ポスト・コロナショック時代の私立学校(120)ノートルダム女学院 分散登校 ハイブリッドPBL授業が始まる
★6月1日から、ノートルダム女学院中高も分散登校になりました。キャンパスでリアルな授業に臨む学年と在宅でオンライン授業で学ぶ学年と入れ替わりながら進行し、様子を見ながら徐々に通常に戻りますが、ノー3密空間での新しい日常の学園生活が始まるわけです。オンライン授業で体験した新しい学びの一部は、リアルな授業でもパラレルに活用される場面もでてきます。
★6月3日2時間目、講堂を覗くと、生徒はいませんが、三井先生の明るい声と生徒の元気な声が聞こえてきました。オンラインPBL授業が行われていたのです。三井先生が昨日は学校に通学してどうでしたかあと尋ねると、生徒のみなさんは、チャットに「嬉しかった」「やっぱり実際に友に会うのはいいですね」「足が痛かった」「楽しかったけど、いつもより疲れたあ」などダダダと。慣れたものです。
★三井先生は、生徒の反応に、いいねいいね、自分の気持ちや感情をこうやってことばに表せるみんなはすごいよと励ましていきました。もちろん、これは保健体育科のカリキュラムの一環でもあります。ことばと身体をつなぐこと、五感と気持ちをつなぐことが自然や社会や人間との関係性の基礎だからだと三井先生は語ります。
★そして、今度は、身体の図を描いて、身体の気になるところを色で塗っていく作業をしました。生徒は肩だとか首とだとか腕だとか腰だとか、色を分けて塗っていったのです。そして、三井先生は、気になっている感情やその色にした理由について簡単に対話していきます。
★三井先生は、脳神経学の研究者でありマインドフルネスやヨガの第一人者である山本邦子先生を師と仰ぎ長年研究し実践してきました。そして、三井先生の理論的根拠の1つは、Willams & Shellenbergerによる『 Pyramid of Learning』です。これは森本貴義先生と 山本邦子先生共著の< 伸びる子どもの、からだのつくり方 「かけっこ一番」をめざす前に、知っておきたい60のこと 株式会社ポプラ社>でも紹介されています。
★ブルームのタキソノミーのピラミッドも認知科学では有名です。ノートルダムもアレンジして活用していますが、どうしても認知的側面に力点が置かれがちです。ブルーム自身は情意のタキソノミー、身体運動精神のタクソノミーを考案していますが、実践的なプログラムとしては深まっていません。そこで、ノートルダム教育開発センターでは、そこを深めようとしています。
★それは、三井先生も同様です。したがって、三井先生がカリキュラムの基準としている学びのピラミッドが、情意や感覚、身体運動精神の領域を大切にし、それをストレッチやヨガで実践的に適用していることは、今後同センターでも参考になるでしょう。実際、対話が始まています。
★今回も、身体の絵を描いた後、ストレッチ―を生徒といっしょにZoomの画面越しに行いました。生徒は自宅で行っているので、狭いスペースでできるプログラムだったのですが、普段使っていないふくらはぎだとか太ももの裏筋肉だとか、首回りだとか動かしていきます。私はついていけませんでした(汗)。静かな動きの中に燃えるような筋肉の緊張と弛緩の運動が展開していたからです。
★終始笑顔をたやさず、三井先生は生徒とタイミングのいい解説をしながら運動していきます。呼吸法も大事で、最後に開放/解放といって、静かに息を吐きだしたいきました。画面越しの生徒と息が合っれいることが伝わってきました。
★そして、生徒には、こんどはどんな身体の図になるのか描いてもらっていました。数十分で自分の身体が変容することを絵でリフレクションしていったのです。
★山本先生の著書には、4つの輪を適切に動かすことによって、身体がうまく循環するようになることが書かれています。この輪は和でもあるというのです。休校が続き、身体が固まっていると、4つの輪が乱れていることもあるでしょう。自律神経やホルモンの循環がわるくなると、免疫もさがります。
★集中力もなくなったり、精神的にもなんとなく暗くなることもあります。セルフコントロールでは身体感覚や感情も整えることは大切で、新しい日常では、かなり意識して行っていく必要があると確信しました。
★そして、4時間目は同じ講堂で、ノー三密空間で山川先生の中2のクラスのLHRです。(つづく)
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