2021年変わる中学入試(02)英語入試広がる。江戸川取手インパクト。実質新タイプ入試拡大後押し。事実上ニューリベラルアーツ化。
★江戸川取手インパクト!が千葉エリアで!首都圏模試センターサイトによると、「来年の2021 年入試はコロナ禍による受験生に配慮した入試を検討しています。また、再来年の(現在の小5 受験生が挑む)2022 年入試は、全員に英語を課して、全回の入試で5 教科入試を行いたいと考えています。ただし、最初からハードルを高くしても受験生に負担ですので、あくまで小学校での学習プラスアルファ程度の英語力を求める、易しい英語から課していきたいと考えています」
(写真は同センターサイトから)
★今年は、小学校5,6年において、英語の教科化元年。今の5年生が卒業する2022年の中学入試では、2科4科に英語の入試問題が加わる学校が増えると予想されるが、その突破口をあけたのが江戸川取手です。
★すでに英語の入試は増えています。慶応湘南藤沢で国語、算数、英語で受験できる機会を設定して以来、中学入試市場の英語入試は広まりました。
★しかし、まだ国・算・社・理・英という教科入試はありません。江戸川取手が初めて旗を揚げました。このインパクトはすさまじく、茨城、千葉合わせて20校弱の公立中高一貫校が適性検査の中に英語を入れ込むきっかけを与えることになります。
★すでに埼玉の公立中高一貫校では、英語を取り入れているところもありますから、学習指導要領で教科化したわけですから、当然適性検査に盛り込むでしょう。2021年の早稲田大学政治経済学部の独自入試は総合型問題で、その素材文は日本語と英語の両方です。
★東大の推薦入試や京大の特色入試も、学部によっては、すでにそうなっています。
★東京、神奈川を中心に広がっている英語入試は、最初は難しいものではなかったのですが、近年は英検準2級以上を取得している生徒が増えています。将来増える可能性のある5科目入試や適性検査入試における英語のレベルも2025年までにはレベルは上昇せざるを得ないでしょう。
★そしてさりげなく、「2021 年入試はコロナ禍による受験生に配慮した入試を検討しています」とありますが、これはオンライン入試も射程に入っているということを示唆しているのでしょう。同校は、このコロナ禍にあってオンライン学習をきっちり実施してきましたから、パンデミック第2波第3波に柔軟に対応できます。
★かくして、英語入試は広がり、2科4科入試も3科5科入試にシフトしていくでしょう。そして、オンライン入試も増えていきます。これによって何が起こるのか?実はアクティブラーニングやPBL授業が増えていくことになります。
★なぜなら、英語のレベルがあがると、インディペンデントスピーチやディスカッション能力、エッセイライティングの能力が必要になりますから、英語の授業はアクティブラーニングやPBLにならざるを得ません。
★このレベルになると、受験英語ではなく、ランゲージアーツのレベルになります。英語でリベラルアーツに基づくランゲージアーツが行われているのに、国語科は旧態依然とした文学解釈授業をやっているわけにもいかないでしょう。英語と国語がランゲージアーツ化、つまりリベラルアーツをベースにするようになります。
★そしてオンライン授業のレベルがあがると、まるでアクティブラーニングあるいはPBL授業養成ギブスでも装着したように、対話やディスカッション、小論編集をやらざるを得なくなります。
★対話あディスカッション、小論編集には、哲学対話の方法論が取り入れようになります。そうしないとジレンマのエッジをクリティカルシンキングができないからです。
★結局、英語入試、オンライン入試、適性検査型入試、思考力入試などの新タイプ入試が主流になっていきます。
★そんな馬鹿な!と言われるかもしれません。しかし、もし2科4科、あるいは3科5科にこだわるのなら、麻布や武蔵のような入試問題を出題するしかないのです。両校のような基礎知識と深い思考力を問う問題を出題する教科入試は本道です。
★ところが、実際は、基礎知識を難しい知識問題にして出題する2科4科入試が多いのです。ですから、実は、麻布や武蔵の問題の基礎問題を難化させて出題しているのが、いわゆる2科4科入試で、両校の思考力問題を発展させているのが適性検査型や思考力入試などの新タイプ入試だったのです。
★ですから、江戸川取手のように、2科4科を保守するにしても英語を加えるという方向に向かうか、麻布や武蔵の思考力問題をベースにする適性検査型や思考力入試の新タイプ入試の2つの流れがウネリになります。
★しかし、先述したように、英語、オンライン、思考力といった流れは、リベラルアーツの流れに合流します。リベラルアーツと言っても、麻布が言うように「新教養主義」でなければなりません。
★つまり、GAFAや台湾のオードリン・タンデジタル大臣が希求しているように、ニューリベラルアーツの通奏低音がいよいよ大きく響き始めてきたということでしょう。
★時代の通奏低音は、その響きが舞台で響き始める前に聞こえる人と聞こえない人がいます。時代の先見性や先進性を有している人は、その音が聞こえます。
★知の最前線を子供たちと共有しようという学びの場を創っているところでそれはそうなります。入試の中でも中学入試市場は、知の最前線の成果に高感度なアンテナを張り巡らしています。学校だけではなく、保護者もそうです。
★思考力入試ベースの高校新クラスをつくっている聖学院インパクト、ラウンドスクエアに加盟して世界のエスタブリッシュスクールとの共同体を創っている八雲インパクト、新しいタイプの世界のエスタブリッシュスクールの共同体に加盟した巣鴨インパクト、高校生市民がデジタルベースでオーセンティックに大活躍する工学院インパクト、そして中学入試で初の5科入試を行う江戸川取手インパクト、SDGsの運動体を中高生が生み出している和洋九段女子インパクト。中学入試市場は沸騰し始めました。
★ここでいうインパクトとは、市場に貢献する=世界に貢献することです。偏差値があがって、どこの学校も真似できない教育を造ったあ!と自己完結型のリバタリアン学校は論外です。
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