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2020年6月16日 (火)

2021年の入試(14)ノートルダム女学院の歴史的インパクト ハイブリッドPBLと哲学と宗教と②

★ポストコロナショック時代に、ノートルダム女学院がハイブリッドPBL授業を行っていくということは歴史的インパクトを生み出すという話を前回しましたが、もう1つ歴史的インパクトが同校から生まれています。それは、PBLの真髄である人間の本来の在り方を見つめ、それに基づいて生徒1人ひとりが自らの存在を創っていくリベラルアーツが新しいカタチで生まれているということです。

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★リベラルアーツは今やGAFAに代表されるようなコンピュータサイエンス産業のCEOや台湾の天才デジタル大臣オードリ・タン氏などが、エンジニアリングにはリベラルアーツが必要だと言っている程注目されています。もちろん、2000年以上続くヨーロッパの伝統的なリベララルアーツではなく、そのエッセンスを継承した新しいカタチのリベラルアーツでしょうが。

★また、一方で、出口治明立命館アジア太平洋大学(APU)学長が昨年出版した「哲学と宗教全史」がベストセラーになっています。西洋と東洋の哲学と宗教を扱った大著ですが、人間が何を考え行動し、困難を引き受けて乗り越えてきたか想いを馳せ、このパンデミックを1人ひとりが自衛しながらも協働し生き抜くための道標となっているのかもしれません。

★そういえば、1995年、あの忌まわしい残酷な地下鉄サリン事件があり、阪神・淡路大震災という悲惨な災害に見舞われたときも、「ソフィーの世界」という哲学書がベストセラーになりました。Windows95が発売され、コンピューターサイエンス世代が誕生した時でもあります。

★世界リスクと哲学とコンピュータがつながった年です。そのつながりは、今も続いているのでしょう。そのことに改めて気づかされたのが今回のパンデミックであり、そのことを今後忘却できない程の世界同時的なインパクトがあったわけです。

★そして、ノートルダム女学院には、そのリベラルアーツの土台となる哲学や宗教を学ぶ教科として「宗教科」と「社会科」があります。新しくカリキュラムを創るのではなく、すでにあるのです。ただ、大学合格実績や偏差値にこだわる世間の常識が、この2教科の歴史的重要性に気づくことができないでいたわけです。

★しかし、ポストコロナショックの時代は、そのインパクトの重要性に世間も気づいていくことになるでしょう。

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★昨日も、高2の宗教の時間で、山川先生は、アンドリューというロボットが自由を求める映画を活用しながら、自由とは何か議論していく哲学対話の授業を実施していました。もちろん、アンドリューというロボットは、メタファーですから、他の人物にどんどん置き換えて考えていける教材だと山川先生は語ります。

★社会科の霜田先生も参加して議論になりました。哲学的にはサンデル座標で論じて相対化していくのだけれど、宗教の授業では、その座標を広げていくというより、アンドリューをたとえば聖パウロの生き方に重ねて考えていくわけですよねと山川先生と対話するシーンがありました。他校では見かけない新鮮なシーンでした。

★このメタファーを解読しながら思考する学びこそ、リベラルアーツの真骨頂です。GAFAのスタッフや台湾のデジタル大臣がブレイクスルーを生み出す時の仕掛けでもありましょう。実はこのメタファーやミメーシスのリベラルアーツのスキルは、数学や理科でも活用します。これについてはいずれご紹介しましょう。

★とにかく、予測不能な時代に直面してしまった私たちは、今様々な問題や壁に取り囲まれています。テレビの情報番組も、公衆衛生や経済的ダメージの情報とそのダメージを乗り越える医療従事者や起業家を取材し取り上げています。その取り組みを見ると、創造性への挑戦があることを感じないわけにはいきません。

★ノートルダム女学院の教育の中にすでにある哲学と宗教を土台とするリベラルアーツ的素養の展開に今後期待がかかるわけなのです。

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