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2020年9月18日 (金)

思考コードがつくる社会(14)ポストコロナの社会を変えるリーダーが生まれる場が絞れた②

★晶文社の「2021年首都圏中学受験案内」の思考コードのデータを活用して東京エリアの私立中学の入試問題の思考特性をみてきたわけですが、それをまとめると以下のようなデータが作れます。関西圏や高校入試、大学入試も分析してみたいのですが、何せ思考コードのデータ作成源は、首都圏中学受験専門の首都圏模試センターですから、それ以外のデータがありません。受験案内に掲載されているものも晶文社以外にはないのです。

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★それゆえ、今回のような大切な気づきは、一般にはまだまだという感じなのです。しかし、ダボス会議の革新的な動きを感じるセンサーを有しているのは、この首都圏の私立中学入試市場でもあるのです。よいかわるいかは、別として、ダボス会議の情報にフロンティアンテナを張り巡らして仕事をしている家庭層がここに集中しているのです。

★首都圏の私立中学に進む中1は、全国の同年代の中1に対してどのくらいの割合だと思いますか?ざっくり3%です。この3%の意味は何でしょう。それは、日本の富裕層は、全世帯の3%だということなのです。

★もちろん、実際の富裕層は高齢者に多いですから、中学入試市場のプレイヤーではありません。しかし、70%以上を高齢者層以外の若者層が占める準富裕層(アッパーマスも含めた広い意味での:純金融資産保有額3000万以上5000万未満)は、全世帯のおよそ23%です。

★首都圏ではなく、全国の私立中学と公立中高一貫校を合わせると、同世代人口の10%です。日本全体の地方は、公立王国が多いです。東京の日比谷みたいな高校に進学する層も含むと、だいたい20%になるでしょう。

★そして、ここから東大を頂点とする学歴階層構造のアッパーの部分に進むわけです。「富裕層経済―学歴階層構造―私立中学・公立中高一貫校などの選抜が中学段階である学校」という一連のつながりは、今更いうまでもなく、強いことは周知の事実です。

★この層をファーストクラスと私は呼びます。私立学校研究家というのは、この層の光と影を見据えて、社会が変わるヒントを掘り起こそうとするわけです。ですから、私立学校の光以外の部分には、辛口になるので、私立学校からも嫌われるのです。もちろん、意気投合する私立学校もあるわけです。そしてその意気投合するという価値を共有する学校が、世界を変えて未来を創っていくクリエイティブクラスの人材を輩出していくという信念を私は持っています。

★それゆえ、私立学校が、明治の時に、官僚近代社会とは違うもう一つの近代社会の理念やコンセプトを抱き、歩んだように、今回のパンデミックによる「ザ・グレート・リセット」も、ファーストクラスからクリエイティブクラスへというウネリが存在するのだといいたいわけです。

★来春のダボス会議の「ザ・グレート・リセット」はあくまでファーストクラスの制度設計の変更です。日本の私立学校の「ザ・グレート・リセット」は、クリエイティブ・クラスによる制度設計の創造です。

★このクリエイティブ・クラスを輩出する学校は、東京エリアの私立中学においては25%の学校だということが、今回の「思考コード」の分析でわかったのです。

★とはいえ、クリエイティブ・クラスは、B3思考とC軸思考の両方を含みます。男子校は圧倒的にB3思考です。これは、「ザ・グレート・リセット」の情報やウネリを察知するも、あくまでファーストクラスの枠内になりがちです。それでも、20世紀型経済成長モデルをリセットするのですから期待はかかります。

★しかし、C軸思考でクリエイティブ・クラスを輩出しようというのは、上記の表のような学校です。いずれもC軸思考のスコアです。すべてが、工学院、聖ドミニコ、聖学院、文杉のように、C1英語×PBL×ICT×リベラルアーツを先鋭的に推進する学校ではありませんが、B2英語×アクティブラーニング×ICTはやはり力を入れています。

★上記の表の学校は、今回の自粛の際のオンライン授業でもいち早く実行していった学校の面々です。こういう学校が世界を変え、未来を創るクリエイティブクラスを生み出す拠点となるでしょう。

★そして、これらの学校を御三家と比べ揶揄してきた方々もいます。その方々は、ご自身をファーストクラス至上主義者だということを示しているのだということでもあります。その何が悪いと言われるでしょう。その通り、私事の自己決定ですから、価値自由です。

★しかし、ダボス会議で、そのファーストクラスでさえも、「ザ・グレート・リセット」されるのです。クリエイティブクラスという彼らにとって両刃の剣でもあるソフトパワーの手を借りようとしているのです。

★25%といっても、同世代人口全体から見れば、0.5%です。しかし、このファーストクラスの階層構造経済社会を造った層もまた3%です。90%の国民の意識を変えることはそう簡単ではありませんが、3%の意識や価値意識を変容させることはかなり可能でしょう。タイミングがそうなってきています。

★今回の菅政権も、医療と教育に対してはICTを導入する規制緩和をすると言っています。総裁選で、「グレート・リセット」をぶち上げたのは石破さんんでしたが、菅政権もその流れをつかんでいることは確かでしょう。ファーストクラスグレートリセットになるかクリエイティブクラスが活躍する「ザ・グレート・リセット」になるか、今のところ、神のみぞ知るではありますが。

★いや、このクリエイティブクラスについて「働き方5.0」で触れている落合陽一さんは知っているかもしれませんね。

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