« ポスト・コロナショック時代の私立学校(117)ノートルダム女学院 Web配信説明会のインパクト!広さと深さ④ | トップページ | ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(23)本格的なPBLの時代 突き抜ける人類としての自分へ① »

2020年6月 1日 (月)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(118)ノートルダム女学院 Web配信説明会のインパクト!広さと深さ➄

★ノートルダム女学院のWeb配信オープンスクールがやってのけた3つ目は、惜しげもなくPBL授業の手法と効果と豊かさを披露していたというコトです。どこの学校もアクティブラーニングやPBLのシーンを写真や動画でみせます。アフター/ウィズコロナにおいてはますますこれは増えるでしょう。

★それまでは、大学入試では暗記中心で突破できたので、そんな授業では役に立たないとか叫ぶ方もいらっしゃいましたが、私たちはパンデミックを共有し、そんな学びではサバイブできないし、互いに思いやることもできないということは共体験しています。

Photo_20200601030001

★また、メディアも大学の学生のアンケートなどを明らかにし、一方通行型の講義形式と双方向型の講義では、どちらも一長一短あるけれど、圧倒的に双方向型のニーズが高いというとを明らかにしつつあります。

★中高の場合は、そのミックスが個別最適化にもなるし、チームの相乗効果で広く深い学力を養うということがわかってきました。

★そのことを、見事に簡明・明快・感銘の3点セットで語り尽くしたのが同校の教育開発センター長霜田先生です。

★ご自身も、もちろん普段からPBL授業の推進者で、今回のオンラインPBL授業のまさにサポートセンター役も担っています。それに、ご自身も授業を幾つも担当しています。

★前回「理想の食とは何か」という、Stay homeの折に、共感できる問いを投げかけました。やはり身近なところから学びを広め探究を深めていくT字型学習(慶応義塾大学の井庭教授のランゲージパターンの1つ。Tの字の横線に学びを広める意味を込め、縦線に深めていく意味を込めています)ですね。

★高谷副校長はMS(カラシダネ成長)戦略の学びのパターンで語り、霜田先生はT字型学びのパターンで語りました。両方ともPBLのパターンのピースです。同じ学びでもパターンを変えて動画を編集する心憎い気遣いも実に興味深かったです。

★さて、霜田先生の話は、前回は、この身近な、それいて社会課題に通じているBig Questionを生徒とどう考えていくのか客観的に語りました。今回は、保護者の主観に訴えました。

★PBL自体は、リアルでもオンラインでもビジョンは共通している部分が多いのですが、オンラインになると、学びのツールによって、参加者全員を知性の竜巻の中にすぐに巻き込めます。

★この問いの解答を考える過程として、1)どんな理想?2)その自分の考えを支える根拠は何?3)自分だったたらその理想をどう実現する?と生徒たちとスモールステップに分けて思考を深めていく思考型授業を説明していました。オンラインでやりとりをした生徒の解答などをみせて、模擬試験の偏差値と深い思考の相関がないことまで証明していきました。

★そして、この問いは実は東大の帰国生の小論文の課題だということが明かされました。東大推薦入試や京大の特別入試も同じような深い問いなのだということも語っていました。

★ノートルダム女学院から今春京大も2人入っています。今後ますますこのような問いは増えるでしょうから、参加者も背筋がピンとしたでしょうし、こんな正解が1つではない問いならおもしろいから解いてみたいとモチベーションがあがるわけです。

★それで、解答はメールでどうぞお寄せくださいと。

★すると、どうでしょう!たくさんのメールが届いたということです。そこで、今回はその解答を見せて添削していくなどということなどせずに、テキストマイニングして、どのような観点やトーンが集まったのか、AI分析してマインドマップで表現していきました。

★オンラインになって、解答がtextで収集できるので、生徒の解答をテキストマイニグすれば、共通する発想と特異な発想が瞬時に見ることができます。そして、この特異な発想を見捨てずに、サポートする根拠があるのか正当性、信頼性、妥当性を議論していけば、ブレイクスルーが起きます。

★ディスカッションに参加するには、自分の考えをテキストにして、テキストマイニグに投げ込まなければ協働したことにならないので、ディスカッションをどうするかについてよく話題になるのですが、これは一つの解決方法です。ディスカッションしても創発されないで終わるなら、やらないほうがましだという意見は根強かったのです。

★しかし、霜田先生をはじめNDの先生方が大切にしている対話や議論は、創発型だということが参加者は実感できたことでしょう。

★というのも、保護者は、自分たちの考えを受け入れられ、少数派の考えも尊重されながら、学びが広がり深まっていくことを実感し、集合知を自分事とできたのですから。

★そして、これが自分の娘がNDで学ぶPBLなのだと。これからはリアルとオンラインのハイブリッドPBLなのだということが実感できたことでしょう。

★霜田先生は社会科教諭で、哲学専攻で、大学院で深く研究してきました。このコロナ禍にあって、ニュートンがペストパンデミックで疎開してStay homeしている間に、いろいろな学問的発見をしたように、NHKなどが番組で哲学の重要性や学びの深さに注目しています。霜田先生の話は、そのような時代の精神にもマッチングしているのです。

★コロナショック以前では、こんな広く深い哲学的素養の話は学校説明会で聞くことはできませんでした。校長訓話とか外部から偉い講師を招いて一方的に聞くというぐらいだったでしょう。

★それがオンラインになって、深い教養的な話も、AIによるテキストマイニグで簡明・明快に語られるようになりました(とはいえ、霜田先生だからというのが本当は大きいのですが)。それにまた、参加者は驚いたでしょう。なぜなら、このテキストマイニグの手法は野村総研やSONYなどの大企業が、企業戦略のマーケティング分析の時に活用する手法で、自分たちにとってあまりに身近な手法だったのですから。NDのPBL恐るべしです。

★そして、最後は、霜田先生はXチャートという思考ツール(カテゴライズという思考スキルを参加者が発動する仕掛けです)で、話をまとめました。これもPBL授業で活用されるものです。高谷副校長はフィッシュボーンチャート(具体と抽象と時間の流れという思考スキルを参加者が発動する仕掛けです)で話をまとめていました。

3013

★このコロナ禍にあって、子供たちは自由に考えることは楽しいと感じているようです。これがPBLの極意でもありますね。とにかく、ここまで、PBLの基本ができている先生方がいるということもさりげなくアピールされていたのには脱帽です。

★そして、大事なことは、高谷副校長も霜田先生も料理や食をテーマに広く深く語っていったのですが、生徒会のメンバーが制作した動画のエンディングも、料理を通してStay homeを考える物語だったのです!

|

« ポスト・コロナショック時代の私立学校(117)ノートルダム女学院 Web配信説明会のインパクト!広さと深さ④ | トップページ | ポスト・コロナショック時代がもたらすコト(23)本格的なPBLの時代 突き抜ける人類としての自分へ① »

創造的破壊」カテゴリの記事