ポスト・コロナショック時代の私立学校(104)城北 イノベーティブな進学校の意味
★城北のサイトも、オンライン授業の様子が頻繁に更新されています。読んでいると4月の半ばには、課題のweb配信、授業動画配信のオンディマンド型オンライン授業、対面双方向型オンライン授業&HRのあらゆる準備が整ったようです。
(写真は、城北のサイトから)
★おもしろいのは、オンライン進化ステージ3.0と4.0が、学年によって、あるいは科目によって、あるいは単元によって、きちんと使い分けられていることです。
★生徒は、そのコンビネーションの環境に置かれるわけですから、イノベーションの合目的、効率的、計算可能性など使い分ける視点を身に着けます。
★またかなりがっちり論理的な思考を養う授業デザインが構築されていますが、生徒はタブレットやノートパソコンを活用するわけですから、論理を土台に創造的思考を活用することがニューノーマルになります。教師はそこまで授業で目標にしていなくても、生徒が自由に羽ばたくのです。
★城北は、基本は東大を頂点とする大学に進学する準備教育を行い、高実績をだしているのは、説明するまでもありません。
★大学のオンライン授業の混乱状況をみると、城北はここまでオンライン授業の進化ステージを上げる必要はなさそうなのですが、東大や早稲田が行っている程度はやっておかないとというのはあるのかもしれません。
★大学のオンライン講義化はアフターコロナではある意味新しい日常になるのは予想に難くありません。メディアが騒いでいるからではなく、進学準備教育における戦略的側面からリーズナブルに考えるとそういう結論になるでしょう。
★こうして城北は、イノベーティブな進学準備教育の路線を開いたわけです。
★今ここまで(=オンライン授業進化ステージ4.0以上を実施できる環境にあるということ)学校全体で取り組んでいる東京エリアの男子校は、筑波大駒場、開成、聖学院、海城、世田谷学園、駒場東邦でしょうか。この中で最も先進的なのは聖学院ですが、同校は目的が他の男子校と違うところにあるからです。
★聖学院は、オンライン授業進化ステージは5.0を学校全体で取り組んでいます。それは、クリスチャンスクールで、世界の痛みを1人ひとりが受け入れ、1人ひとりが与えられた賜物である才能を生かして、世界を変える創造力を養うというミッションがあるからです。
★ほかの男子校は、学校全体でそこまでのミッションはありません。そういう生徒が現れることはもちろん受け入れますが、しっかりとした組織に入ってそこでリーダーシップを発揮するのもよし、世界に影響を与える学者になってもいいし、もちろん世界を変える起業家になってもよいのです。そのためには、論理的な思考力や探究する基礎活動が重要です。
★その土台から先は、生徒が自由に多様な進路を歩めばよいという考え方でしょう。
★そして、その進路への道は、東大や早稲田のような大学に進学する準備教育で十分に果たせます。
★しかし、ノートと鉛筆と同じように、学習ツールとしてデバイスを手に取ってしまった生徒は、自ずと創造的活動に興味を持つようにもなるでしょう。なぜなら、思いのほかパソコンは創造的才能を刺激し支援する道具だからです。しかもイノベーションの集合知の塊なので、デジタルネーティブにとっては、創造性を発揮する魔法の箱でもあります。
★高偏差値学校がオンライン授業の進化ステージ4.0以上を始めたら、思いもよらないような未来が開けていきます。
★三田国際のように、高偏差値の学校ができないイノベーション教育を行って注目を浴びてきた学校も、その魅力が実はオンライン授業4.0以上を行う高偏差値の学校に転移してしまう事態も起こります。中学入試市場の地図がまた大きく変わります。
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