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2020年8月 5日 (水)

ノートルダム女学院(05)プレップ総合コースの大切な教育的価値。ルソーの眼差しでみてみると素晴らしいことがわかる。

★8月夏休みに入って、ノートルダム女学院のプレップ総合コースの中学生がアクティブなプロジェクトが動き始めています。その名もスマイル・プロジェクト。1年生は9月、2年生と3年生は10月の発表に向けて動いています。本番に向けて元気に活動している様子が随時facebookで発信されていますが、これも生徒の手によるものです。

★今年はwithコロナの最中ですから、オンライン文化祭です。そこで恒例の演劇を上映するのでしょう。生徒は、キャスト、ダンスアンサンブル、コーラスアンサンブル、舞台美術担当、衣装担当、宣伝・制作担当等々総合的なロールプレイが展開しています。協働でアートを創出しています。まさにプロジェクトですね。

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★宣伝・制作担当の生徒は、iPadやラップトップで、プロジェクトの活動プロセスをSNSで発信し、同時にフライヤーの絵を考えたりしています。そう「フライヤー」なんです。チラシではなく「フライヤー」と表現するのは、やはり重要な意味があります。

★美大や音楽大学で、自分たちの展示会や演奏会の告知をするとき、チラシではなくフライヤーと表現します。それは、フォントから写真、絵、文章まで、一つひとつにメッセージを込めます。また配置によってトータルなメッセージを目に見えないシンボル化をするわけです。すてきな創造的な活動ですね。

★このメッセージを込める活動は、すべてのロールプレイで行われます。楽譜のアナリーゼ、歌詞のアナリーゼ、せりふのアナリーゼ、一挙手一投足の意味、発声の意味などを考え、話し合い、演じるのです。

★これはJ.J.ルソーによると祭りです。どういうことかというと、ルソーは、ジュネーブ市民のために、演劇を鑑賞するだけでは、一方通行的な教授法(instruction)と同様で、あまり市民育成に効果はないのだというのです。そうではなく、多様なロールプレイを行いながらみんなで参加することによってジュネーブ市民はのびのびと自由な感覚をもって育っていくというのでしょう。今でいう“construction”ですね。instructionからconstructionへ。一方通行的な教授法からプロジェクト学習へという同校の教育デザインのコンセプトそのものです。

★そして、笑い。練習や制作、発信活動は真剣そのものでフロー状態(学びの大切な心理状態で、没入している姿をさします)になっています。しかし、日常にもどったとき、その集中した状態から解放されます。この解放されたときに笑いが生まれるとはベルクソンの哲学ですね。

★笑いには、何かから解かれる時のサインです。このような笑いに満ちている学院は、フロー状態になる機会が多いことを示唆しています。まさにプロジェクト活動はフロー状態と笑いのスクランブルです。

★したがって、先生方は、この笑いのサインの意味を見分けることができます。あっ、いつもの笑いと違うな。何かを回避する笑いだ。様子を見てみよう、対話をしてみようとなります。

★そのようなサインは、しかし一方通行の授業だとなかなかキャッチできません。PBL授業だからこそ、気づくチャンスも多いのです。

★ルソーやベルグソンの思想は古いかもしれませんが、気候変動やパンデミックなどの異変があったとき、本来的な生の息吹に導く思想として、その都度顧みられます。

★ノートルダム女学院のプレップ総合の生徒の活躍は、そんな本来的な生の息吹を日々生み出しています。

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