ポストコロナ時代の教育(18)クリエイティブクラスまでの過渡期としての階層構造
★しばしのお盆休みですが、忘れると困るので、簡単にメモしておきます。コロナ禍のオンラインなどで知り得た情報をまとめると次のような図になります。
★パンデミックによってSDGsの再定義が進んでいます。オンライン授業で、知識のデフォルトが進んでいて、思考力や創造性が重視され、共感的コミュニケーションの大切さを語るリーダーが増えてきました。もちろん、データはありませんから妄想ですが。ただ、私の周りがそうなっているわけで、私が変わっているわけでも旗を振っているわけでもないので、肌感覚データはそうはずれていないでしょう。
★これによって、最難関校―難関校―中堅下位校といった格差意識を当たり前とする価値観は崩れ始めています。
★たとえば、新渡戸文化は、学校全体がクリエイティブクラスになろうとして動いています。昨日の大妻中野、佼成学園、文化学園大学杉並のようなNew Power校は、学内の中にクリエイティブクラスを生み出しています。聖学院や工学院、武蔵野大、三田国際、かえつ有明、聖パウロ学園も同様です。
★そして、実は八雲学園と和洋九段女子、ノートルダム女学院は、すでに学校全体がクリエイティブクラスになっています。
★何より、聖学院で開催されたオンラインセミナーで登壇した山口由人さんのような中高生起業家は、すでにクリエイティブクラスの社会を生み出しています。
★クリエイティブクラスについては、来春のダボス会議でようやく世界で共通認識になるし、落合陽一さんが「働き方改革5.0」で重要なトピクとして論じていますから、ぜひご覧ください。
★いずれにしても、そう簡単に世の中がすべてクリエイティブクラスにはなりません。学歴社会みたいな階層構造はなくなるでしょうが、その代わりに、ニューパワーとオールドパワーの階層葛藤があります。今それは学校現場で起きていることでもあります。それがまだ学歴社会の葛藤と思われていますが、それはニューパワーとオールドパワーの葛藤にシフトしています。これについてはいずれまた。
★そんな中でオンラインやテレワークで巧みに学びや仕事ができた生徒やビジネスマンは、一足先にクリエイティブクラスのポジショニングをとっています。
★ただ、クリエイティブクラスという概念やメガネが世の中に広がっていないので、目の前に広がっていても気づかない場合が多いでしょう。八雲学園や和洋九段女子、ノートルダム女学院は学校全体がNew Powerであるだけではなく、クリエイティブクラスです。工学院も、グローバルプロジェクトがそれを生み出す契機になっています。
★品川翔英、新渡戸文化、横浜創英も今着々とクリエイティブクラスを学校全体で生み出す教育を実践しているところですね。
★ただし、世の中だけではなく、学校当局も、クリエイティブクラスというメガネをかけていないので、自分たちのそういうオーラが見えていないということもあるのがなんとももどかしいのですが(笑)。
★ともあれ、しばらく、新しい階層構造が続きますが、新SDGsができて遂行されていくと、階層構造が解消されみんながクリエイティブクラスになるでしょう。いったいどんな世界?それはミヒャエル・エンデがすでに描いているし、友人アレックスがショックドクトリンの背景にある発想を哲学クラスで取り扱っていくだろうし、工学院の石坂先生がウィリアム・モリスについて授業で取り扱っていて、すでにそんなことが学校現場で起きているということが興味深いし、マルクス・ガブリエルとその仲間たちも思い描いています。
★もはや夢物語ではなく、クリエイティブクラスの社会実装は現実的なものになりつつあります。欧米では、クリエイティブクラスは40%に達しているとも言われています。
★もちろん、そうなったとしたら、そうなったで階層構造はまたできるかもしれません。しかし、新SDGsで欲望資本主義を産業革命以来生んできた決定的な根っこを掘り起こしてしまえば、資本主義なき市場経済ベースの民主主義が成り立ちます。
★その根っこの掘り起こしも、すでに産業社会で試みられていますが、まだ既得権益闘争で進んでいません。ポストコロナの新しい都市デザインがどうなるかで、この既得権益を切り崩すことができるかもしれません。
