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2020年6月10日 (水)

2021年の入試(08)2021年入試は、桐蔭学園中等教育学校の教育の総合力が広く浸透する。

★緊急事態宣言による一斉休校がもたらしたオンライン学習をきっちり進められた学校は、外から見ていたのではなかなか見えないその学校の教育の総合力や質とそれを通しての生徒の未来の活躍力を可視化しています。その可視化をイメージしやすい学校の1つが桐蔭学園中等教育学校(以降「桐蔭」)です。

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(桐蔭の生徒がオンラインで活動している姿を見て、私が勝手にイメージした桐蔭の6年間の教育の広がりの図です)

★今や、桐蔭と言えば、普段からアクティブラーニング(AL)型授業になっていて、そこでは知識基盤社会に必要となる基礎学力の学び方を体得していくというのは有名です。新学習指導要領の言葉に置き換えると「主体的・対話的で深い学び」を体得できるということでしょう。

★そして、基礎学力を超えて、さらに自分の興味と関心のあるテーマを深堀していく「探究」が「ミラトビ」と呼ばれている「未来への扉」です。

★桐蔭の場合、「AL型授業」と「未来への扉」の役割をきっちり分担しているのが特徴です。AL型授業は学習のメカニズムのプロトタイプであり、探究はその適用です。こうして「自律した行為」ができるようになっていくというのは以前からイメージしやすかったのです。

★そして、その「自律した行為」が大学入試で効果を発揮するのは、多くの受験生・保護者も経験上わかっていたと思います。ただし、大学入試のためにこれらけの大掛かりな仕掛けは必要なのか、キャリア教育と言っても受験指導でよいのではないのかというオールドな意識は捨てきれないでいたということも一方で否めません。

★なぜ捨てきれないでいたかというと、実は、生徒はこの「AL型授業」と「探究」を「AL型授業+探究」ではなく「AL型授業×探究」として体験していたことを感じ取る手立てがなかったからです。

★ところが、ここおのところ立て続けに、生徒が自ら企画立案して学内を巻き込んですてきな活動を展開している記事や動画が発信されました。1つは、同校の吹奏楽部による「キミの夢は、ボクの夢」の演奏です。テレ演奏というだけではなく、みんなで合唱してもいます。手拍子などの多様なパフォーマンスもあって、感動的ですが、なぜこのような活動をしたのかがまたグッときます。

★このコロナ禍で、医療従事者の方をはじめとする、たくさんのエッセンシャルワーカーの方が、多くの命を救ってくださっている。そんな方々に自分たちの音楽を通じて少しでも笑顔になってほしいという思いで演奏したというのです。自分たちのできることで、何か奉仕をしたいという意志の実現は、もちろん、「AL型授業×探究」で生まれたエージェンシー活動です。

★おそらく、桐蔭にとって、この「エージェンシー」という言葉を当てはめるとしたら、主体的に自分ができることを精一杯実践することで社会にも貢献できるという社会実装を自律して行えるように成長していくというような意味が込められると思います。そのような成長は、ふだんの授業や探究、大学入試の枠を超えた活動でしょう。いつもなら、なかなか見ることができませんが、今ではYoutube動画でも見ることができるのです。この動画も5000回を超える視聴がありますから、桐蔭の教育の総合力や質、そして生徒の社会での活躍力を多くの人が実感できます。

★もう一つの活動は、大学プレスセンターの記事「生徒の有志が企画したオンラインレクリエーション''Scattergories(スキャテゴリー)''で自宅学習中の生徒に活気~桐蔭学園中等教育学校」で読めますが、生徒が企画して学内みんなでStay homeを乗り切ろうという活動です。

★生徒は、協力しながら、オンライン上で、ロール・ルール・ツールを複雑に組み合わせてゲームを創造しています。しかも、大いにチーム桐蔭の良き雰囲気を共感しているというのが伝わってきます。この活動も、アクティブラーニングのロール・ルール・ツールの組み合わせを最適化して学んでいくエージェンシーな動きの実践でしょう。

★この情報は、多くの人も共感できます。自分たちもStay homeで人とつながりたいという気持ちを募らせていますから、このような活動の意味は響きます。

★どうやら、そんな破格なパワーを生み出せるなら、大学入試のためだけではなく、それはもちろん成功させますが、それよりもっと先に進み、社会で活躍し、well-beingを導くのではないかという実感を今や抱くのはそう難しくありません。

★しかも、学校から大学・社会へ移行する在り方が変化して、大学や社会が求める資質・能力やスキルを有した人材が、「アクティブラーニング×探究」から生まれるエージェンシー活動ができる人材と結びつくということも実感できるのではないでしょうか。

★このいわば新しいキャリア教育をトランジションという新しい考え方で研究している桐蔭の先見性も、「アクティブラーニング×探究×エージェンシー活動」に密接に関連してくることも納得がいきます。

★そして、このような桐蔭の分厚い教育の全貌を見たり感じたりできるようになることは、2021年中学入試にインパクトを与えることになるでしょう。

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