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2020年6月21日 (日)

2021年の入試(19)聖学院のオンライン思考力セミナー テクノロジーとPBLと才能と。新タイプ入試の意味。

★昨日午前、聖学院は、オンライン説明会を実施し、午後はオンライン思考力セミナーを行いました。説明会は5回目であり、セミナーは2回目です。リアルな空間である講堂で行う説明会やリアルな教室で行う思考力セミナーと違い、1回1回の参加者は50人~80人単位のようですが、各回合わせると実はリアルに参加する総数より多くなる手ごたえを感じていると児浦先生(広報部長・21教育企画部長・国際部長)は語ります。

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(オンライン思考力セミナーにウェビナーとして取材させていただきました。生徒さんの顔は見えないようにしています。チャットのテキストマイニング・マップは掲載許可を児浦先生にいただきました。マップ分析は、User Local AIテキストマイニグによります。)

★説明会実施の翌週土曜日はオンライン個別相談を設定しているため、ソーシアルディスタンスの中で濃密な心と心の対話が響き合って、聖学院で学びたい、聖学院で才能を開花したい、聖学院で人間としての心を豊かにしたい、はやく学校で会いたいという想いが募っていくのをダイレクトに感じているのだと思います。

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(オンライン学校説明会を行う児浦先生。写真提供は児浦先生。)

★第2回目の思考力セミナーにウェビナーとして取材させていただきましたが、驚きの連続でした。リアルな空間での思考力セミナーは幾度か取材させていただいてきたのですが、オンラインだとまた格別でした。

★テーマは「アフターコロナ」です。いつもであれば、テーマを考える材料や資料、データが用意されているのですが、今回は世界同時的にあまりに多くの人々が体験している日々のパンデミック化の環境がすべてテキストです。

★ですから、問いはシンプルで深いものでした。

★参加した生徒は、手元にレゴや紙、鉛筆を用意しています。児浦先生が、思考力入試やセミナーの意味を生徒と共有した後、さっそく一つ目の問いを投じます。「コロナ時代で良かったこと、うれしかったことは何か?」と。

★この問いはシンプルですが、生徒は、毎日のように、いつも体験しない不自由なことや辛いことに囲まれているわけです。その中で光を見出しなさいというのは、今回のパンデミックと自分の関係を考える時間を持っているという意味なのです。

★まずは個人個人考え、それからブレイクアウトルームにワープしました。オンライン授業やオンライン説明会のなかなかおもしろいところは、このワープ感だったり、どこでもドア感があるのだなあと生徒の様子をみていて感じました。

★しかも、そこで新しい出会いがあります。セミナーに参加する生徒は、すでに聖学院のセミナーでは、グループワークをやることは既知なのです。多くのメディアが取り上げていますから、そこは了解済みで参加します。しかし、どんな未来の友人と会えるかは未知です。この未知感覚に、ワープ感、どこでもドア感が加わるのですからオンラインという制約の中でもワクワクした雰囲気があふれ出ます。

★ブレイクアウトルームにもウェビナーとして参加しましたが、聖学院のファシリテーターがすてきでした。生徒1人ひとりが語る内容について、それを豊かにする対話をしていたからです。生徒の内に目を向けさせる対話ではなく、生徒が自ら内面を引き出そうとするきっかけをつくる対話だったのです。

★生徒が家族とふだんしないようなことをしたことが良かったところですと発表すると、たとえばと問います。すると生徒は料理をいっしょにしたことかなあと。すると、すてきだねと。

★ゲームができたことことかなと生徒が語ると、どんなゲームしたの?と。ハンターハンターだよ、自分の才能をつかって、いろいろなものを増やして成長していくんだと。

★折り紙やってましたと生徒が語ると、同じくらいの歳、僕も折り紙でつくっていたよとファシリテーターがいうと、生徒がエリマキトカゲの超大作を見せてくれます。凄い!となります。たしかに、本当に折り紙なのというほど圧巻でした。

★ファシリテーターは、生徒の表現する思考スキルにいっしょに乗っかります。ですからドライビングするのは生徒なんですね。外から見ていて、どこへ行くのかとか、他のスキルは使わないのかと、アドバイスするようなことはしないのです。これが共感の極意なのだなと。そして、まるでいっしょにジェットコースターに乗って、楽しいすごいすばらしいというものだから、ジェットコースターのドライビングのし甲斐が生徒にはありますね。自分がサプライズを生み出しているのですから。

★ファシリテーターは、どんなことが話されているかスーパーバイザーの児浦先生にプラットフォームで共有をしています。再び全員のミーティングの場へワープすると、児浦先生から幾人かの生徒に話を持ち掛けます。彼らはのアイデアを全体に共有するプレゼンの場に変容します。

★スーパーバイザーの児浦先生は、ブレイクアウトルームのファシリテーターとは違い、生徒のプレゼンに、その意味について感想を語ります。児浦先生なりの意味付けというフィードバックです。いかに君のアイデアは価値があるかということを感じたよいという対話です。

★そして、ファイナルクエスチョンは、「アフターコロナで残したいものは何か?つくりたいものは何か?」という「世界制作」の問いです。

★レゴでつくったり、絵を描いたりしながらつくっていきます。「手は第二の脳」だよ、手という脳をどんどん動かしてアイデアを生んでカタチニにしてねと児浦先生。

★そして、またブレイクアウトルームにワープです。生徒はもうレゴや絵で、自分の考えを鼻をふくらませて語っていきます。ファシリテーターは、今度は生徒が多様な思考スキルを使っているので、対話もより開放された感じになります。一回目は「具体と抽象」のスキルが多かったのですが、今度はそれに「比較・対照スキル」や「因果関係スキル」が加わっています。また「突き抜ける」すごい話もあります。

★それぞれのスキルに乗って、そこをもっと知りたいなあという感じで問うわけです。待ってましたとばかり、生徒は一生懸命説明します。

★ブレイクアウトルーム後にはまた全体ミーティングの場にワープします。そして幾人かの生徒がプレゼン。友人のことや医療のことやワクチンことやAIのことや多様なアイデアがあふれ出ます。プレゼンのたびに黄色い小さき花が一斉に咲き誇ります。黄色い拍手のアイコンを操作して表すからです。

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★オンライン授業、オンライン思考力セミナーは、自己表現をするときに必ず機械の操作をしますから、自分の意志をその都度感じることができるので、まさに「主体的・対話的で深い学び」を自らがドライビングしているという感覚がもてるのだと気づきました。

★終了もあとわずかとなったとき、チャットには、「レゴ最高!」「楽しかった!」「また参加します!」「ありがとうございました!」と生徒の打ち込みが殺到しました。

★聖学院のオンライン思考力セミナーは、聖学院の授業のエッセンスが反映しています。教師のファシリテーターやスーパーバイザーとしての対話スキルの優秀性がわかりました。それにストーリー作りが巧みですね。また、学びのツールを生徒が使える環境になっているところが改めて素晴らしいと感じ入りました。生徒が自ら自然と動けるわけですから。さらに、「問い」の創り方がたくみです。生徒が全身で立ち臨める問い作り。自分の得意なツールで探究したくなるような問い作り。

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★来年のダボス会議のテーマは「ザ・グレートリセット」で、そのキーワードは「タレンティスム」です。聖学院の思考力入試は、まさにそのウネリの象徴でしょう。そして、中学入試の新タイプ入試の新たな意味は、このタレンティスムへの流れとも結びつくことなのでしょう。

★聖学院の教育がいかに最先端を追究しているのか、そして、人間存在の本来性へアプローチしていく問いのデザイン力がいかに豊かなのか。感服した時間でした。

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