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2020年6月 2日 (火)

ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(23)本格的なPBLの時代 突き抜ける人類としての自分へ①

★昨日から分散登校が始まりました。3か月の間、駆け抜けるようにオンラインPBL授業に挑戦してきた先生方とZoomやMeetで対話をしてきました。ウェビナーとしてオンラインセミナーやオンライン学校説明会も視聴してきました。もちろん、このような生活はハイブリッド時空になっても続きます。しかし、それは本格的なPBL授業の道のりの始まりだということに気づきました。

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★パンデミック世代の子供たちは、自ら突き抜ける人類として羽ばたく必要がありそうです。不安と不確実性の中で突き抜けるイマジネーションの翼を広げてデストピアではなく新しいユートピアを建設せざるを得なくなるからです。今までの都市をめぐる生活も自然をめぐる生活もこれからはすべてが変わります。

★でも変えるのはパンデミック世代です。運命ではなく、自分たちの意思決定で創っていくわけです。

★そのための教育として何ができるのか?そんな対話ばかりしてきました。

★みな現場の先生方です。哲学や宗教学、心理学などの知を持った先生方がそれを現場につなげる試みをオンラインで行っていました。教育学の見識をもった先生が、その理論をどうやったら現場につなげられるのかオンラインで試みていました。

★学習理論を学び、それを現場につなげる挑戦をオンラインで行っていました。

★ランゲージアーツを学びそれをオンラインで現場で広げようとしている先生にも出会いました。数学的思考を教科書とどう結びつけるか現場で挑戦しオンラインで試行錯誤している先生とも対話しました。

★そして、長年積み上げてきたPBL授業をオンラインPBL授業として結実させた先生方とも対話してきました。

★その中でランゲージアーツと数学的思考については、どうもいわゆる国語とか言語技術の話ではないし、数学的思考は日本の数学教育の話でないことにも互いに気づきました。

★それで、調べてみることにしました。するとカナダのマニトバ大学の教育学部のカリキュラムプランニングの膨大な資料にぶちあたりました。そのランゲージアーツは、日本語の言語技術では収まり切れませんでした。驚くことに幼稚園から小学校3年生までに、創造的思考までトレーニングするカリキュラムが出来上がっています。

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(マニトバ大学教育学部のサイトから)

★おとぎ話を学ぶとき、もちろんPBLは当たり前です。それよりも驚いたことに、4つのレンズという視点でアプローチします。しかも自律した学習者として探究、議論、アウトプット、評価、デモンストレーション、他領域の関係性、貢献など自分でプランして学ぶ仕掛けも用意されています。これがランゲージアーツのカリキュラムデザインなのです。

★多重知能やブルームのタキソノミーもインテグレイトされています。

★数学に至ってはメンタル数学という概念があったりして驚きの連続でした。

★今日本で活用されている言語技術や数学よりもっと幅広い教養が養われる学びになっています。評価も3つのアプローチになっています。ポートフォリオとかルーブリックとかを内的に連関させ、子供の成長を促す学習者中心主義的評価です。

★ブリティッシュコロンビアの教育のすさまじさを知っていただけに、マニトバのカリキュラムデザインがシンプルで広く深いのは理解しやすかったです。同じカナダでも違っているし、日本のような学習指導要領とは教養の度合いが違います。だからこそ、州によって違うのでしょう。教養とは画一的とか一律といったモノを嫌う性質をもっていますから。

★どうやら、日本の子供たちは、各教科や探究のPBLを行う前提として、哲学などの学問や教育学、学習理論が集約されている言語思考技術や数学的思考を小学校の間に学べるとよいのですが。

★上記の階層構造の各層を1人の教師が全部学ぶことはできません。本格的PBLをつくるコミュニティにおいて、それぞれ得意な層にアプローチしている先生方が対話をしていけばよいと思います。

★もはやオンラインPBLというかハイブリッドPBLは当たり前で、問題は授業デザイン、カリキュラムデザイン、社会構想デザインをどうするかです。それと、十牛図や茶の精神をどう調和させるか?この部分は欧米の教育では求められているのですから。

★本格的なPBLとは、「社会構想」と「学問的理論」と「現場の理論」と「子供たちとの実践」を結びつける環境の中で行われることを示唆しています。ですから、教師はファシリテーターやコーチだけではなく、4つの領域を結びつける世界制作者です。子供と共に世界を創っていく役割を果たします。それぞれの教師は自身の得意な領域があります。同時にそこから突き抜けて他の領域と結びつける共感的&創造的コミュニケーションが必要です。同時にコミュニティを外部の攻撃から守る戦略的コミュニケーションも必要です。

★もちろん、すべての教師がすぐには動けないでしょう。隗よりはじめよという先生方20名くらいからはじまるわけです。これは新しい経済を同時にベースにしますから、今の経済に対しクリティカルシンキングを持っていない企業人とは組めません。現状の多様なコミュニティの問題点は、このクリティカルシンキングがなさすぎるという点です。どんなに世界を変えるとか、チェンジメーカーになれといっても、この視点がないと世界は変わりませんね。日本の教育の弱点です。そうさせられてきたのでしょうが。

★ある意味ノアコミュニティからはじめるしかないのかもしれません。制度は外延的意味の戦略です。このコミュニティは内包的意味の戦略ですから、制度変更の動きをする必要もないのです。ふりむいたら変容しているという戦略ですから。新しい本格的な動きが実は静かに始まっています。

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