ポストコロナ時代の教育(10)アサンプション国際小学校のハイブリッドPBL チームワークと自己陶冶の学校組織
★昨日、アサンプション国際小学校の阿弥先生(教務主任・PBL推進リーダー)とZoom対話をしました。阿弥先生とは5年前から紆余曲折はあるもののPBLプロジェクトを継続しています。阿弥先生の進化はうなぎ上りいやドラゴンが飛翔するがごとくです。めちゃくちゃチャレンジャーだし、一つひとつ実現していく気力あふれる先生です。
★ペンシルヴァニア大学のアンジェラ・リー・ダックワース教授が提唱したGRITとは、阿弥先生のためにあるような言葉といっても、言い過ぎではないでしょう。GRITとは、Guts(ガッツ:「闘志」)、Resilience(レジリエンス:「粘り強さ」)、Initiative(イニシアチブ:「自発」)、Tenacity(テナシティ:「執念」)の頭文字を並べているようです。
★当時PBLプロジェクトを始める時にワークショップで共有したのはピーター・センゲの「学習する組織」を創ることでした。PBLのコア・アクティビティにはディスカッションとかペアワークがありますが、それが成り立つ前提は信頼関係づくりと対話力です。
★阿弥先生のPBLの歴史は、この対話力を小学生がどう体得していくかということへのGRITだったと思います。もともとGEMSのプログラム作りを行っていたので、PBLの話は共有しやすく、毎回ワークショップは楽しかったですが、5年前は阿弥先生の周りはきつかったでしょう。抵抗もあったでしょう。でも、まさにGRIT!今ではそんなことはすっかり忘れて、アサンプション国際小学校は学校挙げてPBLに取り組んでいます。
★生徒の人数も増えたので、若い先生方もたくさん勤務するようになったことも、PBLの浸透速度と広がりに拍車をかけたと思います。しかし、重要なことはチームワークをつくるということでした。そこに阿弥先生は力を注いでいたし、今もそうしています。
★当時、私が阿弥先生に期待していたのは、PBLの授業をもし学内に浸透させることができたなら、その学校は学習する組織に必ずなるということでした。
①ビジョンを創造し共有する組織
②チームワーク力が豊かな組織
③あのドネラ・メドウズのシステム思考(「もし世界が100人の村だったら」に適用されています)を実践できる組織
④互いにメンタルモデルを尊重できる組織
➄自己研磨できるオープンな組織。
★ピーター・センゲの言う学習する組織は、この5つの領域の相乗効果が現れる組織です。
★阿弥先生は、この組織を生み出すまさにGRITリーダーなのです。この学習する組織は、校務分掌のように目に見える体制ではないのです。かなりマインドの問題なので、目に見えません。ですから、油断するとなくなります。豊かな泉があったはずなのにということは組織ではアルアルです。実に繊細で強靭なわけです。
★ですから、メンテやモニタリングは定期的に行う必要があります。特に今回のようにオンライン授業を学習する組織としてやりきったアサンプション国際小学校は、その成果を盛り込むことによって、それが可能になります。
★そういうわけで、阿弥先生は夏の教員研修を企画しているわけです。阿弥先生自身も小学校2年生を受け持っています。いきなりステージ5という最上級のPBLを小2の環境とすることはできませんが、雰囲気はそこまで行いたいというのです。
★PBLはステージ3.5以上にならないと生徒がワクワクしないのですね。ですから、ステージ2でも、ステージ5くらいの雰囲気を生み出すにはどうしたろよいのか?最近では子供のための哲学=P4Cを取り入れたり、ロイロノートというプラットフォームを活用して、ハイブリッドPBLにしています。
★学校というチーム作りと自己研磨というハイブリッドPBLのさらなる追究。
★人間の生きる道で、この組織と個人の知恵の輪を解いた人は幸せになるといわれています。阿弥先生は先生方と子供たちとこの知恵の輪を解くチャレンジをしているのでしょう。得難い教師の存在をZoom越しに見て、明日の子供たちのwell-beingはなんとかなるなと感じました。
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