ポストコロナ時代の教育(13)アサンプション国際中高 ハイブリッドPBLの実践
★一斉休校中のアサンプション国際中高のオンライン授業は、メディアでも取り上げられるほど先進的でしたが、学校が再開してからのさらなる研究への情熱が燃え上がっています。岡本副校長は、その情熱の火をまずは小さく燃やしていずれ大きくしようとプロトタイプづくりをしています。
★その過程で、たまに私も呼ばれ、プロジェクトメンバーとZoom対話をしようと。昨日も英語科の松平先生のすばらしいハイブリッドPBL授業のアナリーゼをしました。私の使うハイブリッドPBL授業フォームも役に立ったようです。ただ、通常時間の合間で行うので、いつものように3時間はできません。ですから、コンパクトにして行いました。
★松平先生のPBLは、コロナ禍のオンラインPBL授業を経て、その成果を学校再開後の通常のリアルな時空でも盛り込んでいます。特にZoomのブレイクアウトルームを活用したディスカッションは優れものです。
★生徒1人ひとりがマイク付きイヤホーンを装着して行うと1教室30人でもハウリングしないことが検証されました。イヤホーンを持っていない生徒には、ダイソーなどで200円くらいで売っているものを用意していて、それで対応したそうです。
★ニューノーマルな学校生活ですから、ノー3密をどうつくるかが課題です。マスク、静かに話す、手洗い励行で感染防止をするわけですが、ディスカッションをリアルにやると、興奮して声が大きくなったりします。ですから、よくある講義形式の机と椅子の配置のままで、オンライン上はディスカッションしているという環境を松平先生は考案したのです。
★もしみながマイク付きヘッドホーンを使用しなければ、ハウリングを起こして成り立ちません。そこを見越して準備をちゃんとしているところが、簡単なようでなかなかできないものです。授業デザインとは、学びのツールの計画も必要です。
★高2のイングリッシュコースですから、オールイングリッシュで授業は展開していきます。知識としては<used to >と<be used to>の使い分けの学びだったのですが、松平先生は、実用性と創造性を大切にしています。いわゆるオーセンティックな学びです。
★ですから、実際に英文をつくり、スピーチしてみるわけですが、その英文を創る時に、3段階の問いを投げていきます。
1)ソフトバンクの40歳ののび太が登場するCMのスキットをメタファーとして、簡単な物語を生徒自身が創る問いが投げられます。今の生徒と40年後の生徒の対話に変換するわけです。
2)生徒からビジネスマンに主語を変えて、40年前のビジネスマンと今のビジネスマンのやりとりを聞いて、そのあとに何が起きたのか説明する英文を創ります。
3)40年後の世界がどうなっているかを考え、2060年の世界をタイムマシーンで見てきて、2020年に戻ってきたときにどう語るのかをグループで英文を創作します。
★問いの設定が、主語が自分から他者へ、他者から世界へと広がっていくことで、クリエイティビティの発揮の仕方が広がります。
★英語という言語の特有のフォームと考えるという教科横断型のスキルの連合を仕掛けています。
★なおかつ、問いは、キャリアデザインというまさにマイプロジェクトを生み出す刺激にもなっています。
★ブレイクアウトルームに出たり入ったりしながらハイブリッドなPBL授業です。
★C1英語の環境×PBL×ICTが統合された、ある意味上智大推奨のCLILの手法とも重なる部分が多い授業でした。
★松平先生は研究熱心で、外部の多様なセミナーにも参加しています。
★松平先生自身「ここまでできたから満足するのではなく、自己変容し続けることことそ自分の役割です」と語ります。
★今回のZoom対話が、ハイブリッドPBLのプロトタイピングに役立てば幸いです。9月にまたやりましょうということになりました。今度は山根先生のハイブリッドPBL授業のアナリーゼ。楽しみです。
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