2021年の入試(22)オンライン説明会浸透で、保護者の情報分析視点は変わる。
★リーマンショック以降からポストコロナ以前は、私立学校の教育は伝統主義と革新主義の対立でした。新タイプ入試は一見すると革新主義なのですが、どうも伝統主義の学校の中に革新的な学校があったり、革新主義のはずの学校が装いは新しいのですが、結局は偏差値主義だったのかといった学校があったりして、なかなか中学入試の地図は描きにくかったのです。
★しかし、今回のポストコロナを巡る私立学校の動きをみていて、どうやらプラグマティックな学校が進歩主義的であることが明らかになって来たような気がします。結局オンラインとリアルのハイブリッドPBL授業が展開していくことになるとういうベクトルは、PBLの生みの親であるJ.デューイの進歩主義的な考え方に、脱構築しながら回帰するという感じなのかもしれません。
★プレコロナは、伝統主義と言っても、伝統主義/伝統主義と伝統主義/革新主義の2つがありました。氷山モデルで描いていますから、両方とも見える部分は伝統主義なのです。そして、革新主義というと革新主義/革新主義と革新主義/伝統主義の両方がありましたが、革新主義/革新主義は理想主義で、革新主義だと思っていた学校は、革新主義/伝統主義だったのです。
★一方、保護者は、伝統主義か革新主義か思想主義かと目に見える部分だけで、学校選択をしていましたから、最適なマッチングとならなかった場合も多かったでしょう。
★私が、学校選択の価値意識やポジショニングをリフレクションした方がよいと申し上げているのは、氷山モデルの水面下のご自身の意識を確認したほうがマッチングのストレスはないということを意味しています。実は、これは学校も同様です。
★今回のポストコロナは、ここがはっきりしてきます。伝統主義/伝統主義と革新主義/伝統主義は実は伝統主義だったのです。
★伝統主義/革新主義はプラグマティズムだったのです。そして、革新主義/革新主義は理想主義というポジショニングになります。
★伝統主義は学歴主義のような格差社会を保守します。理想主義は格差社会を一切認めません。したがって、現実社会では自己矛盾を乗り越えられなくなり閉塞状態に陥ります。結局世の中は変わりません。
★プラグマティズムは、現状の格差社会は否定して社会を変えますが、その新しい社会はまた新しい格差を生みだします。その責任を引き受けながら、この新たに生まれた格差社会をまた変えようとします。この永劫回帰を引き受けてイノベーションを起こしていく革新性があるのですが、いつも新しく生まれる伝統主義も引きづっています。このような状態をおそらく今はやりの概念でコンパッションと呼ぶのでしょう。
★ポストコロナの時代では、学校選択はかなり合理的になります。たとえば、オンライン授業の在り方を見れば、伝統主義は、オンディマンドが中心になります。理想主義は完全対面オンライン授業になります。プラグマティズムの学校はオンディマンドとオンライン授業のミックスの最適化を試みます。
★しかし、ことはそうは簡単ではありません。というのは、学校によっては学校全体で動いているところと、先生によってオンラインを行う行わないの差があるところがあるからです。
★さてどうしたらよいでしょう。その場合は、その学校が授業中どんな問いを大事にしているか、その問いを対話によって考えていこうとしているのか、見ていくとよいでしょう。これはオンライン授業やオンライン説明会、オンラインセミナーなどをやっているかやっていないかで、実はわかります。(つづく)
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