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2020年5月17日 (日)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(93)八雲学園のオンライン 孫氏の戦略とプラグマティズム

★八雲学園も、着々とオンライン授業を展開しています。興味深いのは、その進め方が、他校とポジショニングが違うということです。どういうことかというと、八雲学園は私立学校の行方を全教師一丸となって背負っているということです。これは、知られているようで意外と知られていないコトです。

★ですから、詳細に同校のオンライン授業の様子をサイトで公開することはないのですが、近藤彰郎理事長・校長自らがZoomで生徒とオンラインHRに参加している後ろ姿の写真が公開されているのです。実にシンボリックです。

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★というのも、近藤理事長は、一般財団法人東京私立中学高等学校の会長ですが、このポジショニングは、自らの利益ではなく私立学校全体の利益のために尽力するという国連が重視している「黄金律」と同様の精神を体現する使命を持っているからです。

★もちろん、そのことは日本の教育全体にも善き影響を与えるはずですが、近藤先生は、それは文科省がしっかりやることであり、助言を求められれば、協力はするが、それ以上のコトを私立学校が協力することはないという「武士道」の構えを示しています。

★ですから、今回の休校やオンライン授業も、私立学校の自らの判断と意志決定によってなしえているのだという姿勢を崩しません。あくまで、私立学校としての役割を全うしようという戦略です。その戦略は「孫氏の兵法」を思い起こしますし、同時にプラグマティックな戦略も想起します。

★というのも、国に対し、精神の主導権と人々の幸せを生み出す社会実装の主導権という確固たる軸を持続可能にして渡り合っているからです。規模からいえば、国と比べれば、小規模ですが、精神の大きさと幸せを生み出す社会実装の優秀性は突き抜けています。

★そういう意味で、教育のあらゆる領域で、国内ではなく、世界に通用するスタンダードを実現しています。でなければ、今後の危機の教育を救う私立学校として道を拓くことができないと思っているはずです。

★ですから、グローバル教育も世界のエスタブリッシュスクール200校と連携としています。この八雲学園の教育活動について、当然文科省は学びに来ているはずです。

★また、生徒のGrowth Mindsetが広がる部活や多様な教育活動は、文科省がなんとか生徒の主体性を育てようとしたときに、大いに参考になるはずです。

★そして、オンライン授業においても、そのような主導権を握る準備をしなければなりません。そうでなけれ、国や文科省に対してスキをつくることになります。

★近藤理事長のセオリーは、世界の最高水準と結びつくことです。しかし、オンライン授業については、まだ世界でも固まってはいません。なぜなら、今回のこのウネリは世界中が初めて経験していることだからです。そういう意味では、中途半端なものは発信できないのです。

★だから、山のごとく動かない姿勢をみせながら、学内では、生徒と保護者にとって最適なオンライン授業かつ世界の最高の水準に適うシステムを開発しています。そこはそういう機略を活用します。そして、決定的なところまでいったら、ラウンド・スクエアとの連携が決まったときのように風のごとく速く動き始めます。

★そんなことが推察できるのは、先月の21世紀型教育機構の第1回オンライン定例会で、近藤隆平先生(英語科主任、海外・英語特別委員長)と菅原久平先生(高等部長)の次の魂の言葉に触れたからです。

 近藤先生)「留学プログラムについては実際に海外に行かなくてもICTを活用することでオンライン交流・授業によってグローバルな環境を整備することは可能であると実感しています。しかし、危機的状況が終わった時に、体験型グローバル教育をすぐに再開できるような準備も今から海外のネットワークと連携してしっかりつくっておく必要があると考えています。」

菅原先生)「生徒や保護者に一番しなくてはらないことは、安心感の創造だと思う。単にイベントの日程を組み替えていくということだけではとても安心感を提供することにはならない。このような時だからできるというプログラムを作っていかなければならないし、その際、ツールに操られるのではなく教育の本心を見据えて内容を研究していく必要がある。保護者からの様々な声を聞きながら八雲学園として何を軸にしていくのかをはっきりと示し、安心感を共有していきたい。」

★かくして、八雲学園が特別なのは、近藤理事長・校長のみならず、先生方はみな、自分の利益ではなく、私立学校全体の利益を守るためにも、危機に直面する教育を救い出す教育出動をしているということなのです。このようなコンパッションスクールはそうあるものではありません。

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