思考コードがつくる社会(10)東京私立女子中学校の入試問題の思考特性
★晶文社の「2021年首都圏中学受験案内」の思考コードのデータで、東京の私立女子校が出題する入試の問いのうち、B3とC軸の問題の割合を抽出してみました。国算でB3問題を出題している割合と思考力入試でC軸を出題しいる割合に注目しました。B3は国語算数の問題の中での割合を計算。C軸は、思考力入試の中で、C1C2C3の合算の割合です。両方とも100点満点で換算してあります。すると、65校中31校が、クリエイティビティ度を問う問題を出題していることがわかりました。東京の私立女子中学校の48%は、何らかの形で入試の段階でクリエイティビ度を測る問いを投げかけているということなのです。
★データが煩雑なので、単純にB3の割合とC軸の割合を混ぜて、ソートすると、次のようになりました。
1:聖ドミニコ 80
2:目黒星美 60
3:北豊島 58.5
4:淑徳SC 57.5
5:東京女子学園 57.5
6:大妻多摩 55
7:大妻中野 55
8:共立女子 50
9:女子聖学院 50
10:白梅清修 42.5
11:共立女子第二 40
12:佼成学園女子 40
13:神田女学園 39.5
14:十文字 39
15:東京純心 37.5
16:桜蔭 36
17:藤村女子 33.4
18:品川女子 32.5
19:桐朋女子 31
20:トキワ松 30.5
21:光塩女子 30
22:東京家政学院 30
23:中村 30
24:富士見丘 30
25:女子学院 12.5
26:豊島岡女子 11.5
27:昭和女子 10
28:鴎友学園女子 8
29:雙葉 4.5
30:学習院女子 3
31:江戸川女子 1
★江戸川女子のように、割合は少ないですが、B3問題にまでチャレンジしている女子校は、当然カリキュラムポリシーでも創造的思考を大切にしているということが見え隠れするわけです。
★B3は、論理的思考の軸なのに、なぜクリエイティビティが測れるのかと思われる方もいるでしょう。B3を出題する学校が少ないので、そこは単に難問だと思われがちです。たしかに、難問なのですが、論理的に積み上げていくだけでは時間内に解けないのです。考えるプロセスを創意工夫する必要があります。これはまさにクリエイティビティなのです。
★C軸の問いは、実際に正解のない解を、生徒が自分なりに創る創造性が必要なものです。プロセスだけではなくコンテンツも必要です。要するに作品ですね。
★実は、今後世界が求めるクリエイティビティは、プロセスのクリエイティビティとコンテンツのクリエイティビティの両方を充実していなければなりません。クリエイティビティの社会実装ということです。常識や従来のやり方を変容させかつ新しい作品やアイデアを生みだす。C3は、そのような両面備えたクリエイティビティへの問いなのです。晶文社のデータは、この2つの因子が入り込むとわかりにくくなるので、当然、創造的思考は作品が創られるかどうかで判断されます。そのような曖昧性はデータにはなかなか反映されにくいのです。
★そこは、少し今後解釈をしていきますが、今回は、しばらくは、晶文社のデータをシンプルに活用していきます。
★ソートをみると、聖ドミニコ学園のクリエイティビティ度の割合が高いですね。1学年80名という小さな学校だし、共学の附属の小学校からの内部進学の生徒がいますから、卒業してしまう男子生徒の分の募集です。ですから目立たないというのが実情です。
★しかし、ゆったりした豊かな時間を過ごせる教育環境だし、進学実績も驚くほどよいのです。海外大学も毎年進学しています。ダンスやコーラス、美術などの教育も豊かで、芸術系の大学も毎年多いですね。
★女子校と言えば、大妻グループ、共立グループが思い浮かびます。伝統校ですが、新機軸も次々と仕掛けてきます。やはり、クリエイティビ度が高い教師がいるということですね。思考コードをこうやって活用してみると、教育の中身や教師の特徴も予想できます。
★もちろん、あくまで推理ですから、興味と関心がわけば、実際に足を運びたいものです。ですから、はやくコロナ収束を願うばかりです。
★クリエイティビティと言えば、桐朋女子です。やはり上記のリストの中にちゃんと位置していますね。
★C軸ではないのですが、B3を出題している学校に、桜蔭、女子学院、雙葉、豊島岡女子も入っています。東大合格実績だけにこだわっている教育ではないことを示唆しています。
★もちろん、入試問題だけで、創造性に満ち満ちている学校かどうかはわかりません。女子美のように、クリエイティビティ豊かな生徒が受けに来るのはわかっているので、作品だけではなく、プロセスの創造性のポテンシャルを見るために、論理的思考の基礎は最低限みておこうとうする学校もあるからです。
★ですから、あくまで参考としてのデータなのですが、時代の精神と呼応していることもまた否定できないのです。
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