ポスト・コロナショック時代の私立学校(70)工学院のオンライン学習の全体システム早くも構築。工学系大学附属ならではの挑戦。
★工学院大学附属中学校・高等学校のサイトは、日々刻々とオンライン学習の進化が公開されています。「工学院のオンライン④」の冒頭は次のような素晴らしいメッセージが刻まれています。
⦅オンラインを開始し、約1か月が経ちました。
生徒のみなさん・先生方にとって、この1か月は簡単な期間ではなかったと思います。
状況は急速に変化し、オンライン学習という言葉では便利でプラスだらけに聞こえるものも、中身がデザインされていなければ学びと呼べるもの、教育というものから外れてしまいます。
そのために、この1か月、内面の学びやケアも心掛け、段階的にてゆっくりとオンライン学習を作り上げてきました。
生徒の皆さんの対応力はとても素晴らしいと思います。
また、急に出校することができなくなり、ツールはICTを通じてのみとなった状況の中、もうやるしかないという思いでツールを学び、日々HRや授業にあたっている人々――
先生方がいてこそ、このオンライン学習が成り立っているということを、ぜひ忘れないでいただきたいと思います。》
★文章の内容の重要性はもちろんですが、教育活動の全体を俯瞰し、同時にきめ細かく生徒と教師の共感的コミュニケーションや生徒も教師も心身のケアを維持しているかどうか気遣う細心の注意を目配りするリーダーが存在することの驚きです。おそらく一人のリーダーシップで動いているのではなく、チームリーダーシップで動いているのでしょう。
★そうはいっても、コアになっているリーダーがいるはずです。このリーダーは、決して自分のやっていることを「どうだあ!」と見せつけることはしません。あくまで、自分は一歩も二歩も引いて、生徒1人ひとり、教師1人ひとり、おそらく保護者1人ひとりの様子を感じることができる資質とテクノロジーを持っていることは間違いありません。
★組織を守る強烈な校長リーダーシップが工学院にはありますが、組織のマインドとテクノロジーが循環して息吹を生み出す役割をしているリーダーが別にいます。縦のリーダーシップと越境的リーダーシップの織りなす組織になっているのでしょう。
★工学院は、連休あけの5月9日にオンライン学校説明会も開催するし、11日からはさらにアップデートしたオンライン授業を展開していきますが、その準備ができたということが、上記のメッセージでは確認されています。
①生徒の生活や学びの環境の確保をオール工学院で構築。
②思索と教養の生成環境を図書館が確保。
③心と身体のバランスの生成を保健体育科が確保。
④共感的コミュニケーションや信頼関係をオンラインHRで確保。
➄知性と感性の相互関係の生成を言語の起源に遡って確保。
★これらが相互に関係し循環するようなオンライン学習の全体システムを構築したというのが、この1カ月「段階的にゆっくりとオンライン学習を作り上げてきた」というフレーズにこめられているのでしょう。
★ポスト・コロナショックの時代は、学校に限らず社会全体が「マインドとテクノロジー」のハイブリッド実装への挑戦になるでしょう。工学院は、その<未来社会モデル>を生成しています。
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