聖パウロ学園 イノベーティブエデュケーター(03)men for othersとしての<対話>が浸透②哲学的な対話×科学的な対話×人間存在としての対話
「聖パウロ学園 イノベーティブエデュケーター(02)men for othersとしての<対話>が浸透①」のつづき
★オンライン説明会の優れたところは、図やアーカイブ、データなどが可視化されて、それにスピーチが重なるため、わかりやすくなることです。また、オンライン説明会は時間を短く設定するのが通例ですから、コンパクトに全貌を俯瞰することもできます。
★今回のオンライン説明会でも、その全貌がみえてきました。まずざっくりみると、
1)とにかく教師と生徒、生徒と生徒との間の「対話」が大切にされているということです。
2)その対話は、英語であれ、日本語であれ同様です。言語で考え、判断し、表現する授業が(PBL)展開しているということですね。
3)その対話は、オンラインでもリアルな授業でも貫かれています。
4)対話が大切なのは、マスプロ型教育ではなく、少人数教育だからということですね。
5)パウロの森でネイチャープログラムや乗馬などのプログラムが行われていて、自然との「対話」も大事にされているということです。この対話は、健全な身体で感じる言語という認識があります。言語は文字以上の言語だという本来性に気づく自然との対話を大事にしています。同校の体育の授業が優れているところはそこです。オンライン授業の紹介でそれがわかります。
★かくして、いろいろな局面で「対話」が浸透しています。
★そして、そのことについて、同校主幹の小島綾子先生によると、
「パウロの森で、生徒は間伐や飯盒炊飯とかします。高校1年生は体育の授業の中で乗馬も行います。これらの体験はたしかに重要です。スリリングでおもしろいし、生徒にとっては、他校では日常生活の中で体験できない貴重な出来事です。
一方でそれは授業の中で行う学びでもありますから、体験を生徒が自分の人生に活かしていく経験とするには、体験と同時に丁寧にリフレクション(内省)の過程を経る対話を大切にしています。
間伐や飯盒炊爨の際には、外部のインストラクターをお招きするのですが、自然について外部の方と生徒が作業をしながら対話をするのです。そのような具体的でかつ自然という私たち一人一人の世界観に影響を与える場でいつもとは違う出会いの中で対話することの意味はとても大切です。
乗馬もそうです。やはり乗馬クラブの方との協働授業です。馬もまた自然なのであって、間伐や飯盒炊爨と同じ対話のカタチになります。
自然と人間の関係を対話によって学ぶことになりますが、それが本校で行っているSDGsの探究に結びつくことは想像しやすいと思います。こうして、自然と社会と人間の循環を対話していく環境を私たちは教職員一丸となってつくり、持続可能にする努力をしています。教育は里山や植木同様、きちんとケアしなければ、すぐにだいなしになってしまいますから」
★私の友人の哲学者アレックスは、哲学とはあるいは考えるとは、当たり前のものに意味を見出したりつながりをみつけるセンスメイキングのことをいうのだと語ります。どうやら、聖パウロの先生と生徒の対話は、無意識ではありますが、哲学的な対話もしているということでしょう。
★しかしながら、教育者は哲学者ではありません。いや哲学者でもあり科学者でもあるということなのかもしれません。よく教師はファシリテーターやコーチの役割も必要だと言われます。それは役割としてはそうですが、その役割の根っこは哲学者であり科学者であり何より人間存在そのもの(men for others)です。その本来性の問い返しがまずあっての話なのです。
★同校の科学の教師吉留先生の活動もまた本質的な対話を行っています。次回はここを考えていきましょう(つづく)
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