ノートルダム女学院(03)創発型授業デザイン花開く。
★昨日のノートルダム女学院のオープンスクールで実施された9つの授業。いずれもすてきでした。授業の様子を見に教室を訪れると、そこには知と感情と愛と情熱の花が咲きこぼれていたのです。
★しかも、いずれも15分から20分で、できるだけ受験生が多くの授業を体験できるようにローテンションを組んでいたのです。そんな短い時間で何ができるのと疑問に思われるかもしれません。
★今回オープンスクールでは、PBL(プロジェクト型学習)という言葉は使いませんでしたが、パンフレットに載っているように、同校ではこのタイプの授業デザインを試行錯誤しています。型からはいるというより、ペアワークやディスカッション、何よりリフレクションを小まめにいれる創発型の授業です。
★生徒が自ら論理を構築し、ジレンマ問題を見つける批判的思考をフル回転し、何をすべきか創造的思考を作動させます。そして、その前提には体験があります。ですから、授業の50%は教師がレクチャーを引き受け、残りの50%は生徒が学びの責任を引き受けます。この教師と生徒との学びの共創が同校の際立った特徴です。
★ですから、9つの授業では在校生がファシリテーターやアドバイザーを引き受けていました。緊張した受験生は先輩たちの声掛けに心を開いていったのです。そこに知と感情と愛と情熱が互いにつながりステキな花を開かせていたのです。
★しかも、教師と生徒の共創だけではなく、教師同士の共創もありました。たとえば、社会の授業では、認知科学や心理学、哲学の認識論で扱うトリックアートが材料として授業が展開していましたが、実は脳科学の問題であると種明かしがされ、理科の先生が参入して脳科学のワークにシフトしたのです。これまた、社会科学、人文科学、自然科学の共創が繰り広げられたのです。
★高校の国語の授業は、オノマトペのワークショップ型授業でしたが、ここでも数学の先生と家庭科の先生との共創が展開していました。実はマテリアルの絵からオノマトペをイメージする思考回路は、変形という数学的思考でもあるし、ワークショップのための道具作りは家庭科の技術を使っていたようでした。
★また、高校では科目としてはないのですが、中学の授業で行われていた言語技術のスキルも、オノマトペのワークショップで活用されていました。このような学びのスキルの内定連関は普段外からみていたのでは見えませんが、オープンスクルールでは可視化されています。
★さらに驚いたのは、書道の授業でした。パフォーマンス型の授業で、躍動感あふれる授業でした。書道部のメンバーがファシリテーターを行っていたということもあり、アクティブなかかわりに場が際立っていたのです。そして、なぜかそこに宗教の先生が参入し、文字を書くという行為とは何か?問いかけたのです。
★書道と宗教哲学の共創授業になっていったのです。文字を書くとき、自分の主張を伝えるだけではなく、同時にそれは他者のためでもあるということに意識を覚醒した時、文字を書くことが幸せな社会、平和な世界を生み出すという壮大なスペクタクル授業になっていったのです。
★将来書道部があの大きな筆でパフォーマンスをするのをみたとき、それは世界を生み出す行為なのだとみなすようになるかと思うとワクワクしてきました。
★いずれも目からウロコという授業でした。
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