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2020年5月 1日 (金)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(67)聖学院のオンライン学習の進化急速。

★緊急事態宣言による休校状態がどこまで延長されるのか予想が立たないこの情況下にあって、聖学院は独自の判断と意志決定によって、オンライン学習の第2フェーズに挑戦する動きを見せています。序破急あるいは守破離のリズムとはいえ、破のステップに移行するのが実に速いですね。今まで蓄積してきた聖学院のポテンシャルがビッグバンを生んでいる感じです。

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★同じ内容を2回に分けて実施するそうですが、本日5月1日の1回目は、40人弱の先生方が参加して、明日の聖学院の授業の構想を対話するZoomミーティンが行われました。今回のパンデミックのビフォー・アフターのビジョンを共有し、それをどのように現実化するか理想と実装のアイデンティティを模索するミーティングでした。私も厚かましくも参加させて頂きましたが、そのものすごい熱気に圧倒されました。オンラインなのに気を感じたのです。

★おもしろかったのは、次のフェーズのオンライン学習を考えているだけではなかったことです。もちろん、オンディマンドから双方向のオンラインに移行するのですが、実は、そのことを通して生徒が自ら深い問いを見出し、探究し続ける、自走できる圧倒的な人間力を生み出す聖学院の学びの環境のアップデートの話でした。

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★驚いたことに、グーグールフォームでその都度アンケートを収集し、瞬時に分析して、聖学院の生徒のいまここでの学びの状況や意欲とこれからの生徒の探究への欲求をリサーチしてつくったデータエビデンスに基づいて議論をしていたのです。

★つまり、オンライン学習を通して活用しているツールで、授業デザインだけではなく、生徒の反応も取り入れて、教師自身の根源的な意識を求める対話を行っていたのです。これがリアルな時空での会議だと、こうは効率よくかつ深くは議論ができなかったでしょう。

★そして、新しい授業モデルが何人かの先生方から提案されました。Zoomの共有機能は本当に共有するには優れものです。今回は、スー・F. ヤング と ロバート・J. ウィルソンが開発・発展させたICEモデルを使って授業デザインをし、問い作りをし、評価をどうするか提案がなされていました。

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★ブルームの認知モデルであるタキソノミーを批判して、ただ分類するだけではなく、学び方のループのフォームにしたがって、授業デザインをしたり、評価をしたりするモデルです。ブルームのタキソノミーは複雑で、かつ分類だけなので、静的で動態的ではないという批判も多く、Beyond Boomの動きが2000年前後に活発になりました。

★ICEモデルはその動きの一つです。最近中学入試市場に流布している思考コードもその一つですね。

★IB(国際バカロレア)やCLILはブルームの認知モデルをベースにしています。ICEモデルは、資質能力の流れで文科省やベネッセが参照しているモデルです。首都圏模試や21世紀型教育を推進している学校は、その両方の軸をマトリクスにした思考コードを活用しています。

★評価というものを学年単位の評価や資格試験の評価、大学受験のスコアなどに重点をおくとブルームのタキソノミーベースになります。IBやCLILのそれぞれの機構の性格からいえばそうですね。

★人間力をサポートし豊かにしていくエンパワーメント評価に主軸をおくとICEモデルになります。

★首都圏模試や学校は、一般入試と新タイプ入試やAO入試の両タイプのバランスをとるため、両軸のマトリクスが必要なわけです。

★しかし、ポスト・コロナの時代は、不測の事態を生き抜く人間力が重視されるので、ICEモデルのように行動と学びがのスクランブルがわかりやすく活用できるモデルが有効なのかもしれませんね。そんなことに思いを馳せる刺激的なミーティングでした。

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★そして、チェックアウトの前に、ブレイクアウトルームで小グループで対話をしました。リアル時空でしか行えない授業とオンライン授業でしか行えない授業があることはわかるが、普段できていることができないもどかしさや終息後に、両方をどのように統合できるかは未知であるし、統合することが是では必ずしもないかもしれないなどジレンマも語り合いました。

★しかし、私が属していたグループでご一緒だった清水副校長は、こうして話し合っていること自体、そしてここまで行えていること自体が聖学院でしかできないことであり、パラダイムシフトをを起こす教育出動をしているのだと。そして、それはこれからも続くのであるとエールを贈っていました。

★また、英語科主任の井上先生は、新型コロナウイルス以前から、ツールとしての英語を越境して創造的なあるいは深く考える問題を出すべきかどうかは毎授業で迷うところであったと。つまり、生徒が課題を自ら発見して探究していくきっかけになる問い作りは、パンデミックの前後は関係なく、共通して挑戦していく問題なのだという認識なのでしょう。

★ただ、このオンライン学習という媒介を通して、ICで終わらずにICEにまで歩を進める問いについて生徒と対話しやすくなるのは、開発された場所がICTを日ごろから活用しているカナダの教育から生まれてきているところからも推察できるでしょう。

★それにしても、今回のミーティングは、ICEモデルを介することで、授業において批判的で創造的な才能を創発する問い作りをするだけではなく、聖学院自体の教師のものの見方・考え方・感じ方をさらに広げるための根源的な問いを見つけるミーティングでもあったのかもしれません。しかも、その根源的な問いは、発見したと思うや、またさらにまた別の問いを追うことになるという果てしない旅でもありましょう。

★Zoomのホストが複数の共同ホストによって運営されていました。こんな多重構造の仕掛けを1時間以内でシンプルにやってのけるチーム聖学院は、とにもかくにも清水副校長の言う通りパラダイムシフトを牽引する学校の1つでしょう。そして、生徒の学びを止めないと同時に教師も常に深い問いを追跡していくのです。

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