★現状のクリエイティブクラスが、この根っこの掘り起こしをする動きはまだ見えません。というのも、既得権益をもった企業にからめとられていますから。まだまだオールドパワーはしぶといのですね。クリエイティブクラスが、もう少し世界のクリティカルシンキングを発動するのを待ちましょう。
★エっ!本間さんは言っているだけ?そう言われるのもわかります。ことは慎重なので、クリエイティブクラスが、そこに気づくのを少し待ちます。もちろん、そのとき動けるように新宇宙船地球号はつくる準備はしています。3年はお待ちください(汗)。
★それでは、しばしお盆休みを。みなさまも、ご自愛ください。
| 固定リンク
« ポストコロナの大学入試問題(04)総合型選抜(AO入試)への取り組みの意味 | トップページ | 2021年変わる中学入試(03)新渡戸文化の画期的な中学入試 生徒が主語である学校のアドミッションポリシーとはこれだ。 »
「創造的才能」カテゴリの記事
- 外国人日本人のハイクオリティの技術に浸りながら 未来をここにつなげるピースを見つける(2023.12.07)
- PISA2022結果に対するメディアの反応 メタ認知でモニタリングを(2023.12.06)
- 今後の中高における生成AI活用の重要性(2023.12.05)
- 2024年中学入試(06)湘南白百合の海外大学進学準備教育(2023.12.04)
- 2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活(2023.12.03)
「中学入試」カテゴリの記事
- 今後の中高における生成AI活用の重要性(2023.12.05)
- 2024年中学入試(07)今年も工学院は人気 共感的コミュニケーションの可視化 生成AIだからこそ(2023.12.05)
- 2024年中学入試(06)湘南白百合の海外大学進学準備教育(2023.12.04)
- 2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活(2023.12.03)
- 2024年中学入試(04)サレジアン国際学園世田谷 画期的な「国際学園」(2023.12.03)
「創造的対話」カテゴリの記事
- PISA2022結果に対するメディアの反応 メタ認知でモニタリングを(2023.12.06)
- 今後の中高における生成AI活用の重要性(2023.12.05)
- 2024年中学入試(07)今年も工学院は人気 共感的コミュニケーションの可視化 生成AIだからこそ(2023.12.05)
- 2024年中学入試(06)湘南白百合の海外大学進学準備教育(2023.12.04)
- 2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活(2023.12.03)
「創造的破壊」カテゴリの記事
- どうする東京の私立学校2024(2023.12.01)
- 【研究所ブログ第6回】教科の授業と探究の接点(2023.11.27)
- 国立大学「地域枠」6割に 都市の生活社会をどうするかも当然重要(2023.11.27)
- 2025年以降は、教育力を「外生的技術進歩」と「内生的技術進歩」と「哲学シンキングなど」の3つのスコープで学校選択ができるようになる(2023.11.24)
- 羽田国際② 人口減の未来に外生的技術進歩と内生的技術進歩を統合する人材輩出に期待(2023.11.23)
「入試市場」カテゴリの記事
- 私立学校の教育は経営システム基盤と経営コミュニケーションがレバレッジポイント 事務長の人間力が凄い(2023.10.06)
- 2023年夏の「私学経営研究会 教頭部会」 21世紀型教育と生成AIとリーガルマインド(2023.07.27)
- 東京私学教育研究所情報(05)私学経営研究会(理事長・校長部会)第1回委員会開催(2023.04.23)
- 2024年中学入試の行方(08)子供たちの未来を遅らせる言葉の数々に惑わされないで前進する私学(2023.02.21)
- ドネラ・プロジェクト(21)「主体的」の意味のアップデート キェルケゴールとウィトゲンシュタインとデューイを超えて(2022.12.21)
最近のコメント