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2020年5月 3日 (日)

ポスト・コロナショック時代の私立学校(69)新渡戸文化中学校のオンライン学校説明会 究極の質が希望生み出している。

★本日5月3日、新渡戸文化中学校はオンライン学校説明会を開催しました。1時間という時間で、密度の高い教育の理念と実践の両方をライブ感あふれる雰囲気で説明会は展開していきました。教育の内容については、他のメディアが詳しく述べるでしょうし、実際に参加していただいた方が良いので、私からは相変わらず独断と偏見の感想を少し述べるにとどめます。

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★私が説明会に参加して、最終的に思い浮かんだイメージ図は、こんな感じでした。クロスカリキュラムやスタディーツアー、外部とのネットワーク、オンライン授業などについて多く語られ、今回の説明会を盛り上げた6人の在校生も、そのような他校にないカリキュラムや教育活動を誇りに思い、やりたいことが見つけられる、自信がつくと語っていました。

★しかしながら、基礎学力もICTや多様なプラットフォームによってしっかり身につける態勢が整っていることに改めて感動しました。基礎学力においても、あくまでも生徒がやりたいと思えるところから出発できるように対話をしているということもわかりました。

★基礎学力と言うと、すぐに大学受験に直結しますが、非認知能力としての総合的な能力資質を身につけることで、大学合格も果たし、未来の社会を創っていく力も育てていくという構想です。

★この構想が絵に描いた餅でないことは、今回の新渡戸プロジェクトに参画した多くの教師が、濃厚な情熱と賢慮をもっていて、すでに各領域で実績を積み上げてきた仲間ばかりなので、安心です。

★いずれにしても、理事長が実に若く、きちんと教育について先生方と対話し続けていることが伝わってきたことは、他校にはない魅力でしょう。一般に、理事会は、経営中心で本質的な教育については無関心という場合が多いのです。フェアーでフラットでフラタニティがある組織を理事長が先生方と協力して創っている同校は、実に羨ましいと思われているでしょう。

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★そして、同校の初代校長である新渡戸稲造の精神をもれなく追究していることも素晴らしいと思いました。もちろん、新渡戸稲造の時代と教育を表現するキーワードもツールも当然違います。しかし、その精神は共鳴音を発しています。

★なぜか?それは、新渡戸稲造の時代は、明治という日本が近代社会に転換する激動の時代だったし、やはりパンデミックに見舞われ、多くの戦争に包囲されていました。にもかかわらず、新渡戸稲造は、未来を創ろうとしたのです。

★その状況は、今まさにわたしたちの時代の困窮と重なります。

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★今こそ、再び新渡戸稲造の精神を継承して未来の学校づくりをしようではないかという意志と気概と愛に新渡戸文化に生徒も保護者もそして教師も集結するでしょう。

★それにしても、新渡戸稲造が札幌に作った遠友夜学校の話まで聞けるなんて感慨深かったです。小さなキャンパスですが、北大の学生がボランティアで生徒の学びを止めないという弱者救済をした学校です。私財をなげうってつくったのですが、有島武郎も教鞭をとっていた学校です。私学の精神の原点です。今は、その跡地にはなにもありませんが、資料は北大の図書館にいけば見ることができます。

★≪私学の系譜≫のルーツはおもしろいことに北海道と軽井沢にあります。今ではすっかり忘れられていますが、当時はその両方の土地は荒地です。未来の学校づくりは、そうした都市という社会創りと根っこをいっしょにしていたのです。

★今、同校が社会課題を探究できる学びを構築しているのも、新渡戸稲造のその精神に通じるものがあります。つまり、歴史そのものを生み出すパワーがここに集まっているのでしょう。

★私がもっとも感動したのは、男子生徒の言葉でした。今回のオンライン学校説明会は、Q&Aも書き込めたのですが、その質問の中の1つに、「男女は仲が良いですか?」というものがありました。

★男子生徒は「女子と男子は仲が良く、クラスで別れることはありません」とさらりと回答しました。一般に、共学校といえども、クラスは男女がそれぞれ分断する動きが目立つけれど、それはないというコトなのですが、その男子生徒は、「男子と女子は」とは言わなかったのです。「女子と男子は」と言ったのです。

★この言葉に、すでに社会課題に立ち臨むフェアでフラットでフラタニティーあふれる姿勢がイメージできます。なるほど、新渡戸文化は、あらゆる物心両側面の壁を解消するハピネスクリエイターが羽ばたく学校です。

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