中高生の活躍(03)聖学院の三浦さん。
★本日、21世紀型教育機構で、中高生のプレゼンテーションコンクールが開催されました。聖学院の児浦先生からウチの三浦くんがプレゼンするからどうですかと。私が同機構の事務局をしていた時期(今は同機構を引退しています)に、毎回のようにセミナーに参加してくれて、盛り上がてくれていた三浦さん。もう高3生になっていたのですね。
★私がセミナーのジェネレーター的ナビゲーターを行っていたときのことです。ちと飛びすぎた自己満足的トークだったかなと内心おちこんでいたとき、さっと近づいてきてくれて、「おもしろかったですよ!」と言って爽やかに帰っていった姿は今も鮮明に記憶にのこっています。そんな落ち込んでいる私の気持ちを気遣うセンサーの持ち主に応えるのは当然です。二つ返事でウェビナー参加しますよとなったわけです。
★セミナーのテーマは「幸福度が高まる世界のデザイン」でした。Well-beingへの関心度が高いいまここでの旬なテーマです。ちょうど「自由か規制か」から「自由か幸福か」へとシフトしている今日的テーマについて、他校の高3生と対話しているところだったので、ますます時代の欲求するものの高まりを感じました。
★そして、いよいよ三浦さん。「失敗が幸せを生む?」というテーマでした。実に文学的なパラドクスを選んだものだなと感動しつつ、そういえば、あのとき私の落ち込みという失敗感をポジティブな捉え方にサッと転換するエールを贈ってくれた三浦さんならではの視点だなと思いました。
★失敗と成功の二項対立の背景にあるネガティブな固定観念をどうぶち破るか、ぶち破るというより、試行錯誤の飽くなき連続によって固定観念を持っている人々が認めざるを得ない状況に持ち込んでいくすさまじい信念の重厚感に、小手先のプレゼン技術や探究技術など吹っ飛ぶ感じがズシっときました。
★またチームのもう一人の生徒は当日参加できないということで、動画で参加。パラリンピックを契機に、心のバリアフリーを創っていくのにどうしたらよいかという提案を超えて実際に行った体験を語りました。
★おもしろかったのは、二人の別々のプレゼンではなく、劇中劇みたいな入れ子の構造になったプレゼンで、二人の着想は、失敗と成功を対立構造に持ち込む社会集合意識と障害者と健常者の対立観念をつくってしまうこれまた社会集合意識を重ね合わせ、それを解消するという点で協働・共創していることが伝わってくる力強いプレゼンでした。
★固定観念に負けずに不平不満を言わずに、むしろそういう固定観念を引き受けて共に歩んでいくうちに向こうの方が観念して負けたよというような感じです。固定観念を観念させるという物凄い戦略です。
★おそらくこの社会集合意識は、みなトラウマをどう乗り越えてきたかを物語る紋切り型のお涙頂戴プレゼンに慣れきっているから、三浦さんのように別の物語を紡いでいる新しい人間の場合は、苦労しますね。しかし、その苦労こそ、ピーター・センゲのいう誤謬確信に導かれる罠にはまることをはねのける土台を必ずや形成するのです。
★就職の時もそんなトラウマヒーロー物語を語る練習をする啓発セミナーや啓発本が多いです。AO入試対策なんかもそうですよね。
★でも本当は、いっしょに未来を創っていけるかどうかの出会いを待ち望んでいる人々が多いのではないでしょうか。出会いに過去は問題でしょうか。いまここから未来をいっしょにやっていこうと意気投合し共感し心の竜巻が起こる仲間に出会えたら最高ではないでしょうか。エンパワーメントとはそういうことです。
★そんな仲間と出会えたら、失敗もトラウマも、だから何だよとなり、一瞬にして固定観念は吹っ飛びます。
★その仲間が友人の場合もあるでしょう。三浦さんが写真を提示してまで紹介した児浦先生や伊藤豊先生のような教師の場合もあるでしょう。これから出会う大学の教授という場合もあるでしょう。それにいずれ未来の伴侶となる恋人も三浦さんを待ち望んでいることでしょう。
★プレゼン、出会い、マインドフルネス、響き合い、分かち合い、協働、そして友情と共創・・・なんてったて存在のインパクトこそ重要です。もちろん、魅せるプレゼンテーションのスキルも必要です。がっちりリーサーチすることも必要です。でも、それは、完成されたものでなくてもよいのです。大学に入ってから、就職してから細部に至るまで学んで修得していくものです。
★飛びたいと思って、1人の力ですぐに空を飛ぶことなんてできないでしょう。長い間、多くの人が挑戦し、協力して、失敗をものともせず繰り返し、ようやく飛行機を完成するのです。学問とはそういうものだし、人生ってそういうものでしょう。
★これから三浦さんが専門知識を学んでいくにしても、学際知を身につけていくにしても、その時にリサーチしたりプレゼンしたりするでしょうが、そのリサーチやプレゼンの力が今からそのレベルになっている必要はまったくないのです。
★ただ、出来るようになるなあという予感は大事です。あなたは未来にそうなるという予感がするよ。だからいっしょにやりたいねと共鳴し合えるかどうかが肝要です。そのためには、自分の努力はここまででよいということはないのです。試行錯誤の重奏低音を響かせながら歩んでいく存在の豊かさこそ三浦さんの才能であり魅力です。
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