2021年の入試(38)八雲学園 経産省の未来の教室を超える時代の最先端の要請に応える
★6月11日に、八雲学園の先生方とOGといっしょにZoomミーティングをしました。飛び飛びですが、4回にわたってそのときの様子をご紹介してきました。今回はその小括です。はやいものであれから7月に入りました。多くの学校も分散登校から学校再開へと進んでいます。一方で本日も東京都では感染者は107名。しかしながら、都知事選の真っ最中です。COVID-19の感染ダメージより、経済ダメージ回復に力点が置かれ何やら危険な雰囲気です。米国をはじめ、世界も同じような流れになっています。自衛しかないわけですが、興味深いコトに当日の対話の中ではこのコトもすでに先生方は織り込み済みでした。そして、もちろん、これではいけないのであって、それを乗り越えるための未来をどうするかの話にも当然なったのです。
★6月3日、日本経済新聞は、世界経済フォーラム(WEF)が3日、2021年1月に開催する年次総会(ダボス会議)のテーマを「グレート・リセット」にすると発表したことについて、WEFを創設したクラウス・シュワブ会長にインタビューした記事を載せています。なぜ今なのか?「世界的な新型コロナウイルスの感染が広がるなか、資本主義を軸とする既存の体制には不備も目立つ」今だからこそなのだと。
★つまり、「ザ・グレート・リセット」を痛烈に世界同時的にあらゆる国の人が実感している、当世風の言説でいえば「自分事」になっているからなのでしょう。
★当然、ダボス会議のテーマに関してはウェルカムの精神で関心をもち、来春のキーワードである「タレンティズム(才能主義)」は、八雲学園の望むところだと菅原先生は語ります。
★国や組織の権威を借りてエゴワールド全開な現代社会に右顧左眄せず、生徒1人ひとりがグローバルリーダーとして、それぞれの才能を開花し、発揮していくことをモットーとして教育活動をしている八雲学園らいしい反応でした。
★日経新聞の中で、シュワブ会長はこう語っています。
「資本主義という表現はもはや適切ではない。金融緩和でマネーがあふれ、資本の意味は薄れた。いまや成功を導くのはイノベーションを起こす起業家精神や才能で、むしろ『才能主義(Talentism)』と呼びたい」
「コロナ危機のなか、多くの国で医療体制の不備が露呈した。経済発展ばかりを重視するのではなく、医療や教育といった社会サービスを充実させなければならない。自由市場を基盤にしつつも、社会サービスを充実させた『社会的市場経済(Social market economy)』が必要になる。政府にもESG(環境・社会・企業統治)の重視が求められる」
★この言葉は、おそらく八雲学園を訪れたダライ・ラマも共感するだろうし、八雲学園の近藤理事長・校長のいつも語っている言葉と重なります。
★今、私立中高一貫校の中には、この話の中にある金融マネー調達が巧い新しい学校、新自由市場主義の学校、一方でそれに背を向けているマインドフルネス優占の学校などが人気を集める傾向もあります。
★その多くは経産省の未来の教室の企画に便乗しています。それはそれで閉塞状況を破る一つの方法論ですから、私もあってよいと思いますが、私の価値観とは違います。
★そして、八雲学園の先生もそういう学校とはソーシャルディスタンス(笑)を巧みにとっています。まず与しません。ということは、八雲学園は経産省にも与しないというとです。文科省にもソーシャルディスタンスをとってきましたし、今後もとるでしょう。
★しかし、孤立主義ではないのです。ドメスティックグローバリバタリアン(造語です;)とは適切な距離を置くということです。ですから、ラウンドスクエアやダボス会議のようなグローバルリーダーが集まる国際会議とは協力し合うということです。
★エッ!ダボス会議に八雲が?いやいや将来そうなるということです。というのは、ダボス会議に集まっているグローバルリーダの多くはラウンドスクエア加盟校出身者がたくさんいるはずです。というよりも、近藤隆平先生は、「IB創設にもかかわったラウンドスクエア創設者クルト・ハーンの想いと価値意識はグローバルリーダーたちの精神とシンクロする普遍的精神で、八雲学園の精神とも重なります。日本の教育全体もこういう大きな精神を寛容に受け入れる必要があるでしょう」と。
★横山先生は、「八雲学園のグローバル教育の目指すものはそこです。だから、いわゆる日本の大学受験英語しか興味のない人にはその価値をなかなか理解してもらえないのです。しかし、諦めずに広報します」と。
★菅原先生は、「だから、私たちの広報活動は八雲学園の教育の理解を通して、世界のグローバルリーダーの本当に意味や役割を市場で共有していただきたいという野望もあるのです」と感動的なメッセージが発せられたのです。
★そして、OGである豆塚先生とボッサムさんは「私たちにとては、在校生時代もそしていまも、当たり前のコトだと思っていた価値が、実はそんな得難い話の流れの中にあったなんて改めて感動です」と、卒業した後もなおサプライズを巻き起こす学園であるとコメントしていました。
★近藤隆平先生は「八雲は、帰国生を特別扱いしない本当の理由は、もう3年経つとわかると思います。もちろん、英語の取り出し授業はしますが、グローバルリーダーの精神をもった授業や教育活動にあふれる学校になります。ラウンドスクエアの加盟校と同様の雰囲気に全学年全クラスがなります。他の学校では、帰国生のためのクラスを編成しているところもあるでしょうが、八雲は、学校全体がそのようなクラスの雰囲気を満たします」と。まるで近藤理事長・校長が語っているかと錯覚するような断固たる決意がそこにはありました。
★八雲のような学校が日本全体の20%を占めないと、日本の教育は実は変わらないのです。これがパレートの法則です。日本全体が変わる希望は、ダボス会議の「ザ・グレート・リセット」のインパクトが日本にどれくらい響くかにかかっています。
★そうなればよいですが、ならないとき子供たちの才能はどこが開花することを保守するのでしょうか?どうやら、本物を見通す学校選択は極めて重要な時代がやってきました。
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