片瀬先生の家庭科のPBL授業は、「反転授業→講義→ミニディベート→リフレクション→テスト(論述もあり)」という流れになっています。思考コード的には、知識の発見、論理的構築、クリティカルシンキング、クリエイティブシンキングが埋め込まれています。何より、リフレクションは、常に自分だったらどうするという自己存在への気づきを大切にしています。

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★いきなり自己とは何かと問うのではなく、身近なニュースや情報、出来事などから気づきが生まれる反転学習と講義をしてからミニディベートやピア・シンク&シェアを通して掘り下げていきます。するとドキッとしている自分にぶち当たります。このときケアが必要な時もありますが、片瀬先生は信頼関係を創るのにものすごい時間をかけていますから、生徒もそこを乗り越える勇気を持っています。だから、チャレンジするのです。自分ならどうするか?自分が大切にしている価値とは何だったのか?その価値を大切にするならば、自分の言動はこうなるのだと。

★このU型のストーリーは、柴谷先生の保健体育の授業も田中歩先生の英語の授業も同様だし、柳田先生の先生の社会の授業、臼井先生の国語の授業もそのバリエーションではあると。

★実はこのUのストーリーの構造は、物語構造論的には、最も人々が大切にしているシークエンスです。そして、現実はそうでないからこそ好まれるのでしょう。人気のスヌーピーなどは、小学生と話していると、⋂カーブなんだけど、おもしろい、いったいなぜだろうともなりますが。

★ともあれ、この授業のストリー展開、子供たちはどーんと自分や仲間との世界に没入していきます。このときの興味と関心の持ち方は、反転学習のときのものとは違うのではないかというZoom対話にもなりました。

★そして、授業と物語のU展開の大きな違いは、授業は生徒自身がそのUカーブを生きるのですが、物語はあくまで読者です。工学院のPBLは、自分とは何かを、家庭科や保険の授業で身近な社会で起きている問題を自分が引き受けて考えることによって、物語を眺めているだけではなく、その物語に実際にダイブする授業です。家庭科と保健体育科のPBL授業は、自分とは何か?人間にとって大切なものは何か?その大切なものは引き受けるかどうか?など実際的な地平で哲学する授業だったのです。

★それは、柳田先生の社会科の授業もそうです。ただ歴史的事実を並べ、その背景を調べ、歴史の物語を客観的に眺めているわけではないというのです。もし自分が吉田茂だったらそのとき自分はどうするというような主観も大切にしていると。臼井先生の国語の授業もそうです。現代文で学ぶ小説や論説文は、心情の変化や文章の論理構造を分析して終わりではなく、社会を見る目、自分を見る目を実装します。

★田中歩先生も、生徒たちがC1(英検1級レベル)を目指すプロセスで、2級、準1級とクリアしていくけれど、そのレベルでは、科学や政治、経済、心理学など様々な社会課題についてスピーチしたりエッセイライティングを創っていくが、それには、結局片瀬先生や柴谷先生のようなPBL授業を行う必要があるし、身近な社会課題はニュースに関心をもつ、つまり他者に興味と関心を持つということを生徒と大切にしていると。

★それはまた、自分とは何かをプレゼンする総合型選抜の膨大な書類や志望理由書、課題に対応する力にもつながると。

★マザー・テレサが愛の反対語は無関心であると語ったのは有名ですが、工学院の先生方が興味と関心を生徒が抱けるようになるPBL授業をデザインしようとしているのは、無関心の反対語である愛に満ちているからということだと気づきました。

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