思考コードがつくる社会(03)自己変容と世界変容が呼応する時代
★昨日、首都圏模試センターの社長山下一さんとZoom対話をしました。テーマは、ポストコロナの思考コードの市場の広がりについてでした。「思考コード」について、学校や塾、出版社、メディアなどから同センターへの問い合わせもここにきて急に多くなってきたため、この状況をどのように組み立て、新しい社会の動きにマッチングさせたり、あるいは社会変動へのテコとして運営・発展させていくかという創発的な対話でした。
★「思考コード」にはいろいろな機能や意味・価値をこめて、2015年から、山下さんといっしょに作りこみました。これからの社会が才能主義やクリエイティブクラスというキーワードで語られるようになることを見越して、そのような未来を生み出す子供たちの才能が豊かなになる泉や根っこになって欲しいと。実際の社会をどのように認識し、受けとめ、新しい世界を映し出すのかそのレンズになって欲しいなどという対話もしました。
★そして、それを絵に描いた餅にするのではなく、首都圏模試センターのテスト開発や成績出力をますます的確なものにしていきたいと。公立中高一貫校の入試を分析したり評価システムを考えたとき、ルーブリックが必要になってくるということもあり、思考コードは「新タイプ入試」分析にも適合しやすいということも実証されつつあります。
★晶文社の「中学受験案内」でも、このアイデアは生かされるようにもなっています。一方私の方は、私立学校の先生方といっしょにPBL授業の開発をするときに、「思考コード」に相当するアイデアを共有し、未来の授業とテストと評価のサイクルを創出する活動もしています。
★山下さんによると、今回のパンデミックで、授業を対話やディスカッションを盛り込んだハイブリッド型PBLに移行したいという学校が、首都圏私立中高一貫校の中では推計45%(2020年6月首都圏模試センター調査から推定)くらいだということです。もちろん、やりたいというのと実際に行うというのには、まだまだ隔たりはあるだろうけれどというおとでした。
★PBL型授業は、ルーブリックが必要になりますが、それを作成する際のメタルーブリックとして思考コードが必要になります。この作業を先生方とできるようになると、その隔たりはなくなるねと。
★山下さんは、その幅広いマルチネットワークの中で、受験業界以外の領域の人材育成や組織開発に思考コードが活用できることに気づき、思考コードの活用ネットワークを拡大する交渉を続けているということです。なんとダイナミックな!
★ピーター・センゲやロバート・キーガンの組織の変容の仕方と自己の成長変容の仕方と思考コードがマッチングすることについても対話しました。変わるということは、世界の見方が変わることであり、世界を変える知的活動でもあります。
★今後、人間とは何か?自分とは何か?という本質的なところから大学入試や就職活動、プロジェクト活動が行われても行きます。すでにある組織環境の中で与えられた仕事をこなしていくには、A1A2の思考様式が備わっていれば大丈夫だし、その組織環境を運営していく主体的なリーダーとして活躍するには、A1A2A3B1B2B3の思考様式が必要です。
★そして今回のパンデミックにようる社会変動による新たな組織づくりをしなくてはならないとき、自己変容創造型の自己として活躍することになりますが、それには、A1A2A3B1B2B3C1C2C3の思考様式が全開となることが必要です。
★このことは、総合型選抜(AO入試)の志望理由書や課題に対する自分の考えを述べる時にも当然必要になります。公立中高一貫型入試や思考力入試などの新タイプ入試においても同様です。もちろん、グローバルな帰国生入試でも。
★現在はまだ仮説ですが、手ごたえは感じていると山下さんは語ります。そして、実証するには、実は膨大な首都圏模試センターのデータがありますから、トランジションプロジェクトなどを立ち上げれば、なんとかなるでしょうと。
★首都圏模試センターのメンバーは、現在はハイブリッド型ワークを行っていると言います。今後の社会がそうなることを見越して、自分たちの経験からいろいろ気づきを得ているということです。
★首都圏模試センターのメンバーと受験生、塾、学校の広報の先生方とは、思考コードが共通言語になりつつあるということです。従来からの共通言語である偏差値も、きちんと思考コードには含まれていますから、互いに理解しやすいということもあるでしょう。
★この市場を拠点に、どんどん拡大していこうという断固たる構想力を山下さんは持っています。世界を変える基準作りをしているのだと思います。今後がますますおもしろくなってきますね。
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