ポストコロナ時代の教育(17)開智望小学校・中等教育学校の挑戦。
★7月31日、4月から開校した開智望中等教育学校の終業式が無事開催されました。小学部の教育の実現を行い、引き続き7年生(中1)の学年主任で教務主任の峰岸先生からメールを頂きました。小学校に続く中等教育学校のスタートはオンライン学習から始まったわけです。
★生徒も教師も、長い117日間であったと同時に、自己探究の道を歩んでいく中で、いきなり世界の痛みを感じつつ自己理解を深める機会であったと思います。パンデミックをたんなる自己の道を妨げる壁とみなすのではなく、自らを鍛え次なる地平へ弾む出来事としてとらえていったのでしょう。その生徒と共に歩みながら1人ひとりの夢に寄り添い、峰岸先生の想いを膨らませ、未来をいまここで紡ぎ出す情熱をメッセージとしてシェアさせて頂きました。
(写真は同校サイトから)
★終業式の様子とその時に峰岸先生が感じたことは、同校サイトの「[MYP] 117日目にたどり着いた1学期の終わりに…」で読むことができます。ぜひご覧ください。
★2022年から、立川国際中等教育学校が小学校と結合して、小中高一貫校を造るという記事がメディアで公表されましたが、すでに開智望は実践し、新たな教育のスーパーモデルを創っています。峰岸先生は小学校立ち上げの時からそのデザインと構築と運営にかかわり、中等教育へと新たな挑戦をしています。
★立川国際中等教育学校も、もちろん開智望モデルを意識しているでしょう。しかし、決定的に違うのは、開智望は、IBのプログラムをしっかりベースの1つにしているところです。
★今ベースの1つにしていると言ったのは、極めて重要です。実は中等教育学校の11年12年生になったとき、IBのDP(ディプロ)コースに進めるのはそう多くはありません。進まない生徒は、どうなるのか?ここを解決するために、探究総合という教科横断型と言った方がわかりやすいのでしょうが、実はリベラルアーツ型教育をもう一つのベースにしているのです。
★ですから、11年生以降は、DPコースと開智DPコースの二つにわかれます。
★そして大事なことは、これができるのは、PYP→MYP→DPと小中高一貫IB教育とそれに呼応する形でリベラルアーツ型の探究総合教育を創意工夫しているからなのです。
★IBであれ、リベラルアーツであれ、言語と数学と思考力と創造力は重要です。PBLという学びの環境の中で、深くリサーチし、議論し、編集し、プレゼンしていく。リフレクションはルーブリックで行うというところは共通しています。
★ただ、IBの最終目標は世界の大学へアプローチすることです。そして、DPのスコアが高くなければ意味がありません。現実的にはDPのスコアが低ければ、世界の大学は開かれないし、日本の大学への道も危うくなります。ですからこのコースはチャレンジングなのです。
★しかし、峰岸先生は、生徒にとっては、究極の自己理解のために学んでいるという感覚を持ってほしいし、だからこそ自分は自己探究を12年間し続けることの可能性をイメージしながら、現場でいろいろと望の学びをデザインしているのだと語るのです。ですから、DPだけが当然自己理解の唯一の道ではないのです。では、いわゆる受験コースでいいのかというと、それは偏差値という他者があてがう基準で人生をデザインするので、自己理解の旅をするのとは違います。
★ですから、自己理解のために学べる教育のデザインをしているわけです。人生とは時に戦略的にチャレンジする時もあるし、他者の思惑に右顧左眄しないで、自分とは何かを探究する純粋な生き方もあります。そのどちらでもないとき、人は周りの目が気になり、隣の芝生が青く見え、自分はどう評価されているのかばかり気になり、自己肯定感は常に低く、自信がなく、人をうらやみ、ねたみ、ひねくれ、不満たらたら・・・というルサンチマン型人生になってしまいがちです。
★小中高一貫が必要なのでは、小学校のころから、戦略的にチャレンジ旺盛か、自己理解を深める純粋な生き方を選択するかというところからスタートできるからです。
★中学入試の際には、もちろん、そのような受験生もいますが、ルサンチマン型人生におちいっている受験生もいます。中学に入学した時に、そのような生徒をルサンチマンから解放するためにオリエンテーションが行われるすてきな学校もあります。たとえば、栄光学園は、それを垢落としと言っていますね。
★しかし、小中高一貫となる開智望はその時間は必要がないのです。その分自己探求への道を深めていくことができます。果たして、立川国際がそのような小中高一貫のコンセプトやビジョンがあるかどうかですね。開智望の場合は、折に触れてIBの10の学習者像を教科学習の中で、リフレクションしています。これは、先生方の独自の考えでもありますが、IBの要請でもあります。世界のIBスクールはこのリフレクションを実施しているのです。日本の学校が偏差値表と対照して受験指導が行われている間に。
★いかに、10の学習者像による自己理解を深めるリフレクションが重要であり、世界との精神的格差が横たわっているか想像に難くないでしょう。
★とにかく、そういう人間創りの基準がなければ、ルサンチマン型人間は生まれてしまいます。
★開智望を選択する保護者は、かなり意識が高く、日本の文化の呪術的な心性を客観視し、文化を生んできたエネルギーとして認識しつつ、文化遺産として歴史遺産としての価値を認めながらも、世界標準ではそこから解放されている教育に触れさせたいと思っています。
★ある意味、峰岸先生は、そのリーダーです。開智望の教育デザインリーダーであるという意味でもそうですが、世界の事件の背景にある隠蔽主義、保守主義、責任回避主義、妬みの裏返しなどなどのルサンチマン精神をはねのける新教育システム構築のリーダーでもありましょう。
★開智望で創意工夫されていることは、実は世界性を同時に有しています。これからも大いに活躍して頂きたいと思います。
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