工学院インパクト(06)生徒1人ひとりの価値を生み出す教師と生徒のチームワーク。 誰も置いていかない、出来ることはなんでもやる。
★世の中、これからの組織は、ティール組織だとかボトムアップ型組織がよいとか、トップダウン型組織ではダメだとか、いろいろ喧しいですが、そんな議論から始めるのではなく、いまここでどの生徒も置いていかないで一人ひとりがみな自分の価値を生み出すためには何が必要か何ができるのか考えて行動する教師ばかりの工学院は、取材に行って本当に心が晴れ晴れします。
★学習理論がどうのこうのではなく、いまここで生徒が目を輝かす学びの実践を理論化する。つまり生徒と一緒に学びながら最適な学習理論も創ってしまうアクションを俊敏におこしている教師と生徒のチームワークにこそ、つまりすでにここに未来の教育があります。
★もちろん、どこよりも工学院の先生方は最先端の学習理論を学び、ICTも駆使し、グローバルな経験もしています。そのうえで、理論武装するのではなく、実践をするのです。学んだ理論は実践の中でアップデートしてしまいます。
★とにかく教師は、目の前の生徒の価値を高めるためには、できることは何でもやるんです。やりすぎて押しつけになるかもしれませんが、それは生徒がそう感じれば、先生ちょっと待った、そこからは私がやるからと。ああ、そうだったねと。こういう対話ができるから、1人ひとり違うことがわかるのです。
★逆に、手放していると、生徒の方から、お~い、先生、先生、放置しすぎだよと。すると、そうかやっと出番だなと目を輝かせてかけつける場合もあります。互いに今必要だよあるいはいまはいらないよということをオープンに対話ができる状態が共感的コミュニケーションの広がりです。
★もちろん、教師は全知全能ではないですから、いろいろな情報や外部のリソースと結びついて、協力し合いながら生徒1人ひとりの価値を生み出すハイパーループを生み出していきますが、どこまでも生徒1人ひとりの行く末を引き受けるのが工学院の教師です。そして生徒はそのような教師を信頼しています。もちろん、不満も言うんです。賞賛もするんです。悔しがりもするのです。助けて欲しいというときもあるんです。
★だから、いつも教師はバタバタです。生徒のためですよ。「~のため」とかは押しつけがましいとかよく言う方がいますが、今目の前で必要とされていて、動かないほうがどうかしています。
★今日も一学期のまとめのグローバルプロジェクト(高2)の事前学習だというので、取材というより様子を見に行きました。すると、先生方は神出鬼没で、何人もの先生が、すれ違いざまに、こんなことを今日はしているんですと情報を提供してくれるのです。基本先生方は小走りで前のめりです。
★昨年から、工学院の教育の総まとめというか総動員というかとにかく大きな渦がダイナミックに回転するプログラムであるGP(グローバルプロジェクト)が行われています。英語とICTとPBLという基本スキルを使って、1年かけて実際に社会貢献活動や起業をしてしまうプロジェクトです。
★アメリカやバングラディシュ、タイ、カンボジア、沖縄など現地に行って、そこで何が必要とされているのかフィールドリサーチをしていきます。多くの方々にインタビューし、自分たちができることは何か探っていきます。そして現地の人々と協力して事を成します。高1・高2の前半までに探究論文をこれまた全員が行います。
★ですから、同時並行的に、チームで探究どころか、実際に社会実践を創り出してもいくのです。論文も大事ですが、そこから発展して、社会の中で自分の学びや探究がどう生かせるのか?事前学習で、間口を広げ、気になる論点を深堀していきます。
★自分たちだけのメガネでは、見えないものもあるので、各エリアのコーディネーターの講義とワークショップも経験します。今回はこの講義とワークショップを受けていたようです。
★自分たちは調べ尽くしたと思っても、現地の方から見れば、まだまだです。生徒は自分たちの視野を広めるためにもっと足場を広くしようと感じたでしょう。そうやって、情報を広く深く探りながら、ある程度仮説を立てて現地にいきます。そして、そこでその仮説は創造的に破壊されてしまいます。この強烈な限界を超えるような体験こそ、未来から自分の像がはっきり映しだされるのでしょう。
★さて、今回は昨年と違って、コロナ禍にあって、海外渡航はできない状況になり、事前学習は途中で変更になっています。しかし、どこに変更するかは、生徒がある程度企画提案するところから始まったようです。あるチームは、バングラディシュと八王子と京都の共通ビジネスに気づきました。そこで、海外に渡航できないので、今のところ京都フィールドリサーチを考えているようです。
★結局八王子の産業再構築のヒントを見つけたことになります。いろいろ関係を結合していくことによって、隠れている新たな結びつきが見つかる瞬間ですね。フィールドワークによって、もっと驚愕すべき事態に変容していくのでしょう。
★今回、チームによっては、現地からこられないコーディネーターとは、Zoomで講義を聞いたりワークショップをやっていました。
★眼前に立ちはだかる壁をいかに乗り越えるかチームで話し合い行動にうつしているわけです。
★このような環境を教師と生徒がデザインしながら行う総合的な工学院教育の結晶がGPなわけです。
★いずれ、生徒のみんさんにインタビューする機会を雨宮先生がつくってくれるということですから、楽しみにしています。たぶん、Zoomインタビューになると思いますが。
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