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2020年9月 2日 (水)

水都国際教頭太田晃介先生に聞く(了)私が私になるwell-beingな学校

★昨年7月水都国際が開校1年目の前半に立ち寄りました。すでにそのときから、生徒たちはラップトップを持ち歩き、図書室に集まって何やら議論し、それに書き込んでいました。太田先生よると、生徒会を創るためのプロジェクトなんだということでした。

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★そういえば、水都国際の校歌の作詞も生徒たちが創りました。これも、生徒が自ら学校を創っていくプロジェクトの一環なんだそうです。この徹底したプロジェクトベースの活動は、当然授業にも及んでいます。いや授業がPBLだから課外活動や部活もプロジェクト型になるのかもしれません。

★PBL授業を行っている学校で、ここまで徹底している学校は東京でも数少ないですね。太田先生のイメージは、シリコンバレーのHTH(ハイテックハイスクール)もあるそうです。ただ、カリキュラムもテストもないというところまではいかないので、日本の教育事情の枠組みの中で、PBLを回していこうということでしょう。

★でも、このやり方、実はHTHが望んでいることの1つでもあります。日本では気づかれていないのですが、ハーバード大学のハワード・ガードナー教授のマルチプル・インテリジェンス(多重知能)は、日本では完成されているのです。エーッ!と思う方もいるでしょう。外国では、こんなにたくさん教科を学ぶカリキュラムは存在しないのですね。

★ガードナー教授の8つの知能は、すべて小学校から高校まで等しく全員が学ぶ環境に日本にはあるのです。ですが、ちょっとしたボタンの掛け違いがあり、知性の一部である知識に力点が置かれた授業になっているのです。

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授業や施設紹介は、すべて生徒が主語で行われています。CEFR基準でB2以上の英語教育×PBL×ICT×IB的素養をすべての生徒が体験します。今回のパンデミックによるオンライン授業へのシフトも完璧なまでにスムーズに実行できたということです)

★教科書がそうなってしまっているので、しかたがないのですが、もしも、各教科で教科書の背景にある知性やマインドを学べると、生徒たちはガードナー教授のいう多重知能を体得するコトになります。

★そこに気づいている学校は、知性やマインドを各教科で学ぶためにPBLになっているわけです。知性やマインドを学ぶので、知識の背景を深堀します。すると教科横断的な鉱脈にぶち当たります。また深堀するだけではなく、知識が連合しますから、思ってもいないところで教科同士がスクランブルしていることにも気づきます。

★当然、知識という客体の背景には、すべて人間同士のかかわりがあふれています。そこで生徒たちは、自分だと思っている以上の自分に出会います。PBLはコラボレーションしますから、今までやったことなのないチーム作りやモノ作りをします。リーダーシップとは何か?ものとは人間や自然とどう関係しているのか?わかってきます。その集大成がSDGsの活動です。

★太田先生は、SDGsの活動が象徴的ですが、PBLをやると、最初はみんなで知る・理解するから、それをどうやって世の中に活用していくのか、そして次には、自分なら新しくどんなリーダーシップをとっていくのか、モノを創っていくのかという広がりと深堀りが大きくなっていきますと。大きくなっていくたびに、私はまた大きくなっていくわけですねと。

★なんと、このステップは、ちゃんと太田先生の「内なる思考コード」のレンズで認識されているではないですか!一貫性!そう太田先生は科学者だったんです。大学院で研究した来たわけですよね。だから、一貫性をとても大事にしています。量子力学者デビッド・ボームの「対話論」の肝は一貫性です。量子力学的世界と一貫性というのは、一見相反しますよね。揺らぎの世界で、計算が特定できない世界を見ているボームが一貫性を語るのです。それぐらい太田先生のシンプルな学校づくりは、その背景は複雑系だということでしょう。

★さて、HTHが羨ましがっている発想は、水都国際のどんなところにあるのでしょう。それは茶室発想です。ガーデニングの発想です。HTHはエンジニアリングは最終的にはガーデニングに行き着くのだと。

★それはあのジョブスも行き着いた世界でもありますね。ラップトップを生み出したアラン・ケイもそうでしょう。

★宇宙ステーションに使われているミウラ折りは黄金比ではなく白銀比の折り紙の世界です。茶室やガーデニングも白銀比の世界です。コンパクトな世界が広げると大きな世界になるという発想ですね。テクノロジーの世界はどんどんミクロになっていきます。ナノテクノロジーはその代表的な科学の世界ですね。しかし、そのミクロの世界がとてつもない宇宙を創っているわけです。

★これを観念ではなく、建築空間や対話空間や医療の世界や教育の世界でやってのけているのが日本ですね。もちろん京都学派の西田幾太郎はそれを見抜いていました。ですから世界の若い哲学者は、西田哲学を新しいマインドを語るときに引用するほどです。

★ミクロと宇宙単位の一見結びつかないものを結びつける発想こそクリエイティビティだし、それを社会実装するほどの技術王国が日本です。そこを前面にだして共創していく人材の拠点が大阪市立水都国際だということでしょう。

★ともあれ、水都国際は、教師と生徒がチーム一丸となって学校づくりをしています。共創のプロトタイプは、まずはこの学校づくりにあるのです。そして、それが伝統になるのでしょう。

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