2021年の入試(03)中学入試市場の立地条件を大きく変える首都圏模試「第1回合判模試」のオンライン学校説明会
★明日24日(日)、首都圏模試センター主催の「第1回合判模試」が開催れますが、緊急事態宣言が続く中、自宅受験となります。環境が大きく変わったにもかかわらず、前年対比70%強受験というのは、ポストコロナ時代をサバイブする教育に興味と関心が高いと同センターはみなしています。というのも、自宅受験しながら、オンラインで100校の学校説明会や個別相談ができる環境を同センターが設定したということがあるからでもありましょう。
★この100校という数は、首都圏の私立中高一貫校の30%強シェアを示唆します。このシェアは、一つの大きな流れを意味する数字でもあります。それは、今後は、今回のように、ノー3密のリアルな時空と遠隔説明会というサイバー時空のハイブリッド時空になることを予想させるものです。
★市場というのは、立地条件が極めて重要なわけですが、その立地の意味がリアルな立地時空からサイバーとリアルな立地時空のハイブリッド時空にシフトするわけです。その市場の変化を促すエポックを首都圏模試センターは切り拓いたといえましょう。
(1986年以降の日経平均の上昇幅20位と下落幅上位20位の日程を古い順に並べてみた)
★1986年以来、私立中高一貫校の中学入試は時代の教育のベクトルの先頭に立ってきました。ブラックマンデー以降、ベルリンの壁崩壊や天安門事件、ソ連の崩壊などをしり目に、日本はバブル景気がふくらみました。ある意味、ジャパン・アズ・ナンバーワンの味を占めている時代です。当然、そのような日本社会を支える学歴エリートが注目され、学歴社会という学歴時空が盤石になる時代です。
★中学入試の市場は、この学歴時空の集中する首都圏で盛り上がりました。日本全体の中学入試の50%は首都圏に集中したのもそういう理由でしょう。中学校の新設も増え、首都圏の中学入試総定員が、1986年当時に比べ、今では10,000人以上増えているのも、その時代に端を発します。
★しかし、バブルが1991年以降はじけ、アジア通貨危機やITバブル崩壊などが続き、私立中学入試も低迷期を迎えます。当然、市場の条件を変えようとする流れがでてきます。低迷を脱するにはいかにしたらよいのか?と。
★そのアジア通貨危機やITバブル崩壊も、日経平均の上昇幅ベスト20位と下落幅ベスト20位を時代順に並べた図を見ていただければわかるように、危機を迎えるたびに回復するのですが、それはイノベーションによるものであることは、説明するまでもないでしょう。
★インターネットの危機が今でいうSNSへ移行する瞬間に、つまりデバイスからモビリティやWebプラットフォーム化へ移行すると同時に回復するわけです。GAFAの時代到来ということです。当然、そうなると経済立地の時空は、グローバルな範囲に拡大しました。EUが立ち上がったということもあります。BRICsが隆盛したということもあります。
★私立中高一貫校の市場もグローバル教育を行っているということが前面に出始めます。相変わらず20%は学歴時空で成立していましたが、リーマンショック以降はさらに80%はグローバル教育にシフトします。中学市場の立地時空は、首都圏の学歴社会の集中するリアルな時空からグローバルな時空に広がります。それまで、一部の学校が独占していた帰国生入試が拡大するのもこの時期です。
★そして、メディアはあまり取り上げないのですが、というよりも学習指導要領の変更の流れでしか取り上げないのですが。私立中高一貫校のグローバル教育のコンテクストは、授業そのものをPBLにシフトする動きに転じていくのもこの時期です。この私学の流れは、学習指導要領のアクティラーニングの提唱で動いたわけではなかったのです。
★そして、このグローバル教育時空における高度な英語力とPBLが昨年あたりから、高偏差値の学校でなくても、世界大学ランキング100位以内の海外大学に進学する生徒が輩出されるようになってきたのです。
★時空がグローバルになると、当然Webを活用するPBL授業は当たり前になり、1人1台タブレットやノートパソコンを授業で活用するようにもなる21世紀型教育を推進する学校が増えてきたのもこの時期です。
★そして、2020年新型コロナウイルスのパンデミック。感染拡大防止のために、ノー3密空間を保つために外出自粛の緊急事態宣言が発令されました。学校は全国的に一斉休校になって2カ月が経過。子供たちの学びを止めないためにオンライン学習環境が整備されていきます。
★そんな中、私立中高一貫校のほとんどの学校は、進化ステージはいろいろですが、オンライン学習の環境を設定して実行しています。明日の首都圏模試センター主催の「合判模試」のオンライン学校説明会に参加する100校は、その中でも先進的なオンライン授業を実施しているところです。
★先述しましたが、たしかにコロナショックは、経済的ダメージをもたらしました。残念ながら衰退する産業もあるでしょう。今までのようにグローバルサプライチェーンだけではなく、最低限の条件を自国に担保したうえで、グローバルサプライチェーンを組んでいくという改善もなされるでしょう。しかし、何よりオンライン内の市場は止まりません。改善以上の動きが出てくるでしょう。
★オンライン授業は教育イノベーションとして、新市場が拡大することは間違いありません。このイノベーションを起こし活用するのは、教育です。そしてその先進的役割を果たすのも私立中高一貫校です。
★こうして、リアルとサイバーのハイブリッド軸を教育の立地条件とする私立中高一貫校が出現します。そのモデルの1つはN高です。通信制高校ですから、全日制の私立中高一貫校がそのままそのシステムを活用することは制度の壁があってできませんが、制度の枠内でどんどんオンライン化は進むでしょう。そのうちに制度変更が起こることもあるでしょう。第2波第3波に備えるにはそうしていかざるを得ないかもしれません。
★すると、その時空がハイブリッドですから、地域を越境してしまいます。そして英語力が堪能な生徒を育てている学校は、その地域の広さは全世界です。ここから先何が起こるのかネガティブにみるよりもポジティブに見たほうが経済的ダメージを克服するためにも、いや何よりさらに拡大する格差社会をなくしていくためにも、大切な局面を迎えています。
★したがって、いまここで向こうに跳び出る扉を開かなくてはなりません。その機会がオンライン授業を平常時にも活用するハイブリッド時空教育の促進です。それを促進する大きな役割を果たしているのが明日の首都圏模試センターの動きです。
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