ポスト・コロナショック時代の私立学校(88)聖パウロのオンライン <エモーショナル×フィジカル×ソーシアル>を大切にする③。
★聖パウロ学園は、リアルなキャンパスで生み出している<エモーショナル×フィジカル×ソーシアル>の循環をベースに知のPBL授業を実施しています。今回オンライン授業に取り組み、実は、この循環をベースにして授業は展開されているのだということに、そしてそのことの重要性について、改めて気づいたと、英語科の吉岡先生は語ります。
★特に時間のデザインが大事なのではないかと。普段の授業だと、一時間の物理的な時間を豊かにするも短くするも、生徒の感じる時間感覚次第です。いろいろな刺激や多面的な問いかけができるので、生徒が感じる内的な時間が豊かになる仕掛けが自然とできているのですが、オンライン授業だとそこは創意工夫して仕掛けを考案する必要があるということです。
★オンライン授業は、同期型と非同期型のブレンドが大事だというのです。
★そして、話を聞いていてなるほどと思えるのは、非同期でも問題の解説動画の工夫によって、非同期の学びの時間に同期型の学びを埋め込むことができると感じました。問ごとに動画を配信していますから、自分で考え、そのあとに先生といっしょに考えるというメリハリがはっきりしています。
★問ごとに動画をつくるので、生徒の方は短い時間集中すればよいわけです。没入と傾聴の両方の感じる時間はおそらく豊かでしょう。
★緊急事態宣言が解除され、生徒たちが学校に戻ってきたとき、この同期と非同期のブレンド学習は、普段の授業でも活用できるのではないかと。生徒からも、配信された動画は、聞きたいところに戻ったりして飛ぶことができるので、主体的に学んでいる感覚があるという感想ももらっているようです。
★たしかに、電子黒板に映された動画だけではなく、自分の手元にある動画だと、セルフマネジメントができるというメリットがあります。
★英語科主任の大久保先生も、オンライン授業では、時間のデザインが大事であると。ゆったり考えたり、ゆったりライティングする時間は、非同期型で行い、同期している時は、クイック感覚で授業を進めていくのがよいのではないかと。
★時間の物理的なスケジュール管理だけではなく、内的な時間である生徒が感じる時間を大切にした時間のデザインは、リアルであってもオンラインであって重要なのですが、オンライン授業を通して、そのことを改めて実感しているということのようです。
★そして、この感じる時間は、神経パルスや脳の活動にも関係しています。また時間のデザインを意識しないとエモーショナルな面もひっ迫します。どのような時間を共有するかは共同体では重要です。
★知と心と身体と共同体と自然の循環デザインが人間形成にとって必要であることに、そしてその仕掛けをいかにつくるかということなどについて、このオンライン授業の機会は、考えるきっかけになっているのでしょう。
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