ポストコロナ時代の教育(14)N高100万人計画の背景に 18歳成年と高校普通科再編の流れ
★N高が100万人計画を立てているということはすでにご紹介しましたが、この背景には何があるのでしょう。それは民法改正によって2022年から施行される18歳成年の件と今議論され始めている高校普通科の再編の動きがあります。もちろん、これは私の妄想です。
★今国公立の高校と私立高校の生徒数の比は、ざっくり7:3です。しかし、近未来においてN高校が100万人の生徒を抱えることができたら、その比は、ひっくりかえります。
★詳しく言うと、国公立:通信制:私立が1:1:1になるのです。
★したがって、これは鶏が先が卵がさきかわかりませんが、普通科の再編に拍車がかかります。ポストコロナは、リモート授業が拡大します。するとN高が目標を達成しなくても、現状でも増えている広域通信制高校がしのぎを削るでしょう。学習指導要領をこなすのは、つまり74単位とるのは難しくないのです。
★エっ!?と思うでしょう。実は、各学校が学習指導要領の範囲をこなすとき、基礎→応用→発展まで授業したり、副教材を加算します。そりゃあ膨大です。なかなか終わりません。しかし、通信制高校は高校卒業資格を出すのが役割です。例題と基本問題をしっかり学べる環境で十分なのです。やり方によっては、ちょっとそんなのでよいのと思うようなケースもありますが、それは市場の活性化で質は担保されるようになっていくでしょう。
★言いたいことは、普通科がかける時間の3分の1で履修できるということです。これで卒業資格をとり、あとの3分の2は自分の才能を直接社会活動に結びつけて学べるということになります。起業するもよし、弁護士資格を取る準備をしてもよし、グローバル市民の活動をするもよし。アスリートやスター街道を邁進してもよいのです。実際そうなっていますし。
★18歳成年ですから、その準備の方が大事になります。進路指導というより、社会につながるインターンシップの場といった方がよいでしょう。もちろん、そういう活動をしているわけですから、総合型選抜で大学にもどんどんつながります。
★グローバルネットワークは、オンライン授業が行われているわけですから、それも十分に可能で、海外大学も開けています。別に世界大学ランキング100位以内でなくてよいのです。たとえば、最初、イギリスでそれほどランキングが高くなくても、編入でいくらでもキャリアップできます。
★米国ならば、コミュニティ・カレッジから編入が可能です。
★とにかく、通信制高校はランキングにこだわらないので、選択肢が多様に開かれるのです。
★ですから、おのずと国公立のシェアは30%くらいになります。今年は、高校の実質無償化元年ですから、学費の問題は壁にはなりません。
★そうすると、普通科を再編しなくても実質再編ということになってしまいそうですね。国公立に進む生徒は、国家公務員や地方公務員として磨きをかけるということになりそうですね。健全な官僚システムの持続可能性ということです。
★そして私立高校は、さらに独自の路線を行くということなのでしょう。
★まっ、妄想です。
★しかしながら、フィンランドやシンガポールのような教育大国の人口は、両方とも600万人いきません。少子高齢化といっても、日本の高校生数は300万人です。
★18歳成年の準備期間として、300万人がきちンと学びGrowthMindsetされたなら、日本の未来が明るくなります。
★国家というのは、優れた良質の官僚システムが必要です。それは国公立が担います。経済は、通信制国高システムのイノベーション教育が担います。ノーブレスオブリージュは私立高校が担います。
★ユートピアの実現へ近づきます。もちろん、そのときには、国家観や経済システムは今とはまるで違うものに変容しているでしょうが。
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