2021年の入試(06)新しい保護者 ナチュラルシチズンとして学校や教育を探している
★首都圏中学入試における新タイプ入試は、2020年は、2014年に比べ、3.9倍の149校。首都圏中高一貫校の51%が実施するようになったのです。今回、今春、この新タイプ入試を受験して私立中高一貫校に入学した生徒さんの保護者の方とZoom対話ができました。お子さんは、入学するやいきなり休校になったわけですが、オンラインPBL授業を楽しみ、私たちの心配をよそに、そこはデジタルネイティブでです。さっそく友人とオンラインコミュニケーションを楽しみ、待ちに待った分散登校でやっと会えたねと楽しく通っているということです。
★保護者とは、2時間ぐらい多様な深い対話をすることができました。そして、この新タイプ入試が拡大し、実はこのオンライン授業を通して、さらにオンライン入試が加わり、来春の入試はさらに拡大し、質的にも豊かになっていく可能性があることに気づきました。
★というのも、今年の新中1が小学校に入る前に、実は学校前教育の情報が保護者の間では結構飛び交っていたわけです。米国のチャータースクールやホームスクール、モンテッソーリ、シュタイナー、そのほか新しいクリエイティビティを大事にする教育について情報共有がなされていたわけです。
★ハワード・ガードナー教授の<Unschooled Mind>という研究は、そういった学校に行く前の学びの豊かなマインドがどうやって形成され、<Schooled Mind>によって、どうやって削られていくかあるいは無視されていくかということが克明に描かれているわけですが、欧米でガードナー教授のプロジェクトが広まっていました。
★しかし、日本では、まさに<Schooled Mind>が主流で、一握りの認知的優秀者がピラミッドの頂点に立つスクールキングダムが支配してきたわけです。
★ところが、女性も活躍するようになってきて、まさに当時はその過渡期だったと思いますが、自分の環境のスクールキングダムが偏差値優秀性とジェンダー問題を抱えていることに直面します。
★そこで、自分の子供の教育について学び、アン・スクールキングダムという環境にいれるわけです。対話した保護者もそうでした。しかし、小学校はどうもお受験をしたところで、ますます<Schooled Mind>が強化されればかりなので、公立学校で、ゆるくまずは育ってほしいと。豊かな才能は削られないように保護者が守るという決意で入学させるという傾向がじわじわ広まってきたわけです。
★そして、その保護者のお子さんが小学校に通い始めたころ、私立及び公立中高一貫校の<Deschooled Mind>の動きがあることに、そのような保護者はフロンティアンナテナリストですから、気づきます。それが、適性検査型入試だったり、思考力入試だったり、自己表現型入試だったり、アクティラーニング入試・PBL型入試だったりという新タイプ入試だったわけです。
★保護者は、子供と一緒に、あちこちの新タイプ入試のオープンセミナーに参加し、説明にも耳を傾け、入試の時のためだけの手法としてのテストなのか、入試問題は顔と言いますから、カリキュラムのエッセンスがちゃんと反映しているのかモニタリングしていきます。
★それで、見つけた学校の新タイプ入試を受験し、入学するというわけです。どうやら、中学入試における新しいキャリアデザインタイプが誕生しているのです。したがって、新タイプ入試が増えているということは、そのようなキャリアデザインタイプが増えていることが示唆されているのかもしれません。
★Zoom対話をしていくと、今度は大学ですね。今の日本の大学は<Schooled Mind>が通常ですから、クリエイティビティが豊かに育った生徒、そして決定的なのは、その生徒が豊かさを生み出していくのは、ガードナーも学校の先生方と実践していますが、生徒自身が自分のプロジェクトを組み立てるPBLを通してなのです。
★そのような生徒が<Schooled Mind>の大学に入学することはできるならば、避けたいということになります。では、海外の大学かというと、その可能性は大いにあるのですが、新コロナウィルスが、そうでない海外の大学もいっぱいあることを掘り起こしてしまいました。
★それゆえ、これからは、<Unschooled Mind>や<Deschooled Mind>を有しているナチュラルジチズン(自然と社会と精神の循環を生み出すマインドフルネスを大事にする市民。私が勝手に呼んでいます。)は、教師、保護者、生徒、企業人、起業家など多様な仕事や役割のロールタイトルを越境して、情報共有していく必要があります。
★そして、そのときの情報共有の在り方は共感的コミュニケーションができる安心安全のコミュニティであってほしいわけですね。
★もっともっとご紹介したい深イイ話が保護者の方とのZoom対話で行われたのですが、プライベートなこともいっぱいありますので、今回はこのへんにしておきます。
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