ポスト・コロナショック時代の私立学校(122)和洋九段女子 良質のハイブリッドPBL授業が始まる
★昨日(6月6日)、和洋九段女子の先生方とZoomで対話しました。新井先生(国語科・ 高校教頭)、水野先生(社会科・ 高1学年主任)、本多先生(社会科・主幹教諭)、石原先生(数学科・ 中1学年主任)と私の5人。先生方はWorld Makers(世界制作者)です。新しい学びの経験という世界を創り、生徒が自らの世界を広げ深めていく学びをサポートしています。
★お1人ひとりとじっくり対話をしながら、気づきを共有し、あふれでてくる未来志向の質を共感する対話をしていくので、茶室さながらです。私は知の茶会を催す亭主といった感じで、お茶や茶道具さながらの知のツールを用意します。最も大切な抹茶は先生方から頂きます。みんなでそれらを共有しながら、気づき合い、さらにその気づきを実装に転換する対話をし続けます。3時間くらい続きましたが、あっという間でした。
★対話は、躙り口からチェックインしていきます。ミュートで静かに茶室にはいります。それからパッと顔が開かれます。久しぶりにお会いするので、にこやかなに挨拶しながら、分散登校になって生徒に会えた喜びが心の底から響いてくるエピソードを分かち合いあながら、和洋九段女子のいまここでの様子を対話していきました。
★先生方からいただいたメールを活用して、テキストマイニングでお茶をたてました。プライバシーにかかわることも多いので、お見せできないのが残念ですが、メールでそんなに意識して書いていないこともバーンと現れていたりしていて、対話が大いに盛り上がったことは想像がつくと思います。キーワードは「生徒」「SDGs」「コロナ」「参加」「オンライン」などずらずらと。ポジティブな感情表現も特徴的でした。
★AI診断によると、「生徒」は特別なポジションに位置していました。生徒にかかわる文脈が共起ネットとのかかわりで何か違う意味があると判断したのでしょう。AIは意味を考えるきっかけを提供してくれるだけで、その解釈は先生方が対話して気づきを生み出していきます。
★この3か月、そいういえば、どうしたら生徒の学びの環境と命を守れるか、日々刻々と変化する情勢の中で、後手に回らないように、すさまじく臨機応変に先回りする想像力と実行力を遂行していた。ふと気づくとへとへとでしたが、分散登校で生徒に会えて、互いにやっと会えたね、ようやく会えたねと互いの存在のかけがえのない価値を改めて共有できて、疲れはどこかに飛んでいきましたというポジティブな雰囲気が茶室には広がりました。
★外部環境の情報は、私の方から提供しました。お茶菓子といったところでしょうか。中学入試市場のオンライン化の情報、中学受験の大衆化が始まった1986年から今までに幾多の経済ショックがありましたが、それを乗り越えるたびに新しいイノベーションがあったり、新しい企業が生まれてきたり、今回のパンデミックのダメージを乗り越えた企業のアップグレードの方法など眺めました。
★そして、今の和洋九段女子の方法や戦略は、この外部環境の中で乗り越えている企業の方法にどこまで置き換えられるのかあるいはさらに先を行くのかなど対話をしていきました。デジタルシフトはしているし、ダイバーシティへの対応もできています。あとは資金面ですが、企業とは違い利潤を獲得するのが目的ではなく、才能を生み出して、新しい経済社会へ貢献するのが目的であるから、そういう意味ではその準備ができているという話にもなりました。
★来年のダボス会議は、テーマが「グレイトリセット」で、「資本主義から才能主義へ」がビジョンです。和洋九段女子の教育はそのような才能を生み出すPBLという<新しい学びの経験>を創発する教育にチャレンジしています。どのくらいの質やレベルでチャレンジしているのか、PBLの質のステージやオンライン授業の進化ステージで互いのPBL授業のレベルについて対話しました。改めて、5レベルのうち最高レベルの5レベルは当たり前という感じになっていることに驚きの声が表情から伝わってきました。ミュートしたり解除したりしながら対話するので、表情が結構大切なのがZoom茶室でもあります。
★ともあれ、授業で新しい世界を創ることが、世界が変わることにつながるだろうというわけです。和洋九段女子がワクワクするような授業を展開しているのは、世界を変えることを第一の目的にしていないからです。各人が世界を創ることを重視しているからだということに気づきました。世界を変えることを目的にすると、理念闘争になり、そこに競争が生まれます。学歴キングダムでの、新しい戦略になりがちです。学歴キングダムはちっとも変わらず、むしろ強化されてしまうという矛盾をはらんでいます。
★ところが、世界を自分で創り仲間と協力することによって、はじめて自己変容が起こります。変容しようとするのではなく、世界を創ること自体が変容になっていく。変容した自分の像を向こうに設定して、そこに向かって何をするのでしょう。そうではなくて、世界をその都度いまここでイメージしながら創っていくことによって、変容した世界がそこに立ち現れるからワクワクするのだなあと和洋九段女子のすてきな謎がわかったような気がしました。創造性をいまここでフルに活用するのですから、ワクワクするのは当然です。(つづく)
| 固定リンク
« 2021年の入試(07)八雲学園の俊敏かつ緻密な動き パンデミックを乗り越えてまた強くなる。 | トップページ | ポスト・コロナショック時代の私立学校(123)和洋九段女子 良質のハイブリッドPBL授業が始まる② »
「創造的破壊」カテゴリの記事
- 幼児教育の新たな展開 みずき野幼稚園の挑戦 (2024.09.13)
- 2050年社会をユートピアにするかディストピアにするか(07)新しい物語を創る生徒たちのキャリアデザインへシフト 気を付けて、終焉したはずの大きな物語がゴーストとして闊歩しているライフデザインはまだ残っている(2024.09.09)
- AI社会だからこそ精神の時代(03)駒沢学園女子 時空を超える美しくも凄まじい無限の価値を生み出す教育(2024.09.09)
- 2050年社会をユートピアにするかディストピアにするか(06)児浦准教授のEUU構想に希望(2024.09.08)
- 2050年社会をユートピアにするかディストピアにするか(05)ルトガー・ブレグマンの考え方も参考にして進む(2024.09.07)
最近のコメント