思考コードがつくる社会(09)工学院 自己変容率が半端ない。偏差値を突き抜ける仕掛け。
★晶文社の「2021年首都圏中学受験案内」の工学院の思考コードデータでは、2科入試と思考力入試の両方が公開されています。それをグラフ化すると、次のようになります。
★とてもシンプルな作り方になっています。国算2科目入試は、A1A2とB1B2の思考特性を求める出題になっています。思考力入試では、C1C2の思考特性を求める出題になっています。
★いわゆる偏差値で40~53くらいのレンジの生徒が入学していきますから、受験勉強の準備がやりやすいですね。驚くべきことは、この生徒たちが6年後、すさまじい成果をあげることになるという自己変容率の高さです。
(入学後教師が豊かにする思考特性のターゲットが明快で、そこを鍛える学びのデザインがされているのが、工学院の教育の奥義なのです。21世紀という予測不能な時代を牽引する人材は、クリエイティブクラスだと言われています。そのクラスが輩出される学びの経験ができるわけです。)
★6年間で、自分の人生を人から指示されて選択するのではなく、自分の内側から選択する思考力・判断力・創造力を養えるのです。しかも志が高いので、自ずとそこを乗り越えて自己実現していくGRITマインドや高次スキルを身につけていくことになります。
★ただ、自分ひとりでそれは限界がありますから、仲間同士協働しながら立ち臨みます。その仕掛けは、授業を中心にすべてがPBL型(プロジェクト型)になっているからです。
★高1から高2にかけて探究論文やグローバルプリジェクトに学年一丸となって取り組む豊かで最強のハードルが設定されています。それをやりきるためにも中学からGRITマインドを多様なプログラムで鍛えていきます。高入生は、そのことを知っていますから、その3年分を追いつくために必死になれるモチベーションの高い生徒が入ってきます。
★したがって、入学後、A3、B3、C3は難しいのではなく、ワクワクしながら挑戦していける思考特性だと感じられるプログラムが発達段階に応じて設定されています。そのプログラムが多様なために、外から見ていると複雑系なのですが、教師や生徒にとっては、複雑適応系であり、あるいは自律分散協働系の学びの環境であると感じられるわけです。
★生徒の自己変容率は、いわゆる御三家に比較するとすさまじいでしょう。世界大学ランキング200位以内の大学にたくさん進学するし、医歯薬系にも進みます。中高6年間で、自分とは何か、何をすべきか、見つめ、悩み、自信を持ちながら疾風怒濤の青春を通過できまるのです。
★なぜこんな複雑適応系の学びのデザインができるのか?それは工学院が自らの「思考コード」を有し、それを生徒も共有して活用しながら、リフレクションする内省型・共感型のコミュニケーションができる雰囲気があるからです。緻密でかつ愛が溢れる教育デザインが生まれる泉が同校の思考コードです。
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