アサンプション国際小学校の意義(02)生徒を迎える前日の研修コミュニケーションの質の高さ②PBLの2つの考え方が同居
★4つのチームに分かれて、PBL授業のケースメソッドが行われていました。国語、総合、体育、イングリッシュの4つ。アサンプション国際小学校はアカデミックコースとイングリッシュコースがあります。イングリッシュコースはイマージョン教育が行われています。これは、他にないコースでしょう。そして、アカデミックコースも英語の時間はイマージョンです。ですから、ネイティブスピーカーの先生方は8人くらいいると思います。そもそも理事長も学院長も校長もバイリンガルです。
★たいていの学校は、この2つのコースはなかなかかみ合いません。まして、研修をいっしょにおこなうなんてことはなかなか難しいですね。ただの講演会研修であれば別ですが、今回のようにワークショップは超難しいですね。
★ところが、アサンプション国際はなんなんく楽しんでしまします。なぜでしょう。それは共通言語をアクティビティを伴うコミュニケーションがベースのPBLだからです。
★言語だけで理解しようとするのは、難しいですが、音楽や美術同様、いっしょに行動するワークショップ型のPBL研修は一種の協力ゲームですからハードルは下がります。
★そして、ハードルが下がるので、ところで、さて、そもそもという議論にもなりやすいのです。実は多くのネイティブスピーカーの先生方は、PBLを語る時、大事なことはコンセプトや戦略であるということになります。だから、今回私がお手伝いした茶室型のPBL分析システムは、ちょっと違和感があったようです。
★とことが、日本人の先生方は、コンセプトや戦略とは何かからはいるよりも、一つひとつのアクティビティにどんな意味や効果があるのか、子供たちはどんあ思考のスキルを使うのかを対話する方が好みという場合が多いのです。そして、その結果ケミストリーが起こり、コンセプトが生まれてくる。そういう感じなのです。
★つまり、ネイティブスピーカーの先生方のPBLのデザインアプローチは、演繹的なピラミッド型なのでしょう。しかし、これは、PBLを使うかどうか決めかねている日本人の先生方がみよみまねでやるととんでもないことになります。
★アサンプション国際小学校に応募してくるネイティブスピーカーの先生方は、そもそもPBLが授業が得意ですから、アクティビティは当然なのです。ですから、大事なことはコンセプトと戦略さえ共有できたら、自動的にどんなアックティビティやスキルを活用するかは、あとは任せてくださいよという話になります。
★だから、日本の先生で、PBLを積み重ねてきていない段階で、ピラミッド思考を活用すると、具体的なアクションにつながらないスローガンを吠えまくっているだけになりがちなのです。
★日本の学校でPBL導入に失敗するケースが多いのは、このピラミッド型思考で、あとは現場でやりなさいという放置型マネジメントだからです。
★そこで、今回は「神は細部に宿る」というバウハウスの建築家ミース・ファンデル・ローエやカトリック神秘主義のエックハルトが好んで使っとされる曼荼羅型の発想もうまくいく茶室型PBL分析システムを使ったのです。
★コンセプトにこだわるもよし、スキルにこだわるもよし、アクティビティにこだわるもよし、パターンランゲージにこだわるもよしなのです。1つひとつのピースにこだわって対話をしていくことで、そこにコンセプトや戦略が生まれてくるのです。
★一神教の文化にはピラミッド型(オプラトニズムの哲学)、多神教の文化には曼荼羅型の思考発想法でアプローチしたのです。ナノテクノロジーでは、前者をトップダウン、後者をボトムアップといいます。
★どちらからいっても、2つの思考発想が相互補完すれば、ものすごい相乗効果が生まれます。それをアサンプション国際小学校は生み出しているのです。この相乗効果は、このような教師環境がなければできません。アサンプション国際小学校は、谷あり得ない環境を実現したのです。
★そして、それができる他校に真似できない重要な理由は、ファシリテーターができる教師の存在です。今回は森本先生、安本先生、阿弥先生、蒲生先生が行いましたが、実際には少なくともその倍はいます。
★今回この二つの思考発想があると明快に気づいたのは、ファシリテーターの森本先生のおかげでもあります。森本先生はネイティブスピーカーのチームのファシリテーターの役割を果たしました。チームの話し合い後、チームのファシリテーターと私との間でモニタリング対話をしましたが、以上のようなことを、そのときに森本先生と対話できたのです。演繹的でしなやかな思考発想法を身につけている先生ですね。
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