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2020年6月23日 (火)

2021年の入試(24)オンライン説明会浸透で、保護者は教師と生徒のかかわりを知ることができる 学校の再重要な関係性が開かれる

★対面オンライン学校説明会には、生徒が登壇してくる場合が多くなります。こんな生徒になれればよいなあというロールモデルの意図で登場してくるケースと普段の何気ないナラティヴモデルな対話をするケースがあります。

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★オンライン説明会は30分から60分の間で行われるでしょうから、当然時間は限られています。ですから、2つのタイプの生徒の登壇があるというのは珍しいですね。もしかしたら、11月ごろは、オンライン入試対策、オンライン生徒説明会などが、小分けになって企画されるかもしれませんが、10月くらいまでは、ビジョンと実践の教育のシステムは語るでしょうから、生徒の登場はロールモデルかナラティヴモデルのどちらかが交互に行われていくでしょう。

★今回のパンデミックで、私たちは2つのSの重要性について思い知らされました。それはSurviveとServeです。生き残ることの重要性と奉仕・貢献の重要性。前者は戦略的コミュニケーションであり、後者は共感的コミュニケーションです。

★前者だけの人は抑圧的で伝統主義者です。後者だけの人は、宗教的で理想主義者です。その両方をいかに組み合わせるか創意工夫する人はプラグマティズムの人です。これは学校という組織もそうです。

★大学合格者やコンテストで優勝した成功者などが登壇してくるだけの学校だと戦略的コミュニケーションが勝っている可能性が大です。共感的な対話だけを魅せる学校は、あまりないでしょうが、あったとしたら宗教的で理想主義的な心の癒しに傾倒した学校でしょう。

★両方の生徒の登場の機会を設けているハイブリッドな学校こそ、プラグマティックだし、未来を生きるスキルと未来を創るスキルを実装できる学校です。この場合のスキルは、認知的スキルのみならず、情意的スキルと脳神経身体総合スキルを意味します。よくIQからEQと言われているように、多重知能を重視しています。もっといえば、偏差値だけではなく多面的評価を重視している学校です。

★この戦略的コミュニケーションと共感的コミュニケーションの両方が構成されて学校教育がなされているというのは、実は21世紀型教育という言葉が広まってようやく登場した新しい学校です。アクティブラーニングとかPBLという授業が出現してからの学校なのです。

★おそらく企業などの組織もそうなってきているでしょう。ルーティンの仕事だけを重視する組織はもはやないでしょう。創発型のプロジェクトをいかに効率的につくるかというパラドクスを生み出しているはずです。自由に創発するということと合理的に効率性という制約とのバランス。

★学校も同様になってきていますが、それがオンライン授業やオンライン学校説明会を経験することによって、その数がどっと増えるということでしょう。

★これは1+1が2であるという要素還元主義的な価値観から1+1が2にも3にもなる相乗効果を大事にする構成主義(構築主義)という価値観に変容している流れです。

★伝統主義的学校は要素還元主義的ですから、こうなればこうなるというルーチンの確立が大切です。抑圧的になったり決めつけ、レッテル貼りが横行しがちです。

★理想主義はある意味純潔共感的コミュニケーションですから、社会的課題に背を向けても生きていけるという内面的意味論世界の学校です。実際にはとても少ないのかもしれません。

★プラグマティックな学校は、戦略的コミュニケーションと共感的なコミュニケーションのハイブリッドな相乗効果も生み出しています。進歩主義的な学校です。

★この学校は授業もキャリアデザインも構成主義的です。PBLやナラティヴカウンセリング型の進路指導を行っている学校です。両方とも共通しているのは、構成主義的な価値観です。

★この構成主義というのは、学校では学習理論として追究している学校は現状ほとんどありません。それが新しいという強みであり弱みです。今後そこは伝統主義的教育が指導案という膨大な経験とそこから導き出した理論があるように、学校や教育における構築主義的な理論も導かれるでしょう。今のところオンライン授業と同様、まずはやってみながら調整していくという経験主義的な進化を驀進している最中です。

★しかしながら、ナラティヴ型のカウンセリング理論はかなり構築されています。そのわかりやすい本が、上記写真のサピカスの本です。予測不能な時代における21世紀型キャリアデザインについてマニュアル的に書かれています。キャリアデザインのカウンセリング領域では認知されている理論です。

★保護者自身、今後の子供とのかかわりによって人生も変容してきます。サピカス理論は大いに参考になるし、その構成主義的視点を学校選択眼に加えるならば、よりマッチングは最適になるし、そのような学校も増えるでしょう。

★中学入試市場は学校の成長を活性化させる機能も持っています。市場の参加者やプレイヤーの構成的ニーズが市場の変容に影響を与え、結果学校も変わります。その変容がポジティブな方向に進むのは偏差値一辺倒主義から多面的な評価軸を受け入れるところから始まるでしょう。

★どうやらオンライン学校説明会はこのこのベクトルを豊かにしていく予感がします。

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