品川翔英の進化(02)授業を実施するたびに学校が変わる②
★さて、今井先生の国語のPBL型授業の話をしましょう。中1と高3の授業についてプレゼンがありました。そして、そのあと国語科の先生方とアナリーゼを行っていきました。最初は知の座標の4つの領域について参加したメンバー1人ひとりが感じたことを話していきます。このグループワークの経験と今井先生のPBL型授業の中で行われるアクティビティ「ペアワーク」が重なり合って、ペアワークが批判的思考をいつのまにかトレーニングしているという対話が深まっていきました。
★4つの領域とは、「知識の発見」「論理的構築」「批判的思考」「創造的思考」です。ブルームのタキソノミーを座標化したものです。品川翔英の国語科先生方がルーブリックを考えていく際の出発点として議論したものを、ワークショップのときの座標としてアレンジしたものです。ブルームの成果も品川翔英の先生方の議論の成果もうまくモニタリングできる座標です。
★どこでもシートに座標を書き、先生方の想いをポストイットに書き込んで、各領域にはっていき、グループで俯瞰しながら自分の考えを語っていくというペアワークのバリエーションアクティビティです。
★今回初めて参加した先生方も、各領域の定義や意味を自分だったらこう考えると推理したり仮説を立てて話していくうちに、最初定義を知らないからと心配そうでしたが、自分の考えでよいのだと分かった瞬間からは発言がとまりません。
★専任の先生方はこの仮説・推理対話はもう慣れてしまっているので、「私の考えですが」とか「もしかしたら違うかもしれませんが」という前置きを言うことはありません。講師の方々もだんだんそうなっていきます。
★仮説・推理がなければ、正解のない思考は回転しないし、それがあるからこそ、信頼性や正当性、妥当性などのアイデンティティチェックができるのです。正解のある問いに関しては、正しいかそうでないかしかありませんから、多面的評価で必要な信頼性・正当性・妥当性の視点で議論することはめったにありませんが、IBのTOKや欧米の哲学授業では、このような仮説・推理から対話は始まります。オープンクエスチョンとはそういう感じです。品川翔英の国語科の先生方も世界標準レベルで議論しているわけです。
★ともあれ、そもそもPBLとは何だろう?は、めちぇくちゃオープンエンドな問いなのですから。
★一見座標は設定されているようですが、このワークショップでは、ここで知とは何なのか再定義しながら行っていきます。アップデートは枠組みの再定義が起こらなければ生まれません。
★アップデートとマイナーチェンジは次元が違います。
★このように対話に耳を傾けじっくり考える習慣がついている品川翔英の国語科の先生方が、ワークショップを行うたびにアップデートするのは、この大前提の構えができているからですが、4つの領域全部をカバーするパワフルなPBL型授業を今井先生が実践しているからこそ座標を巡る対話が深まるのです。
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