工学院インパクト(01)高校生市民がつくるグローバル拠点 GPはグローバル社会実装のインターンシップ
★工学院の高2で実施するグローバルプロジェクト(GP)は、先生方にとっては工学院の全体の教育活動の集大成。生徒にとっては、18歳成年を迎えるまでにグローバルな社会実装を準備するインターンシップの拠点。このように教師も生徒も学校生活全体を凝縮して未来を映し出すというビジョンを抱きながら教育活動するのは工学院が初めてかもしれません。一般には、一つ一つの行事は自己完結型ですから、工学院は一味も二味も違います。
★GP全体をマネジメントするリーダー雨宮先生(保健体育科教師)は、「工学院は中学から入学した生徒も高校から入学した生徒もとにかくプロジェクト体験が多いのです。私も中3の生徒のオーストラリア研修に同行しましたが、生徒と同じように目からウロコという衝撃を受ける体験をしました。そして、やはり自分の人生は変わりました。世界的視野が広まりました。だから、このような教科を超える教育活動には身体が前のめりに動いてしまいます」と語ります。笑顔と情熱がマスク越しに伝わってきます。
★さらに「まして、多感な時期に多くのプロジェクトで経験すれば、生徒はもっと世界を見る目も自分の世界も変わるでしょう。実際そうでした。でも、まだままだです。もっともっと自分の世界を広げ深堀して、多くの仲間と世界を変えていく大きな体験をしてもらいたいと思っています」と生徒へ期待とエールを贈ります。
★GPは、今年で2年目ですが、なんと今回のパンデミックの影響で、タイやアメリカ、カンボジアなどは行くことができません。沖縄プロジェクトはそのまま実行できますが、ほかのプロジェクトは行き先を国内に変更です。雨宮先生がブログで発信している事前学習の様子を読むと、かなり密度の高いもので、一斉休校の時期に、頻繁にZoomで議論を交わし、企画会議を行っている様子がわかります。
★もちろん、その会議をしているときに、このパンデミックの影響力のすさまじさを意識していたので、行けなくなった時も想定して、進めてきたようです。
★ですから、生徒も教師も、そもそもGPは何なのか、それにかかわる自分たちは何者なのかを考え議論する瞬間も広がったようです。生徒は、デザイン思考やマーケティング、都市デザインの知識も学んでいますから、リスクをどう回避したり、予測不能な事態にどう対応するかも俊敏に動きます。まさしく、大学や社会に進み、不測の事態に遭遇することは山ほどありますから、回避のマネジメントや創造的解決の思考スキルやそれをサポートするテクノロジーやエンジニアリングも実装していきます。
★もちろん、1人ひとり全員がテクノロジーやエンジニアリングを高度に実装しているわけではありません。1人1台ラップトップを持って授業を受けていますから、かなりのヘビーユーザーであることは確かです。今回のオンライン授業もスムーズに移行できたのも、工学院の教師と生徒にとっては当たり前でした。
★ただ、そんな環境だからこそ突出した才能を持っている生徒が数多くいることも確かです。Fabコンテストで毎回優秀賞を獲得するテクノロジーやエンジニアリングに長けたクリエイーターもいるし、アーティストもいるし、ビジネスマン顔負けのマネジメント力を持った生徒もいます。英語が半端なく優秀な生徒も1クラス分はいるわけです。議論をしたり企画を運営するときに、多様なアプローチがで行っているのです。グローバル企業の在り方そのものです。
★そのような生徒だからこそ、その活動をクライシスマネジメントをしながらも基本は手を放して抱きかかえるかのように見守っているのが雨宮先生です。「やはりリーダーシップやチームワークは大切です。もちろん、柔軟なチームワークが大切ですから、1人のリーダーについていくという組織ではありありません。トップダウンとボトムアップの相互作用などというのは、もう生徒は知っていますが、そういう一般的な組織理論ではなく、この他では行われていない経験の中からどんなチームを創っていくのか学んでいることこそ貴重だと思います。
もちろん、理論は理論で大切です。体育科の授業の中に体育理論も行っていますから、コーチングやチームワークづくりの理論も生徒は学びます。でも、このような豊富なプロジェクト体験があるからこそ、体育理論が役立つでしょう。」と。
★工学院の保健体育科の先生方自身、柔軟で強靭なチームワーク力のある集団です。メンタルトレーニングのワークショップも導入しているし、エンパワーメントリフレクションやケアについてのPBL授業も行っています。
★たしかにアスリートは、スポーツ科学やチームワーク、リーダーシップ、そしていかにGRITの精神を内側から彷彿とさせるか学び続けています。今回のパンデミックのオンライン授業でも、ソーシャル、エモーショナル、フィジカルのコンディションをどうするかを引き受けたのも保健体育科の先生方です。
★雨宮先生とインタビューをしている最中、幾度か保健体育科の仲間の教師が、見守りに来ました。雨宮先生が本間にいじめられているのではないかと心配して(笑)。そんな暖かい教師チームワークが繰り広げられているからこそ、生徒も安心して取り組めるでしょう。雨宮先生の話に耳を傾けながら、<信頼>というマインドが大切なのだと<感動>したのでした。
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