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2020年9月29日 (火)

思考コードがつくる社会(23)新タイプ入試の意味「能力主義から才能主義へ」 

★新タイプ入試の意味がだんだん明らかになってきました。そのきっかけは、1つは、時代が求めている精神にマッチするものであるということ、もう1つは、晶文社の「2021年首都圏中学受験案内」のデータ「思考コード」のスコアによってです。

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★マイケル・サンデル教授は、新著の中で、今回のパンデミックは、世界中の人々が脱能力主義の重要性を感じ、公益性の意味の再定義を論じるようになってきたと認識しています。また、来春のダボス会議は、テーマが「ザ・グレート・リセット」で、今までの貪欲なリバタリアン功利主義では、今後の世界はたちゆかなくなる。リセットして、1人ひとりの才能を開花するタレンティズムに移行しようという流れをつくろうとしています。しかも、その才能は、協働することによってしか生まれないわけです。

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★落合陽一氏は「働き方改革5.0」のキーワードを「クリエイティブクラス」に的を絞っています。どうやら、時代の精神は、「能力主義から才能主義へ」というものでしょう。

★新タイプテストは、今までの2科4科中心の入試問題が、学歴社会という能力主義へ結びつく、簡単に言い換えれば、偏差値だけで選抜するのではなく、ほかの才能にも目を向けたものです。象徴的に脱偏差値という表現もとりますが、偏差値は統計学の計算式で、それ自体はいいもわるいもありません。

★ただ、一つの指標だけで選抜すると優れた潜在的な才能の持ち主を振るい落とすだけではなく、その子の才能に結果的に蓋をしてしまうおそれがあることに気づいたのです。

★そして、一つの評価指標から多様な評価指標へ移行していることが、スローガンや理念だけではなく、晶文社の思考コードのデータを分析するとなるほどそうだということが証明されたわけです。

★上記のグラフを見てください。晶文社の同書の中に、東京都の共学校のデータうち、国算入試と新タイプ入試の両方のデータを掲載しているところがあります。工学院、東洋大京北、宝仙理数インター、かえつ有明、文化学園大学杉並、安田学園、開智日本橋がそうです。この7校の国算数と新タイプ入試の思考コードの領域別に平均出題割合をグラフにしたものです。

★明快ですね。国算入試では、A軸B軸思考が中心で、新タイプ入試では、B軸C軸思考が中心です。

★公立中高一貫校の適性検査は私立学校の新タイプ入試と同じ傾向です。

★ざっくり、首都圏の中学入試(公立中高一貫校を含むを準備している生徒の40%は、新タイプ入試の準備をします。上記の新タイプ入試を行っている学校は、新タイプ入試で入学する生徒の割合は、入学者の10%~20%です。

★この生徒は、入学後、多様な才能を発揮し、リーダーシップも引き受けていく傾向が共通してみられるようになりましたが、論理的に思考し、クリエイティビティを放つのが好きなわけですから、実は学力面でも活躍していまいます。

★このような生徒は、2012年までは、私立学校では、合格をもらえなかったのです。論理的で創造的でも、知識が俄然不足しています。不足というより知識は調べながら考えていけばよいという生徒です。中高になって伸びるのはちょっと考えれば明らかなのですが、慣習上、その才能を見破る入試をやってこなかったのです。

★それが公立中高一貫校の適性検査によって入学した生徒の活躍をみて、私立学校もハタと気づいたわけです、。

★このような新タイプ入試は、時代の精神「能力主義から才能主義へ」という流れにマッチングするし、新タイプ入試で出題される深イイ問いが入試市場でも受け入れられるようになっていきているのです。

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