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2020年6月12日 (金)

2021年の入試(10)武蔵野大中、新渡戸文化中、横浜創英中、品川翔英、工学院大学附属中の動きに注目!

★首都圏私立中高一貫校の中学入試市場は、全国小学6年生をマーケットとする一般市場規模に比べると市場参加者の数ではわずかに3%規模。しかし、いわゆる御三家を頂点として、学歴キングダムを支える市場としては異質な領域あるいは特異点としてその存在は重要です。

★全国の私立中高一貫校と公立中高一貫校に広げても、10%。それなのに注目されるのは、ある意味学歴キングダムのポジショニングゲームの重要拠点だったからです。そう「だった」のです。

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(工学院のグローバルプロジェクト。高校2年生が全員参加できるモチベーションをもって取り組んでいます。Growth Mindset Schoolの凝結した教育活動に発展しています。)

★というのも、この新型コロナウィルスによるパンデミックがもたらしたものは、人間の本来的な知(知識・感性・身体の総合的なエネルギー)への回帰です。その回帰は、学歴キングダムというそもそもの在り方の弊害も、90%の生徒が属する国のための労働者養成の教育システムの弊害も露にして、そこの是正と転換を迫っているからです。

★といっても、ウイルスがそのような具体的な行動をしているのではありません。それをきっかけに気づいた学校が教育出動しているために、その是正や転換がおきるわけです。

★たとえば、武蔵野大中の日野田直彦校長や新渡戸文化中の山本崇雄先生、横浜創英中の工藤勇一校長は、つかず離れずなのでしょうが、生徒のモチベーションをあげるマインドセットをする教育環境を創るという点においてある意味仲間の先生方です。

★働き方も、実に自在で、いろいろな学校で改革者としてシフトしたり、校長を兼任したり、複数の学校のコンサルなども行うパラレルワークを実行し、ある意味何千人もの教師からの憧憬の眼差しで注目されています。

★したがって、3人の先生方が動くとき、それぞれの学校のブレインや仲間の先生方のネットワークも動きますから、ものすごい数の教師が現場で授業を変えていきます。それがアクティブラーニングなのかPBL(おそらく経産省の未来の教室に参加しているので、PBLという言葉を使っているとは思います)なのかはどうでもよく、対話やディスカッション、プロジェクトベースの活動の場で、生徒が様々な壁を乗り越えたりスルーしたりして自律かつエージェントとして社会を巻き込んでいけるモチベーションを内燃してくれればそれでよいのです。

★この流れは、確実に学歴キングダムの意味を無化し、欲望の資本主義をタレンティスムの方向(世界経済フォーラムのテーマ)に持っていくインパクトを与えていくでしょう。私立中高一貫校のコミュニティにとっては、リバタリアンの集結として恐れられるでしょう。サンデル教授のカテゴライズによるならば、ケイジンジアンのようなリベラリストとハイエクのようなリバタリアンのぶつかり合いというわけでしょう。

★そして、工学院大学附属中学校のように、教師が前面に出てくるのではなく、生徒全員が学びの共同体を創っている生徒コミュタリアニズムの学校もあります。メディアは、工学院を取材する時、ターゲットが生徒でない場合が多く、この新しい動きを察知できていない場合が多いですね。

★さらに、品川翔英の柴田校長のように、シバタリアン学校というのもあります。ラグビーのワンチーム路線でいながら柔らかい自由主義の学校です。サンデル教授のカテゴライズには収まらないので、シバタリアニズムとしておきます。上記の学校の先生方をリスペクとするでしょうが、完全に独自路線です。それでいて、めちゃくちゃファンが多いのに驚きです。おそらくafterGAFAというところに位置していて、いまのところまだ誰もその位置づけを知ることができないでいるでしょう。

★ともあれ、かくして、私立学校は、教師リベラリズムと教師リバタリアニズムと生徒コミュタリアニズム、シバタリアニズムのすてきな共創相克になります。コンサバはもともと私立学校にはいないのですが、私立学校の枠組みの中では、相対的にコンサバという学校があります。それは市場からドロップアウトするか、改革するかということになります。

★私立学校ではなく、国立なのですが、筑駒は、生徒コミュタリアニズムの学校です。いやここは教師と生徒によるコミュニタリアニズムかもしれません。

★工学院は、教師はリベラリストでしょう。

★生徒コミュニタリアニズムといっても、それは学校や社会に対して生徒共同体にまとまらざるを得ないZ世代というミッションによって支えられているので、それは学校にいる間だけです。おそらく、メンタルモデルはリバタリアンでしょう。超自由主義なのです。

★それゆえ、相対的に学校間の正義論的あるいは政治経済配分論的な意識(どんなに学校が政治的に中立だと言っても、人間は社会的動物だし政治的動物です。そのような中立だあ!という教育言説を振りかざす学校は、予測不能な事態に対応できていないはずです)は違いがあるのですが、自由主義的な動きを活発化させているという点では共通しています。麻布の生徒は基本、リバタリアンですから、御三家という学歴キングダムの拠点などという冠をどうするかは、考えて動くでしょう。開成は、学歴キングダムの拠点という冠をほしいままに使えるので、そこはうまくやるでしょう。それもまたリバタリアンです。

★何を言っているのか?結局、装いはいろいろです。学歴キングダムはあるわけですから、その中でどんなポジショニングをとるのかは、戦略的に必要でしょう。ミニ開成のようにポジショニングゲームで勝ち抜くか、そのようなシステムの外にでて悠々自適に暮らしていくか、学歴キングダムを無化する動きを創るのか、様子をみていて勝ち馬に便乗するのか、いろいろです。

★しかし、2021年は、武蔵野大中、新渡戸文化中、横浜創英中、品川翔英中、工学院大学附属中の動きとそれぞれの学校の仲間の学校(直接間接合わせると80校くらいになるのでは?首都圏私立中の30%)が、学歴キングダムがつくってきた心の壁、学歴の壁、才能の壁、男女の壁、教育の壁、経済の壁などをぶっ壊していくでしょう。

★そうそう、それとは別路線で、カトリック学校の中にもきちんと真理の教育共同体に立ち還るところもでてきました(カトリックの学校は1986年以降、学歴キングダムに加担しているところも多かったのですが、リバタリアンとは違う真理は自由という意味での自由主義を回復しようとする学校が出現してきました)。まだ5校にも満たないですが。カトリック学校の新しく生まれ変わったグループも将来注目されるようになるでしょう。

★さて、あなたは学歴キングダムを選びますか?未来への自由の道を選びますか?2021年は、決定的な中学入試市場の意志決定問題が顕れてきたのです。

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