2021年の入試(31)オンライン説明会の宝庫 「おうちdeしゅともし」の特設ページ④聖学院・品川翔英・工学院
★工学院の教務主任田中歩先生は、聖学院の児浦先生(21教育企画部長・広報部長・国際部長)とは、21世紀型教育開発センターを共に運営していて、気心が知れています。そうはいっても、互いの学校の規模や立地、なんといっても建学の精神が違うので、当然学校の組織の在り方や教育システムは違います。
★C1英語×PBL×ICTは、当然21世紀型教育の環境として共通していますが、それぞれの構成要素の中身は違います。ですから、形としてあらわれるとき、それは全く違うわけです。同じ素材を使っても、出来上がりの料理は見た目も味も違うように、学校も違うのです。だからこそ、互いの情報交換は刺激的だし、スパイスの交換をたがいにするわけです。
★そういう意味では、今回の首都圏模試センターの特設サイトにぶら下げる動画の種類も違いが明快に出たのはおもしろいですね。
★田中歩先生は、オンライン授業も、海外大学進学実績も、MogなどのSDGs的土台の海外起業家精神プロジェクトなども聖学院とは共通する部分も多いのです。しかし、建学の精神がやはり大きく違っていて、工学院は、聖学院に比べて市民リーダーが巣立つ場かもしれません。聖学院はどちらかというとキリスト教精神という高いレベルでのエリートリーダーを生み出そうとしていますよね。
★それはちょっとおもしろすぎる話なので、少し立ち止まって対話しみました。工学院は私立大学では工学の専門大学としては私立で初めて開設されました。東大の官僚エリートテクノロジストを養成するだけでは、日本の市民生活の拡大はできませんから、日本の近代国家のインフラを拡大するための市民レベルのテクノロジストをたくさん養成していったわけです。市民生活のwell-beingというのが大事だったのです。
★ところが、聖学院は、真っ向から官僚エリートとぶつかって、近代日本のもうひとつのユートピアを目指す精神的エリートを目指しています。初校長が、東大初綜理の加藤弘之の官学の精神に反旗を翻して私立学校の創設に奔走したわけです。それが聖学院ですから、田中歩先生の直観は、ある意味あたっています。
★そういう違いから、工学院が生徒と説明会で話をするときは、対話型が多いのです。しかもかなりラフでリラックスしていて、アドリブが多いというのです。
★一方聖学院は、ペンシルバニアに進学したOBや中学生起業家が柔らかいけれど相当高邁な精神をぶっ放すスピーチをします。実は聖学院のようなプロテスタント校は、スピーチはとても大切です。はじめにロゴスありきで、その言葉の体現をスピーチするのですから。
★ところが、工学院は、老若男女あらゆる人にテクノロジーやエンジニアリングの話をわかるように話さなければならないのをモットーとしていますから、両方を比較すると、その違いが明確です。
★この二つの学校は、名前通りの違いがあるということですね。<工>学院と<聖>学院という一文字違いがなんとも深い意味の違いを生み出しています。
★とはいえ、工学院の「挑戦、創造、貢献」という校訓は、かつて筑駒の副校長だった方が校長に就任して以来つかっています。この校訓は、実は筑駒と同じなのです。東大と工学院、筑駒と工学院という連綿とした繋がりもまたおもしろいですね。
★一方聖学院の初校長石川角次郎は、開成出身で東大です。東大で加藤弘之の講義を聞いて議論を挑み、こりゃダメだと思って米国の大学に留学したというのですから、これまたすさまじいですね。
★そんな話をしたり、感じたりしながら、特設ページをスクロールしていたら、品川翔英の発信一覧が目に入りました。品川翔英もオンライン授業を乗り切っている私学ですから、オンライン説明会をやるのかなあと思っていると、そこはWeb配信で見てくださいという姿勢。
★とよく見ると、電話の相談もありというのがありました。会議システムでのオンライン相談会と電話で行うというのもありました。たしかに電話もオンラインではあります。
★田中歩先生は、本間さんは柴田校長と付き合い長いのでしょう。どういう方ですか?と。会わないほうがいい方です(笑)と。何せ魅せられますからね。日本全国に柴田ファンクラブがあるぐらいですから。
★学校の教師として、JR東海の理事長や社長、トヨタの理事長や社長と対等にわたりあった経験のある人はまずいないでしょう。自分の理想を語り、一歩も引かなかったすさまじい人ですよ。スケールが多分違いますね。
★だから、電話相談もありにしたのでしょう。公立小学校はオンライン授業をほとんどやっていませんから、それが壁になって相談に参加できないというのを見抜いていたわけですね。
★JR東海もトヨタも市民生活のインフラを担っていますから、その視点も柴田先生は学びながらめちゃくちゃノーブレスオブリージュを求める人です。ラガーマンということもあるのかもしれません。前の前の学校では、イギリスやフランスに生徒をよく連れて行ってましたよと語りました。海外帰国生を集めるのにアジアや北米も飛び回っていました。
★田中歩先生は、工学院とも聖学院とも違うまた新しい学校ということですね。やはりアップデートは大事です。また明日からがんばりますよと互いに退室ボタンを押したのでした。
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