ポストコロナ時代の教育(01)激変する大学 大学実質消滅?!
★このコロナ禍の緊急事態宣言下において、小学校から大学まで、オンライン授業実施への流れが大きくなりました。初等中等教育段階では、21世紀型教育をすでに実践している学校グループがけん引しました。大学では、東京大学と早稲田大学が初等中等教育の牽引校同様、対面双方向型のオンライン講義とプラットフォームの組み合わせを巧みに行っています。
★そして、宣言解除後も、大学ではオンライン授業が続いているところがあるし、初等中等教育段階では、ハイブリッドで進めているところもあり、コロナ以前の風景に戻ることはありません。
★産業構造も大きく変わり、テレワークとリアルな仕事は、やはりハイブリッドになっていく傾向は止まりません。
★そんな流れの中で、新型コロナウィルス感染者数は再び急カーブを描いて増え、第2波に備えながら経済的活動も行っていくという状況になっています。ハイブリッドな仕事、ハイブリッドな教育活動は定着することでしょう。
★そして、東京大学の柳川範之教授は「教育の概念、激変の可能性(日本経済新聞2020年7月16日)」という記事の中で、オンライン座学で極端な話、教室定員を超える人数の学生に講義をするようになり、座学でしかできない、ゼミや実習や実験は物理的な空間、つまりリアルな空間に集まって行うようになると見通しを立てています。
★しかも、だれでもその場に参加できるのではなく、選抜されるようになると。オンライン座学はいつでもだれでも参加できるが、議論や実習や実験、研究は、選抜された少人数の学生だというのです。
★一方、ニュースイッチ(2020年7月16日)「早稲田大学が9月から密度4分の1の対面授業、ニューノーマルな教育方法に」では、早稲田大学が、予定ではなく、実際にそのようなオンライン座学とゼミなどの少人数対面授業を組み合わせて行っていくことを発表しました。
★同日時に、同じような記事が東京大学と早稲田大学関連記事として世の中に出るということは、そういうマインドセットが業界内にできつつあるということでしょう。
★特に早稲田大学政治経済学部は、2021年度入試は「大学入学共通テスト」×「総合型の独自入試」になります。このアドミッションポリシーに、「オンライン座学」×「対面少人数型講義」はカリキュラムポリシーとして重ね合わせることができるし、ディプロマポリシーとしても、もはやクリティカルでクリエイティブな思考力を養った学生を社会に輩出し、しかもテレワークとのハイブリッドを定着させる企業にとっても、ねがったりかなったりのマッチングが可能になるのです。
★この二つの記事を重ね合わせると、近い将来、大学入試はオンライン入試による第一次選抜の絞り込みとオンライン論述・口頭試問というミネルバ大学型の入試体制ができああがるということでしょう。
★しかし、もっというと、このオンライン座学は、大学でなくてもよいというわけです。高校と大学が結合してしまうということになります。結合して、従来の大学入試の勉強は圧縮され、高校5年制になるでしょう。
★そして、高校3年で卒業すると高卒の資格、高校5年生を卒業すると学士がもらえるようになるでしょう。どこどこ大学というタイトルはもうどうでもよいのです。学士があれば、大学はオンライン論述・口頭試問を受ければ入れますから、高校5年生で起業したり就職したりして、大学に入りなおすということも可能です。
★もっとも、それは大学という機能なのかというと、もはや大学院でよいわけですね。
★こうして、実質全員が大学教育を受け、国力を教育の力で再構築するようになるでしょう。現状の大学は、大学院化していきますから、研究成果の競争が激化して、統廃合が進むでしょう。
★高校4年生5年生の教員はというと、ポスドクがいっぱいるし、大学の非常勤講師が安い講師費用で困っていますから、その支援にもなるでしょう。
★高校の価値は、もはや学歴ではなくなります。高校の価値は社会的貢献度の高い卒業生の輩出度によって決まるようになります。まさしく激変する教育です。
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