八雲サードインパクト(03)「ラウンドスクエア」と「YES」 生徒全員がC1英語への環境 その重要な意味。
★前回ご紹介した読売新聞の記事「独自のeラーニングシステムで生徒の学習意欲向上と海外大志向を後押し…八雲学園」にはこうあります。
「グローバル教育に力を入れる同校は、卒業時までに、語学力の国際標準規格「CEFR」のC1レベル(熟達した言語使用者)に到達することを目標に、生徒の英語力を磨いてきた。
そのために、レシテーションコンテストや「英語祭」などの学内行事を始め、アメリカのサンタバーバラにある学校の研修施設「八雲レジデンス」を拠点とした海外研修や留学プログラム、国際私立学校連盟「ラウンドスクエア」の国際会議など、さまざまな機会を充実させてきたが、これらを補足してさらに効果的なものとする学習法を検討してきた。」
★ここは、八雲学園のインパクト史を同校の英語教育の発展段階に沿って記述している箇所です。1996年に中学再開を八雲ファーストインパクトが世に広がりました。そのとき着手した英語の行事が、「レシテーションコンテスト」や「英語祭」、「サンタバーバラ海外研修&留学プログラム」などでした。「英語劇」も最高に盛り上がっていました。この時点では英検2級(CEFR基準でB1)をクリアできる生徒が増えてくれればという目標だったでしょう。
★そのレベルに達した生徒が、進学実績も出してくれたからです。
★そして、2015年からイエール大学との国際交流が始まって、生徒たちの中からもっと英語力を上げたい、イエール大学に行くにはどれくらいの英語力が必要なのかという質問が出始めます。イエール大学の音楽国際交流は、音楽が共通言語という雰囲気で、英語力育成ということではなかったと思いますが、それでも英語で対話する親密な2日間は、八雲生にとっては印象深かったはずです。
★今人気のミュージカル部「グリー」のサークル活動がすぐに始まりました。
★イエール大学へのパスポートとしての英語力はどれくらいか?先生方は英検で準1級くらいないと難しいと。そこで今度は国際私立学校連盟「ラウンドスクエア」への加盟の動きを開始します。2017年に加盟が認定されますが、2015年から準備し始めたのです。そして、国際私立学校連盟に加盟すると一つの問題が起こりました。世界は共学校が多いのです。SDGsのグローバルゴールズの目標の一つであるジェンダーの格差問題にも関連する社会課題も背景にあります。
★そこで、2018年共学校にシフトチェンジします。八雲セカンドインパクトが生まれたわけです。
★読売の記事は、しかしながら、その先を描いています。「さらに効果的なものとする学習法を検討してきた」と。それが、「YES」です。記事にはこうあります。
「「個々の生徒の能力に合わせて個別に対応できる総合的なシステムがあれば、一人一人の力をさらに伸ばすことができるのではないかと考え、本校独自のeラーニングシステム『YES』を導入したのです」と近藤隆平先生(英語科主任、海外・英語特別委員長)は背景を話す。
「YES」の名称は、「Yakumo English:Gateway to Success(八雲の英語 成功への道)」の頭文字から取っている。生徒全員が所有しているタブレットPCやスマートフォンなどを利用し、割り当てられた自分のアカウントで「YES」にアクセスする。システム内には、中1から高3までに学習する英語の練習問題やテストなどのコンテンツが収められており、授業で活用したり、自宅での宿題あるいは自主学習に使ったりすることができる。」
★ついに、八雲サードインパクトの幕は切って落とされました。C1英語への環境を、すべての生徒に作ったということを意味するからです。そして来春2021年から高校の共学化が始まります。3年前に中学から共学化をはじめて、その1期生が高校に進む段階から高校の共学化を開始するという丁寧な進化を果たしています。
★しかし、その丁寧な進化と同時進行で、ICTの授業の中での活用を模索してきました。それが今回のパンデミックで一気呵成に進みました。その流れに個別最適化学習の「YES」が合流したのです。(つづく)
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